交流サイトを活用し、就活に臨む企業風土を作り替えたいと意欲を見せるギブリーの井手高志社長
2009年の創業時から企業向けに新卒採用支援サービスを展開してきたギブリー。同社の強みは、交流サイト(SNS)を使った就職活動「ソー活」が普及するといち早く予想し、それらの情報発信力や集客力を生かした採用支援に力を入れてきた点にある。井手高志社長は「いい人材を集めるには、企業が自ら情報を積極的に発信し、学生とコミュニケーションをとることが不可欠。そうした風土に自分たちが作り替えたい」と話す。
ギブリーは、フェイスブック(FB)上で約2万人が閲覧している就活生向けの専用ページ「ソー活ナビ」を運営。就職活動の基本的な流れや注意点を解説している。その一方で顧客企業の事業を紹介したり、人事担当者のインタビューを掲載し、顧客の採用FBページに誘導。ページの運用や制作まで一貫して支援し、特にSNSへの対応に不慣れな企業にとって縁の下の力持ちとなっている。SNSを活用した採用支援に乗り出したのは、創業間もない10年で、累計の支援先はすでに200社を超えている。
「SNSを使えば、企業は学生と双方向で継続的なコミュニケーションをとれるうえ、リアルタイムできめ細かい自社の情報を発信でき、より情報感度の高い人材の確保につながる」。井手社長はソー活に着目した理由をそう説明する。
ギブリーがSNSを使った採用支援に乗り出した当時は、FBですら「数万人しか利用者がおらず、企業が採用に活用する動きはほとんどなかった」(井手社長)。だが今年7月、同社が企業の人事担当者を対象に実施したアンケートによると、採用にFBを活用し、「効果があった」と答えた企業は昨年よりさらに3.6ポイント増えて51%に達した。FBで採用ページを開設した企業は、12年6月に1300社だったのが、1年後には3000社を超えた。先見の明のおかげで、同社は創業から4期連続で黒字を続けている。
採用支援の一方で、就職支援も行い、定期的に就活生同士の交流会を開催。就活のテクニックだけでなく、入社後に自分がやりたいことを発見してもらう場として提供している。
井手社長は、元すし職人という、起業家としては異色の経歴の持ち主だ。起業家の道を歩み出したのは、知人に誘われ、ネット広告代理店でSNS事業を手がけていたグローバルメディアソリューション(現グループス)創設に参画してから。そのとき仕事で初めて学生に接し、「夢や目的を持たない人が多いという印象を受け、自分が与えられればと考えた」(井手社長)ことが、ギブリー創業の動機となった。
これまで順風満帆だったわけではなく、失敗した事業はいくつもある。それでも井手社長は「失敗の文化があってもいい。顧客企業や学生のためにスピード感をもって成長することの方がはるかに大事」と言い切る。(井田通人)
【会社概要】ギブリー
▽本社=東京都渋谷区南平台町15-13 帝都渋谷ビル8F
▽設立=2009年4月
▽資本金=1000万円
▽従業員=約50人
▽事業内容=ソーシャルサイトを活用した新卒採用支援など
「フジサンケイビジネスアイ」