株式会社リベルタ. 代表取締役 永倉 尚樹
イノベーティブな事業の創出模索
不動産の流通や活用などを手掛けてきたリベルタが、新型コロナウイルス禍を経て大胆な事業変革を模索している。新たな発想をイノベーションにつなげ、社会を変革したい。そんな想いを実現しようと、今年いっぱいを期限に業種などの制約も設けず次代の自社の姿を追求する。折しも経済社会は産業革命以来の大転換期を迎えている。今後リベルタはどこに向かうのか。永倉尚樹代表取締役に展望などを聞いた。
- ――リベルタは不動産の有効活用などを通じた地方創生など、さまざまな活動を展開してきました
- 不動産賃貸事業からスタートし、2015年ごろからは売買も本格化しました。2017年からコロナ禍の前までは、日本三大桜名所でもある奈良県の吉野山にあるゲストハウスを足掛かりにして地方創生をテーマに民泊のような活動にも取り組みました。
- インターネットを活用して世界中の空き部屋やスペースを持つ宿泊場所の提供者(ホスト)と宿泊場所を探している旅行者(ゲスト)をつなぐ「Airbnb」というサービスがありますが、まさにそうした取り組みを本格的に展開しつつありました。
- しかし、コロナ禍でそうした活動は休止を余儀なくされました。利用者の大半は海外からの訪日外国人観光客でしたので、人の移動が大きく制限されたこの2年間はこの種の事業は成立しませんでした。
- 一方で、不動産投資などはこの間も続けてきました。現在はこの分野が経営の柱となっています。
- ――折しも時代の転換点ですが、変化の根底にはデジタル化がありますね
- 不動産業界では説明や商談も基本的には対面ですし、ファクシミリ(FAX)も多用します。そういう意味では昭和のままのオフライン業界といった感じでした。ただ、コロナ禍で多くの人がテレワークなどをするようになり、リモートでの会議も普通になりました。コロナ禍は、そんな社会のデジタル化を加速させたという面があります。そういう意味でも、これからのテーマは“オンライン”だろうと思います。
- ――こうした変化を上手に捉える必要がありますね
- わたくし自身は学生時代にアパレル通販のビジネスを起業した経験があります。とはいえ、当時はまだポケベルもあった時代で、通販は雑誌などを通じたものが中心でした。それでも、パソコンを使ったものや携帯電話のショートメールなどを使うなど、現在につながっていくネット通販の片鱗はみえていました。そういう次世代の通販に可能性を感じて起業したということもあり、コロナ禍で加速したオンライン化の動きを歓迎しています。
- その後手掛けた不動産事業は昭和型でしたが、オンライン化の流れで自分の得意分野が広がっていると思います。
- ――ワクチンが行き渡り、治療薬が登場したこともあってコロナ禍もだいぶ落ち着いてきました。今後の展開、展望をどう考えますか
- 多くのパート社員を雇って運営してきた不動産事業は、コロナ禍を機に大きく縮小させました。これにより、いまは身軽です。仕事のことばかり考えていたり、トラブルの連絡電話を恐れながら生活することはなくなり家族との時間も増えました。いろいろと話をする時間もできました。今後もこうした時間は大切にしていきたいと思います。
- 今後の事業については、今年いっぱいを期限としていろいろ考えたいと思います。イノベーションを起こすような事業や仮想通貨をメインの決済方法としたメタバース(仮想空間)上の仮想土地の運用などに興味があります。今後もキャシュレス化やデジタル化は進み、さまざまな決済方法やオンライン上のビジネスがまだまだ増えていくと思います。今後も色々とやってみたいことはありますが、資金も必要です。このため、当面はよく考える傍らで、不動産投資やその他の金融商品の運用などを通じた資金作りも進めます。
- 半面で、不動産事業についても維持してあります。届けや許認可なども更新し、いつでも本格再開できるようにはなっています。ただ、目標は不動産事業の本格再開ではありません。資金を食いつぶしながら進むのもよくありませんので、状況によっては不動産事業を組み入れた将来像も描けるようにしてある、という感じです。
代表取締役
大阪府生まれ。
立命館大学大学院 経営管理研究科
アパレル通販のビジネスを学生時代に起業。
その後、法律知識をつける為に行政書士を目指す。
行政書士受験生時代に、あるデザイナーズマンションシリーズを手掛けている一級建築士事務所の社長に出逢い、 建築デザインに興味をもち一級建築士事務所に弟子入り。そこでデザイナーズマンションの企画、運営、販売の分野に携わる。それと同時並行して不動産流通事業部を設け独学で学ぶ。
その後、不動産会社数社からヘッドハンティングを受け不動産流通事業を本格的に学んだ後に株式会社リベルタ設立。設立時は大学生とコラボレーション企画をメインとした次代を担う若者に広がる不動産会社としてセミナーを開催するなど多くの学生の間に広まる。
SNSを活用した物件紹介など業界の常識にとらわれない新しい取り組みが評価され、2013年8月~2015年9月の間、イノベーションズアイ注目企業ランキングにて1位を何度も獲得。
現在はアライアンスに活動を展開している。