【Next Stage】「イナゴ」 ロン・ディカールアントニオ社長
■対話で機械操るシステム広めたい

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 パソコンや携帯電話の高度化で、情報端末と対話しながら検索を行う“コンシェルジュ”サービスが進化しようとしている。そのカギを握る会話システムを開発しているのが、ロン・ディカールアントニオ社長率いるベンチャー企業「イナゴ」だ。「netpeople(ネットピープル)」という音声会話アシスタント技術を武器に、あらゆる分野で“機械との対話”を広めようとしている。

 --1月発売のスマートフォン(高機能携帯電話)にネットピープルがプリインストール(事前に搭載)された

 「KDDIのスマホに初めて搭載された。NTTドコモのスマホ、ギャラクシー向けに、サムスン電子のアプリケーションストアだけからダウンロードすることはできたが、プリインストールは初めてだ」

 --他の端末向けには

 「5月にダウンロードサービスを開始できるよう準備を進めている。アンドロイド携帯、iPhone(アイフォーン)ともにネットピープルが使えるようになる。当初2月からを予定していたが、コンテンツを拡充する開発や他の案件が重なって延期せざるを得なかった」

 --米アップルもスマホに音声対話技術を搭載し、NTTドコモも音声対話型のサービスを始めたが

 「アップルは音声認識技術を開発していたベンチャー企業を買収し、その技術『Siri(シリ)』を載せたアイフォーンを昨年発売した。NTTドコモの『しゃべってコンシェル』サービスを始めた。ようやく音声で機械を操る習慣が広まってきたと歓迎している」

 --競合相手としてどうか

 「まだ、検索サービスの域を出ていないと思う。例えば『焼き肉が食べたい』と聞くと近くの店の名前はずらっと並ぶが、後はユーザーが画面から選んでいく。ネットピープルの強みは、会話しながら効率よく条件を絞り込み、ユーザーの欲しい情報に到達する仕組みだ。シリについては日本語版の対応が不十分なところを埋められる。それに、シリはアップル製だけ、しゃべってコンシェルもNTTドコモだけと、メーカーや通信会社に束縛されるが、ネットピープルは機種や会社と関係なく対応できるようにしていく」

 --携帯電話以外にも採用されている

 「ユーザーと自動車をつなぐソーシャルネットワークシステムの音声会話システムに採用されている。車の状態をメーカーのサーバーを通して知ることができたりする。車と会話するような感覚でさまざまな情報にアクセスできる。これから大きくなるサービスと期待している」

 --今後の事業展開は

 「いまは、できるだけ会話システムのユーザーを増やす段階。今期(9月期)は前期の2倍以上の売り上げにしたい。さらに、機能やコンテンツを充実させ、グルメや地域の情報などからアフィリエイトや広告の収入も増やしたい」(広瀬洋治)

【プロフィル】
ロン・ディカールアントニオ

 Ron DiCarlantonio 1989年、カナダ・ウォータールー大卒。IBM、ソニー・テクトロニクス(現TFF)などを経て、ソフトウエア開発ベンチャー、9003inc設立に参画、副社長。93年にイナゴの前身、9003inc.カナダを設立し、2000年日本でイナゴを起業、現職。47歳。カナダ出身。

【会社概要】
 ▽本社=東京都港区麻布十番1-4-5 深尾ビル5F ((電)03・5114・6167)
 ▽設立=2000年6月
 ▽資本金=7261万円
 ▽従業員=20人
 ▽事業内容=音声応答システムの開発、販売

「フジサンケイビジネスアイ」

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