株式会社TMR 代表取締役   高橋 新治

信用調査で企業の危機管理をサポート

優れた危機管理が企業成長・存続のカギを握る中、「総合リスクマネジメントのプロ集団」を自任するTMRの活躍舞台が広がっている。法人・個人信用、特殊調査、市場調査などの事業で創業以来培ってきたノウハウや信頼できる情報網により安全で確実な与信管理に加え、危機管理対応をサポートしてきたからだ。設立40周年を来年に控える同社の高橋新治代表取締役は「これまで以上に誠意、正確、迅速をモットーに精度の高い最新情報を提供することで顧客ニーズに的確に応えていく」と胸を張る。

――新型コロナウイルス禍が日本経済に与えた影響をどう見るか
コロナ禍2年目の2021年の企業倒産は6000件超と1964年に次ぐ低水準だった。政府の資金繰り支援で倒産が押さえ込まれたからであり、つぶれてもいい会社が延命しているだけだ。しかし実質無利子・無担保融資(ゼロゼロ融資)の返済が22年以降、本格的に始まるので、倒産が増える可能性は高い。倒産予備軍がいずれ馬脚を現すのは間違いない。
――売りに出る企業が増えるということか
企業を買いたい、売りたいというM&A(合併・買収)に関する依頼は多い。コロナ倒産だけでなく、後継難もある。創業オーナーが高齢になり。同じ優秀な血を引き継ぐ子供たちに世代交代したいと考えても、大企業に就職し地位も給料もそれなりに得ているので、世間から評価されていない父の会社に入る動機が薄い。次ぐ人がいないから廃業を考えるが、従業員とその家族、取引先を思うと売る方がいいので相談に来る。
―― 一方、買いたい企業からの依頼は
企業発展を考えると既存事業の深化ととともに新規事業の開拓、つまり両利き経営を目指したいので、売りに出ている企業を分析して価値ある情報を提供してほしいという依頼は多い。『時間を買う』『自社にないものを買う』といわれるM&Aで取引先を一気に増やせるので、ボリュームアップや強みを増すシナジー効果を得られる。ただ、売りに出ている企業の中には、高く売るため『厚化粧』しているところも少なくない。蓋を開けてみると簿外債務が見つかり大赤字という企業もある。我々の出番がやってくるわけだ。
――TMRの強みは
当社の与信調査は定性分析や経営コンサルテーションまで含んだトータルソリューションとして役立つサービスを提供している。単なる定量的・形式的な調査データの提供にとどまらず、決算書などオフィシャルな情報だけでは分からないような業界特性を踏まえた定性的・実質的な内容に踏み込んで情報を提供している。相手先企業がもつ意思決定の傾向や経営上の泣きどころといった真相情報も事前に把握しておくことで経済状況が激変しても迅速かつ適切な与信管理による経営判断が可能になる。買収してほしい企業を手に入れても組織体系や企業風土などが違ったり、上から目線で統治したりすると社員はやめかねない。財産である人材がいなくなると買収効果は薄まる。当社は『最善のコンサル』でサポートするのが強みだ。
――反社会的勢力の現状は
11年に全都道府県で暴力団排除条例が施行され、事業者の努力義務として取引相手および関係者の属性確認などが規定された。これらにより暴力団は資金獲得が難しくなり組織が弱体化し解体の方向にある。全国の構成員も一時期には30万~40万といわれたが、警察庁のまとめでは20年に2万5900人まで減少した。とはいえ、完全排除されているわけではない。今日の反社会的勢力の事例を見ると、一般企業の体裁を保って通常取引を通してアプローチしてくる。例えば企業の第三者割当増資に応じて入り込んで来るが、これは利益供与に当たる。危機管理能力が甘いと反社会的勢力とつながりかねない。正当な取引であっても反社会的勢力と関係を持つこと自体が問題視される。『企業の社会的責任として許されない』と厳しく判断される。
――付け込まれないための対策は
反社会的勢力との取引を未然に防ぐための体制づくりやルールの明確化、万が一に取引先が反社会的勢力だと分かったときの対処方法などを決めておくことが大切だ。そのために反社会的勢力に関する企業信用調査や社内体制づくりにおいて経験豊富でノウハウを持つ専門調査会社を活用することが有効といえる。われわれは反社会的勢力の情報収集と蓄積を継続的に行っており、独自のデータベースも構築している。反社会的勢力だけでなく、あらゆる事案に対処できるネットワークも備えている。私は日本調査業協会、東京都調査業協会の会長を務めてきており、全国の調査会社と信頼関係を構築。各社の得意分野も知っており、活用できる。人脈と実績、歴史が当社の強みといえる。
――23年は設立40周年となるが
日本の資本主義発展を牽引した渋沢栄一が米国の銀行視察の際、信用調査機関の重要性を目の当たりにし1854年4月7日に東京興信所を設立したのが始まり。離合集散を繰り返したが当社はその伝統を継承し、東京経営調査(現TMR)の商号で1979年に創業し、83年に法人化した。2017年の創立35周年は記念講演会と祝賀会を開催。特別講師として櫻井よしこ氏を招いた。40周年も一つのくくりなので開催する予定だ。この間、人に恵まれ業績を拡大できた。自慢できることがあれば、それは『縁』だ。これを大事にしていきながら、課題である世代交代と海外展開に注力する。拠点拡大などグローバルでのネットワークを太くする。
高橋 新治(たかはし・しんじ)
代表取締役
宮城県農業大学校蔬菜園芸科卒。1971年東京興信所入社。83年東京経営調査(現TMR)設立し社長。93年バイオテックジャパン(同)設立し社長。宮城県出身。
2010年4月1日 一般社団法人東京都調査業協会 会長就任
2012年4月1日 社団法人(現一般社団法人)日本調査業協会 会長就任

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