アラームボックス株式会社 取締役 アラームボックス事業部長 具志堅 功太郎
ネット上の定性情報を活用し与信管理 新規取引先から既存取引先の継続管理、売掛金回収まで一環サポート
企業にとって取引に欠かせないリスク管理にフォーカスしたサービスを提供するAlarmbox(アラームボックス)。インターネット上に存在する様々な定性情報の中からAI(人工知能)がリスクを発見し自動で届けるため、顧客が抱える与信管理の課題を解決するだけでなく、不安がなくなることで前向きに事業に取り組めると評価を高めている。具志堅功太郎取締役は「新規取引先の調査から既存取引先の継続管理、売掛金回収まで一連のサービスの流れが整った。与信管理全体で顧客のマネジメントをサポートしていく」と意気込む。
- ――事業内容は
- インターネット情報を活用した与信管理サービス『アラームボックス』を提供している。調べたい取引先を登録すれば、情報の収集から解析まですべてアラームボックスが行う。顧客は送られてきた情報をチェックするだけでいいので与信管理の手間を大幅に削減できる。情報提供ツールとして『アラームボックス パワーサーチ』と『同 モニタリング』、保証サービスとして『同 ギャランティ』をもつ。パワーサーチは風評や反社チェック、支払い状況など信用情報をまとめて収集する企業調査サービス。モニタリングは取引先の状況変化やリスクがあったときに自動で知らせる与信管理サービス。ギャランティは請求書単位で保証をかけることができる売掛金の入金保証サービスだ。これにより全ての企業に安心を届けることができる。
- ――取得できる情報は
- 情報の8割はネットから取得している。調べたい企業が自ら発信するホームページやリリースのほか、他人が個人で発信するSNS(交流サイト)や口コミ、ブログ。悪評や給与未払い、クレームといったトラブル情報など与信にかかわる情報が多い。また話題性が高く世間に影響を与えやすいニュースや専門メディアが発信する情報も集めている。独自に取得した情報も充実しており、訴訟や行政処分など公的機関の情報や、不動産の差し押さえ、取引代金の支払い遅延、不正、不祥事といった提携調査会社からのネガティブ情報も収集している。
- ――こうした情報をどう生かすのか
- 収集した情報を高精度に解析し、リスク度に応じて3段階のアラームレベルに分類。緑色の『チェック』は信用状況に大きな変化がないが知っておくべき情報。黄色の『注意』は倒産する可能性が上昇していくと判断された情報で、例えば行政処分や閉店・撤退、退職者の増加。赤色の『要警戒』は1年以内に倒産する可能性が一定以上と判断された情報で、評判の急降下(炎上)、給与未払い、支払い遅延などが当てはまる。2つ目のサービス機能として信用レベルがある。発生したアラーム情報などをもとに、企業の支払い能力を『万全』『安全』『通常』『不安』『危険』の5段階で格付けしており、未回収リスクがある企業なのか一目で確認できる。
- ――パワーサーチとモニタリングの具体的な内容は
- パワーサーチは取引開始前の与信審査に利用し、取引開始後はモニタリングで継続管理する。このためパワーサーチは過去3年分の情報だけを収集するのに対し、モニタリングは毎日のように情報収集し情報が発生すたびにリアルタイムで知らせる。パワーサーチで安全。安心に取引を開始し、モニタリングに引き継ぐといったサービスの流れになる。
- ――料金プランと利用企業数は
- パワーサーチの基本料金は月額3000円(調査リポート1件)の『ライトプラン』、7500円(3件)の『ビジネスプラン』、5万円(25件)の『エンタープライズプラン』を用意。モニタリングも同様に2800円(年5社)、9800円(20社)、4万8000円(100社)がある。当初は中小企業をターゲットにしていたためライトとビジネスのみだったが、徐々に大企業の利用が増えエンタープライズを追加した。利用企業は中小企業が7割ほどを占めるが、徐々に減少している。利用企業数だが、モニタリングは無料も含め6000社ほど。20年9月にリリースしたパワーサーチも順調に増加しており、この1年間で顧客は1.5~2倍に増えた。新型コロナウイルス禍で営業自粛に追い込まれるなど経済停滞で先々の不安から20年春以降、問い合わせなどが増加したからだ。
- ――当初は中小企業をターゲットにしていた理由は
- 大企業ならリスク管理の専門家が相応の調査費用をかけて取引先を管理しているが、中小企業は限られた取引先からの売り上げに依存するケースも多く、主要取引先が破綻すれば連鎖倒産につながるリスクが高い。財務体質が盤石でない中小企業こそ与信管理に取り組む必要がある。にもかかわらず与信管理は難しく、理解できないと取り組んでいない。だからこそ中小企業も利用できる安価な与信管理ツールを開発した。
- ―― 一方のギャランティは
- パワーサーチで新規取引先を調査し、大丈夫だと分かると取引を開始してモニタリングに移って継続審査。それでも不安ならギャランティといった流れだ。請求書単位で保証をかけられ、未収金が発生したときは支払いが保証される。自分で設定した分だけ保証をかけられるので無駄がない。これにより新しい取引先も入金が保証されるので営業活動に専念できる。つまり積極的に取引先を拡大したい企業はギャランティを利用すればいい。
- ――アラームボックスの今後の展開は
- ギャランティがサービスに加わったのは21年12月。これでパワーサーチからモニタリング、ギャランティというサービスの流れができた。与信管理全体で顧客企業のマネジメントを手伝える態勢を整えたので、うまく組み合わせて利用してほしい。また大企業の利用が増えてきたので、その企業が必要とする情報だけを届けるといったカスタマイズ性も出していく。
取締役 アラームボックス事業部長
1977年生まれ。大学卒業後、独立系ノンバンク、リース会社にて中小企業向けのリース事業、保証事業を担当。2016年にインターネット情報やAIを活用して与信管理を革新すべく、設立されたアラームボックス株式会社の創業メンバー。