サポートプラス社会保険労務士事務所 代表   長橋 知世

子育て終了の女性の社会進出を応援

2018年設立のサポートプラス社会保険労務士事務所は横浜を拠点に、顧問先企業の助成金申請や労務相談などを手掛けてきた。顧客に寄り添った丁寧な対応が評価され顧問先は100社に達した。子育て終了後に社労士資格を取得し独立した長橋知世代表は新たな目標として「40~50代の子育てを終えた女性の社会進出の応援」を掲げ、セカンドキャリアを歩む女性コミュニティー「ララ・コンシェルジュ」を立ち上げた。

――社労士事務所としての特徴は
事務所開設当時から顧問先企業をサポートしているのは全員女性で、新型コロナウイルス流行前だったがテレワークを可能とした。子育てと両立しながら働く環境づくりに取り組んでおり、今は6人中3人が在宅勤務を選んでいる。
――顧問先企業は順調に増えてきたのか
最初の3年間は死に物狂いで、土日も働き、寝るのは3時間程度だった。4年目に入ると女性スタッフも成長した。53歳で採用した女性も1年間教えると仕事を任せられる。おかげで私への電話相談が減った。若い企業が多かった顧問先の事業も落ちついてきた。学生起業家もいて、私が『母親代わり』のように面倒を見た。社長の平均年齢は約40歳だ。
――どんな企業が多いのか
業種はばらばら。設備導入など初期投資がかかる製造業は少なく、比較的かからないサービス業が多い。最初の1社は訪問看護で、従業員は15人ほどだったが、従業員を新たに雇い入れるための助成金申請を手伝ったことから今では百数十人規模になった。
――顧問先から頼りにされている
助成金については内容をよく知らない経営者も少なくないが、顧問先にとって最適な助成金を提案するのが得意。実際に助成金の申請実績は多い。顧問先の問い合わせには全力を挙げて回答するので頼られている。助成金の申請を行いながら会社の制度を整え、従業員の定着と生産性向上への手伝いが評価され、喜ばれていると自負している。
――そのかいあって顧問先は100社に達した
顧問契約をやめる企業はいないし、顧問先を紹介してくれる。必要とされていると実感している。私はやんちゃな2人の男児の子育てを終えて、45歳のときに社労士資格を取得。税理士事務所、社労士事務所での勤務を経て横浜で開業した。実は子育てでは挫折を経験した。『私の仕事は子供の幸せにすること』との考えから教育ママになってしまい反発を招いた。この経験が今に生きている。
――どういう意味か
子育てはキャリアであり、私も子育てを通じて多くのことを学び、多くの方々と交流し成長した。その経験が人としての成長につながった。社労士の仕事は社長の相談に寄り添うことだ。それは従業員の悩み、困りごとを解決することなのだが、子育ての経験が生きてくる。愚痴を聞くし、従業員ともめないようにアドバイスも送る。
――今後の展開は
今のスタッフ体制では100社で精いっぱい。私の目の届く範囲で業務を行いたいので新規の顧問先開拓をやめている。これからは40~50代で子育てを終えた女性の社会進出を応援していきたい。50代でもあと20年間は働ける。子育てというキャリアを使わないのはもったいない。起業でもいいし、企業につないで責任ある仕事に就かせたい。
――そのためのコミュニティーがララ・コンシュルジュということか
セカンドキャリアの女性たちが協業しながら、仕事もプライベートも輝いていけるコミュニティーだ。仕事に役立つビジネスセミナーや食事会、オンライン交流会など、プライベートを楽しみながらビジネスを広げていく活動を行っている。自己成長できる場であり、協業できる環境であり、女性の新しい生き方を承認する場だ。
――賛同する女性(会員)は何人いるのか
約60人に達した。会員になるとメンバー一人一人のキャリアストーリーが書かれたデジタルブックに掲載される。今は40人のストーリーを読むことができる。残り20年間は働ける40~50代の女性を勇気づけることができ、社会進出への一歩を踏み出せるはずだ。時給や働く場所だけでなく、得意を生かしたり、20年後の姿を考えたりしてキャリアアップを図るいい機会になる。能力を生かせば企業の管理職になれるし、レストランの店長にもなれる。
――費用は
入会金1万6500円とデジタルブックのキャリアストーリー作成費1万6500円が入会費用。毎月のイベントは実費がかかるが、年会費はない。女性の社会進出を促すには会員を100人、200人と増やす必要がある。そのためにはコミュニティーの知名度向上が欠かせないので、機会あるごとにアピールしていく。ララ・コンシェルジュは商標登録済みだが、これとは別に、働きたい女性と企業をつなぐ有料職業紹介業『ララ・ワーク』(商標登録申請中)をつくる予定だ。
――人材不足でどの企業も困っている
日本の社会は子育てがキャリアだと分かっていないので、40~50代女性の能力を生かし切れていない。女性側も残り20年間の人生について考えてこなかったし、子育てにより身についたマルチタスクや柔軟性、忍耐力、コミュニケーション能力をやりがい、生きがいに生かすべきだ。ララ・コンシェルジュを通じてヒアリングするので、本当にやりたいことを見つけてほしい。
長橋 知世(ながはし・ともよ)
サポートプラス社会保険労務士事務所 代表

1971年 静岡県沼津市生まれ
1989年 静岡県立沼津東高校卒
1993年 立教大学社会学部観光学科卒

一般企業、商業高校の教員として勤務したのち、出産を機に退職
2児の子育てが終わってから、社会保険労務士資格を取得
税理士事務所、社会保険労務士法人での勤務を経て横浜で社労士事務所の開業に至る

2016年 社会保険労務士試験合格
2017年 社会保険労務士登録
2018年 サポートプラス社会保険労務士事務所設立

Webサイト: https://supportplus-sr.com/

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