株式会社ニューズドテック 代表取締役CEO   粟津 浜一

スマホのバッテリー劣化対応サービスを拡充 22年の革新ビジネスアワードで大賞

ニューズドテックは2022年12月、イノベーションズアイ主催の「革新ビジネスアワード2022」の大賞に選ばれた。これまでのスマートフォンなどの中古携帯電話の売買事業にとどまらず、スマホのバッテリー劣化を予測する「スマホカルテ」、バッテリーが劣化したら交換する「トリカエスマ保証(トリスマ)」を開始したことが認められた。粟津浜一代表取締役CEO(最高経営責任者)は「我々が掲げる『テクノロジーでモバイル市場に新しい価値を加える』という使命に向かって戦略が固まった。後は進むだけ」と言い切る。

――革新的な挑戦が認められて大賞を受賞した
時代の流れにマッチしたサービスを最適なタイミングで提供できたことが評価されたと確信している。携帯端末は19年10月の電気通信事業法改正で端末と回線が分離され、端末購入を条件とした通信料金の割引が禁止された。これにより端末料金が上がった。アップルが売り出す最新のスマホ『iPhone(アイフォン)』も魅力が薄れ、買い替え需要が起きなくなっていたこともあって端末を長く使うようになった。このタイミングを的確にとらえたサービスが受け入れられた。
――新たなサービスの一つがスマホカルテだが、開発した理由は
中古市場は年々伸びている。価格は安く、品質もいいからだが、それでもバッテリーがどれだけ劣化しているか分からない、購入後の故障に対する補償が受けられるか心配、中古は汚れているといったマイナスイメージがつきまとう。今所有している端末をもっと長く使いたい人もバッテリーの劣化などで旅行中や仕事中、出張中など、ある日突然、起動しなくなるのが一番困る。新品も中古も同じだ。こうした『いつ使えなくなるか分からない』という不安を解消するため、スマホの健康診断アプリ『スマホカルテ』を開発した。
――特徴は
スマホのバッテリーや通信状態、画面、カメラ、電源など最大26項目をチェックすることで故障のサインに気づくことができる。スマホが故障してしまったからでは遅く、事前に対処することが大切だ。バッテリーに関しては最長2年先までの劣化を予測できる。これが受け入れられ、22年7月の無料での一般公開からすでに2万ダウンロードに達した。『壊れないように端末を大事に使いたい』顧客を助けることにつながる。
――もう一つのトリスマはどんなサービスなのか
万が一バッテリーが劣化しても交換保証するのがトリスマだ。新品、中古を問わず、どこで買ったスマホでも既存スマホの下取りを条件に、それまで利用していた同じ機種・容量のスマホに交換できる。交換手数料は月額200円のベーシックプランはなく、同500円のプレミアムプランは交換する端末の価格に合わせて3000円、6000円、9000円が発生する。アイフォンならバッテリー最大容量が90%以上の端末に交換できる。新品ではなく中古だが、状態も想定以上によく、交換費用も1万円以下となるので大変お得だ。
――バッテリーの劣化に対して不安をもつ人は多いのか
当社が22年2月にインターネットで調査したところ、買い替え理由の1位が『バッテリーの持ちが悪くなったら』で50%に達した。『破損したり画面が割れたりしたら』が18%、『新機種が出たら』が10%という結果だった。総務省の調査でも、中古携帯を買わない理由の1位が『バッテリーの持ちが悪そう』で59%を占めた。新品市場、中古市場を問わず買い替え理由の半数が、バッテリーが原因であり、スマホ市場全体の課題といえる。私もバッテリーがフルでないと不安だ。
――今後の展開は
買い替えるタイミングの半数がバッテリー劣化であり、このマーケットを取りに行く。またスマホカルテでは個人向けだけでなく、バージョンアップして法人向けも始める。4、5月にもサービスを提供したい。例えば工場の監視でもスマホが壊れるとデータが取れなくなる。故障を事前に察知して買い替えを促すことができれば顧客のメリットは大きい。バッテリーを預かって修理するビジネスも始めた。スマホカルテとトリスマでサービスを拡充していく。
――22年は社名、ロゴを変えた
当社は09年、『誰もやっていないことをしたい』と考え、中古携帯電話機を売買する『アワーズ』として創業。業容の拡大に合わせて『携帯市場』、そして22年春に『ニューズドテック』と社名を変えながら中古携帯・スマホ業界を牽引してきた。社名の『ニューズド』とはニュー(新品)とユースド(中古)の造語で、次の成長ステージに入ったことを意味する。これまでの中古だけでなく、新品、つまり上流にも出ていく。2つの新サービスはともに、新品市場、中古市場にもなかった。展開することでバッテリーに関する顧客の困りごとを解消することができる。ロゴの新カラーとして採用したのは、日本を代表する『藍色』。日本を代表する企業になること、さらには世界に向けて『日本発』の存在になる決意を表した。
――ビジネス展開に伴い優秀な人材も必要になる
適材適所に相当こだわってきた。19年に13拠点あった店舗をすべて閉めてオンラインビジネスに切り替えた。その際に店舗を担当していた人員を活用してスマホカルテの開発につなげた。修理担当者は管理部門で入社したがうまく機能せず営業に異動。そこでも能力を発揮できなかったので得意なことを聞くと「細かい作業」と答えたので今の仕事を任せるようになった。得意や好きなこと、強みを仕事に生かすことが重要だ。これからも適材適所にこだわっていく。
粟津 浜一(あわづ・はまかず)
株式会社ニューズドテック 代表取締役CEO
筑波大大学院理工学研究科修士課程修了。2004年ブラザー工業入社。09年アワーズ(現ニューズドテック)を設立。

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