株式会社バーチャルリソース 代表取締役   中岡 裕一

“もったいない”をなくす 国内でミャンマーの宝石画の紹介も

“もったいない”という文化が古来から残る日本でも、“もったいない”ことが日々起きている。例えば、市場をめがけて生産されたにも関わらず、流通することなく廃棄される工業製品。それらを廃棄することなく、必要としている国内外の誰かに届けることはできないものか。住宅設備の流通会社を飛び出し、世の中のあらゆる“もったいない”をなくす事業を展開しようとバーチャルリソースを創業した中岡裕一氏は、創業直後からコロナ禍での苦戦を強いられる中、宝石画の日本での普及など新たな事業にも着手。コロナ後を視野に入れ、今後の事業拡大に向けた取り組みを加速している。

――2019年5月の創業時から、住宅設備機器などのネット上での販売仲介や、関連するコンサルティング業務、ビジネスマッチング業務の仲介などを展開してきました
事業の中心は、ネット上のマッチングサイト「宝市場」を通じた住宅設備機器の売買仲介です。国内にはトイレやキッチン、電化製品をはじめとしてさまざまな住宅設備機器があります。それらは、いろいろな形で市場に供給され、住宅に設置されていくわけですが、一部には在庫されたまま取り残され、流通する機会を失うものがあります。
「宝市場」では、そういった在庫等を有する事業者に商品を出品してもうとともに、そうした商品を探している事業者による購入を促しています。
しかし、スタートして数カ月で新型コロナウイルス禍となり、状況は大きく変わりました。
――コロナ禍はずいぶんと長引いており、いろいろと支障がでそうですね
国内のそうした商品を募り、住設機器の需要が旺盛なミャンマーで販売するといった取り組みも行ってきましたが、サイズの大きな住設機器に対応するコンテナを使っての送料が高騰し、採算がなかなか合いません。このため、ミャンマーでは現在、化粧品など小さなものを中心に現地で販売しています。
―― 一方で、ミャンマーから宝石画を仕入れて、その普及にも取り組んでいますね
この宝石画は、ミャンマーでビジネスをしている時に初めて知りました。聞けば現地の伝統的な芸術で、富裕層にはニーズがあるようです。
ミャンマーはルビーやサファイヤなどさまざまな宝石の原石を産出しています。宝石画は、そんな原石のかけらを使って描かれています。これを日本に輸入し、販売とレンタルの両面で事業を本格化しようと考えています。
――宝石画は販売するにしてもレンタルするにしても、いろいろ説明が必要ですね
宝石画については、東京・赤坂に飲食機能もあるサロン兼展示場を開設しました。ここで興味のある方には現物を観ていただき、購入もできるようにしました。これと並行し、ホテルなどにレンタルするといった展開も考えています。購入の場合は数十万円からという価格になりますが、レンタルだと小さいものなら月々5000円ぐらいから、通常のものでも月々2万円ぐらいからで提供できそうです。
また、この宝石画はオーダーメードも可能です。写真などをミャンマーの作家に送り、それをもとに現地で宝石画を描きます。1枚書き上げるのに最短2週間ぐらいでしょうか。
ミャンマーの作家が制作したものには動物が描かれているものも多いことから、将来的にはペットショップや動物病院などにも販路を広げたいと思います。
――今後の展開や展望についてはどう考えていますか
いまだにコロナ禍は収束がみえていないため、見極めなければならないことが多々あります。
例えば宝石画については、ホテル等に対するレンタルなどを始めたいですが、コロナ禍でホテルの稼働はよくありません。ある程度利用者が戻るなど、稼働状態が良くならないと交渉しにくいですね。これは、他の販路開拓についても同様です。
――住設機器についてはどうでしょうか
ネットでのマッチングは少し修正も必要です。というのも、あまり商品が出品されないという課題があるからです。
大規模な通販サイトに手数料を支払って出品されているケースはよくありますので、より費用をかけずに利用できる「宝市場」の認知度アップや購入者の誘致なども含めた活性化策を考えていく必要がありそうです。
一方、ミャンマーについては送料がネックとなっています。コロナ禍で燃料費も高騰。送料もスタート時の数倍となっています。これは、コロナ禍が収束すれば正常化に向かうものとみられますが、そのタイミングの見極めが重要です。
つい先だって、廃業するホテルの設備引き取りを相談されましたが、ミャンマーに送るとなると送料が高く、採算が合わないと判断したケースもありました。
――コロナ禍による世界的な物流網の混乱で、半導体が品薄になり自動車や情報機器の生産が滞ったり、原油価格の高騰にもそういう面がありますね
ミャンマーとの物のやり取りは物流の安定、送料の正常化がないとなかなかうまくいきません。ミャンマーについては、政治体制や国際的な対応の動向にも注意が必要です。今後はそのあたりをよく見極め、事業の本格再開を進めていきます。と同時に、国内における宝石画の紹介や普及促進は軌道に乗せたいと思います。
コロナ禍による制約は多いものの、収束にめどがつけば進めるべき事業がありますので、それらを全力で展開していきます。ミャンマーについては、現地経済の将来的な可能性は大きいと感じます。そこを軸にした展開が拡大していくことに期待しています。
株式会社バーチャルリソース 代表取締役 中岡 裕一
住友銀行(現三井住友銀行)、橋本総業(株)を経て
(株)チームケミストリー 代表(現)
(株)バーチャルリソース 代表(現)

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