一般社団法人 東京ニュービジネス協議会 会長   井川 幸広

メンバーファーストで会員の社業発展に寄与 経営者が互いにリスペクトしウイン・ウインの関係構築

「経営者と企業の成長を支える団体」をミッションに掲げる一般社団法人東京ニュービジネス協議会(NBC)が文字通り、上場企業から起業ステージまで様々な経営者が社業発展のために学びあう場としての機能を最大限発揮している。井川幸広会長(クリーク・アンド・リバー社社長)はその理由として「NBCの各種活動が会員一人一人の成長と社業発展の実感を得られるようになったからではないか」と強調。その上で「会員のみんなが『みんなのために』の精神で参加しており、ウイン・ウインの関係が築けている」と話した。

――2020年4月に会長に就任した
来年3月で2期目が終了する。2期4年で組織は強くなった。前任の下村朱美会長(ミス・パリ代表取締役)が6年間で、女性らしい温かみにより組織を育てたことで会員同士の一体感が強まった。この土台があって今のNBCは力を発揮できている。経営者は辞めたあとに評価される。私への評価は下村氏への評価といえるし、次期会長時に私の成果も分かる。
――会長就任直後に新型コロナウイルス感染拡大に見舞われた
就任1年目は初めて経験する緊急事態宣言下で、活動自体が危ぶまれた。会員が減るのではと危惧したが、コロナ感染防止のためリモートワークが進んだことを受け、副会長、理事、事務局、会員の皆さんが自主的に動き、オンラインでのセミナーや会議などを開催してくれた。
――コロナ禍で学んだことは
リモートワークが当たり前になり、『東京にいる必要はない』ことに気づいた。おりしも海外で活躍する日本人経営者が増えており、東京にいても世界で活躍するベンチャー企業経営者と交流できる。世界を身近に感じてもらうため海外在住の経営者もオンラインで参加できる準会員制度を設けた。海外拠点もこれからだ。海外在住者が多いシンガポールやロンドン・ロサンゼルス・シリコンバレーのほか、台湾・韓国にもネットワークを拡げる予定だ。インド・アフリカにも設けてほしいという声もある。
――2年目から井川体制が本格始動した
就任時に課題としたのが『会員のためにNBCはどうあるべきか』ということで、2年目はその具現化を『メンバーファースト』と称し、その実践に動いた。社業発展の一助となるNBCの仕組みづくりに取り組み、サービスを組み直した。そのためには副会長や理事の支えはもちろん、活動を支える事務局の人員も補強した。
――メンバーファーストの具体的な活動は
NBCが会員企業の発展に貢献するには会員同士の交流が欠かせない。交じり合うことで互いに刺激を受けるからだ。学びの場である委員会や研究会、勉強会などをブラッシュアップする一方で、遊びの場となる同好会の活動も活発化。2日に一回は何らかの催しが行われており、それも会員が主体性をもって運営している。今年の3月25日開催の第9回ゴルフコンペも大雨にかかわらず約80人が集まった。
――会員数も増えている
就任時は約350人弱だったが、会員が会員を呼ぶことで現状は700人を超えている(3/31現在)。新会員になった方の中には、誰もが知っている大企業の社長・会長を退任されて個人で入会された方も多く、また上場企業の創業経営者、プロ経営者、代を引き継いだ経営者、スタートアップ、それを支える士業の方など、いろいろなバックグラウンドをもった人が入会し、若い経営者や女性経営者も増えた。会員同士が互いにリスペクトできるカルチャーがNBCにはある。歳は違ってもサークルみたいで仲間意識が強い。会員になることで、これまで出会うことのない人と出会い、人脈が膨らみ社業の発展を実感できているはずだ。
――若い会員が増えたということだが、将来の日本を担う学生へのアプローチは
個人会員に学生アソシエイト会員を追加した。起業意識の高い学生は増えており、昔のように大企業への就職だけでなく、起業も選択肢の一つになっている。しかも世界を見据えており、ビジネスプランも洗練されている。そこでNBCとしては、有望な学生の起業家精神の養成と、教育機関における学問としての起業家教育を広く根付かせることを目指すことにした。
――若い会員にとって参加するメリットは大きい
NBCには自ら起業し上場まで果たしたオーナー経営者が多く、ベンチャー経営者を応援したいという意識は強い。起業家の先輩としてボランティアでメンター(助言・指導者)を引き受ける会員も多い。こうした社会貢献はNBCの精神といえる。『ベンチャーを育てるから、自分も育つ』という感覚でメンターに取り組んでいる。また大企業経営の経験を持つ会員もいて、その知見を生で聞けるのも特徴だ。刺激を受けるのは間違いない。また東京証券取引所と提携したスタートアップ・メンタリング・プログラムやNasdaqJapanと組んだ米国マーケット上場へのアドバイスなど公的、関係機関との連携でベンチャー企業を支える環境は整ってきたと思う。
――ウイン・ウインの関係ということか
先輩経営者も自らの社業発展への貢献がベースにあって、その上でボランティアがある。スタートアップ・メンタリング・プログラムには、日本中からベンチャー起業家が集まってくる。ビジネスモデルを審査したうえで選ばれたベンチャー経営者のみ上場経営者の前でプレゼンを行うコンテストは、回を重ねるほど話題を呼んでいる。大手の証券会社や監査法人の協力もあり、プレゼンだけで終わらず、出資・資本提携や事業提携など、いろいろな面からベンチャー経営者をバックアップする体制も整ってきた。
――これから取り組むべき課題は
その一つが事業承継だ。経営者にとって人生を賭けて育ててきた企業を、後継者不在などの理由で手放す状況を手助けするのも、東京NBCの役目だと思っている。東京で700社、全国で4000社を超えるNBCネットワークでその解決の糸口を探りたい。その他、ベンチャー企業や小規模事業者を対象とした経営者保険、NBC健康保険組合など、将来を見据えたサービスの組成にも手を打っていく必要がある。こうした企業経営者や起業家支援策が構築できれば、東京NBCは企業経営者にとっても、起業を志す起業家にとってもなくてはならない団体になると思う。
井川 幸広(いかわ・ゆきひろ)
一般社団法人 東京ニュービジネス協議会 会長
1960年生まれ。佐賀県出身。
毎日映画社にて1年間勤務した後、独立。文化映画やテレビのドキュメンタリー番組などの監督・ディレクターとして活躍。企業のマーケティングのコンサルティングなどを経て、1990年3月、プロフェッショナル・エージェンシー 株式会社クリーク・アンド・リバー社を設立。
2000年NASDAQ JAPAN(旧JASADAQ)上場、2016年東証一部、2022年東証プライム。

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