【スポーツ健康科学・ユニバーサルデザイン】ファンスポーツが障碍者の人生を変える!スポーツで創造する障害者と健常者の共生
信州大学 全学教育機構 加藤彩乃助教
障害者のスポーツは両極端。日本では機能回復や維持を目的としたリハビリ的要素の強いスポーツとパラリンピックなど競技性の高いスポーツが主流。両者の間のスポーツ『ファンスポーツ』をテーマとして、様々な体や心の状態の人がスポーツを楽しむ対象から外れることなく、余暇を楽しみ、人と繋がり、社会と繋がるための環境づくりを研究している。
日本の障害者スポーツは両極端
現在、日本の障害者のスポーツ場面では、機能回復や維持を目的としたリハビリ的要素の強いスポーツとパラリンピックなど競技性の高いスポーツの二つが主流となっており、その間にある『ファンスポーツ』を楽しむ人は少ない。
障害者手帳保有者を対象としたアンケート調査(2017年加藤実施、回答者512名)では、運動・スポーツを実施したいができないと回答した人は44.1%(226名)で、その理由には、「体力がない」「障害の状態に応じたスポーツがない」「運動・スポーツが苦手である」が上位に挙げられた。
世界のスポーツ環境
しかし世界を見ると、車いすのまま乗れるブランコで子どもたちが遊び、家族や仲間とキャンプにでかけ、山登りをし、スキーを楽しむ車いすユーザーがいる。そしてスポーツをきっかけに、家族や仲間と豊かにコミュニケーションをとり、日常的に街に繰り出している…。
これらを鑑みると、スポーツをすることをコミュニケーションのツールとして捉えることができれば、自然とスポーツに親しみ、継続して運動やスポーツに取り組むことができるのではないだろうか。ファンスポーツのヒントはここにあると考える。
研究者のこれまでの実践
上記のような背景から、様々な体や心の状態の人とその家族や仲間が一緒にスポーツを楽しむことができる環境づくりとして、以下の実践を行なってきた。
◯日本航空とのスキーツアー『車いすで、雪あそび。』@北海道キロロスキー場
http://press.jal.co.jp/ja/release/201709/004410.html
◯長野県との冬のユニバーサルフェス @長野県八方尾根
https://www.pref.nagano.lg.jp/kankoshin/happyou/170208press.html
◯観光庁産学連携による中核人材育成事業
http://www.mlit.go.jp/kankocho/news06_000370.html
◯自然を活用したユニバーサルスポーツツーリズムとインクルーシブ教育に関する研究事業【U.S.I.Research】
https://www.usi-r.org
今後実施したい研究活動
今後は、以下の研究活動を継続実施したいと考えている。
・ ファンスポーツ実施によるコミュニケーション効果の研究
・ ファンスポーツが日常生活に与える影響の研究
・ 四季を通したファンスポーツの企業などと連携した普及啓発活動
【お問い合わせ】
さらに詳しい内容は、一般社団法人産学連携推進協会へお問い合わせください。