株式会社 ビジネス・バリュー・クリエイションズ 代表取締役   山本 康博

コロナ禍でコミュニティーの再構築進む/地方にはチャンスも

長引く新型コロナウイルス禍で経済社会は大きく変容した。人々は外出を控え、消費も減った。とはいえ、ワクチンが行き渡り治療薬も登場するなど、コロナ禍収束に向けた環境は整いつつある。復興に向けた取り組みはいよいよ本番だ。ただ、これからの経済環境は以前とは様相が異なっている。コロナ禍は社会をどう変え、コロナ後の経済はどこに向かおうとしているのか。企業のマーケティングやブランディングの支援を手掛けるビジネス・バリュー・クリエイションズの山本康博代表取締役に経済社会の動きや展望などを聞いた。

――コロナ禍はわれわれの生活や企業の経営などに大きな変化を迫りました
外出しないで自宅にこもるような生活が続きましたね。テレビやネットなどから情報を得る機会も増えたと思います。しかし、このテレビの報道はどこもみな同じで、内容の面でも不安感を煽るようなものばかりです。
とある調査では、テレビが信頼度を大きく下げていました。新聞やネットが少し信頼度を上げていたのとは対照的です。それもそのはずです。不安感を煽るだけでしたので。
そうはいってもテレビは身近なので、いろいろ影響します。そのせいか、多くの人がネガティブ思考になってしまったようにも思います。消費者は疑り深くなり、冷え込んだ消費はなかなか簡単には回復しないのではないかとも思います。
――このままではいけませんね
消費者のマインドはよくありません。どこかで反転させる必要があります。欧州のように、国のリーダーが“自粛は終了しこれからは復興期に入る!”といった宣言をするとか。でも、日本にはそんな動きはみえません。ただ、復興に向けた動きは少しずつでてきています。
全体としてはまだまだですが、こうした環境下でも急成長したり、大きく儲かるビジネスも出てきています。そういう動きが増えてくると、マインドも変わることでしょう。特に、コロナ禍前とは環境が変わっていますので、そうした変化を追い風にするといいですね。
――コロナ禍では、オンライン会議システムなどを活用したテレワークも普通になりました
テレワークは仕事を時間や場所から解放しました。オフィスに出勤する人が減ったため、都市部では分散したオフィスを本社に集約するなどの動きもみられます。都心の飲食店などでは集客面で厳しくなっているところも多いですが、住宅地がある郊外などは客の戻りも悪くないようです。こうした動きをみればわかりますが、地方にとってはチャンスが到来しています。
大企業を中心とし、比率は下がるものの中小企業でもテレワークは続けられています。今後コロナ禍が収束しても、こうした働き方は一定数続くことでしょう。テレワークなら、都心の企業に勤めつつ地方に住むということも可能ですからね。
――消費などの面では冷え込み以外の変化もありそうです
鉄道に乗る人が減り、さまざまなモノが売れにくくなっていると思います。と同時に、“所有から利用へ”という動き、たとえばシェア化やサブスクリプション化などが一挙に進んだようにも思います。もちろんこうした変化も数量面ではモノの売れ行きを鈍らせたという面もあります。
――テレワークの普及は人々のコミュニケーションにも変化を迫っているように感じます
長引くコロナ禍の中で社会に出た“コロナ世代”は、仕事をする上での人と人とのリアルな接触が極端に少ないなど、これまでとは違う環境下に置かれています。セミナーなどで彼らと接触すると、どことなく元気がないようにも思え、かわいそうだと感じます。
一方で、SNS上などに新しいコミュニティーが生まれています。フェイスブックなど以前からあるSNSの利用が減ってきたように思います。たとえば、お金が稼げるSNSとして今注目されている『ポストプライム』という新たな試みのSNSなど、今までとは違うアプローチのコミュニティーが登場したりなど、新たなつながりができるツールが選ばれています。コロナ禍で古いしがらみというか、古いコミュニティーがリセットされ、多様で新しいコミュニティーが再構築されつつある、という感じがします。これはデジタルの世界だけの話ではなく、リアルでも同様だろうと思います。
コミュニケーションの変化という意味では他にもあります。たとえば家庭内。普段は仕事に行っていて会う時間が少なかった親子も、在宅勤務で状況が変わりました。内食化で団らんの時間ができ、家族のコミュニケーションという点では大きく改善したように思います。
――コロナ禍による変化は多くの産業にとって痛手となりましたが、今後はこうした変化をチャンスに変えていかねばなりませんね
さまざまな変化がありますが、その中にはビジネスチャンスにつながるものもあります。まずはこうした変化をよく理解しなければいけません。その上で、短期的な特需のようなものではなく、長期的なビジネスプランを考えるべきでしょう。
地図がなければ走れません。まずは地図をよくみて目的地を探さねばなりませんね。
山本康博(やまもと・やすひろ)
代表取締役
1965年東京都出身、21歳でアメリカ留学から中途帰国でサラリーマン、伊藤園、日本コカ・コーラ、JTと20年間勤務。何も無いところから、お客様が気づいていない”ヒット商品”や”ブラマネ組織”を作り出す達人。常にクライアント経営側を意識しつつ、お客様視点から仕事をするように心がけています。そして斬新な常に高次元でクリエイティブなスキルを提供。予算ゼロでもヒット新商品を世に出した叩き上げキャリアの現役ブランドマーケッター。

現在でも複数のメーカーにて現役ブランドマネージャー、マーケティング顧問として活躍中。宣伝会議の各種講座講師としても受講者満足度 No.1獲得の実績。企業での上級コース企画・プレゼンテーション研修も非常に好評。在日本外国大使館での個別スピーチ指導なども行う。各種情報収集スペシャリスト、潜在ニーズ研究家。2022年読者が選ぶビジネス書にて総合グランプリ受賞した”1日1話365人の仕事の教科書”の中の一人として8月1日を執筆。

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