株式会社 レイテック 代表取締役社長   出口 隆信

知財のプロ集団としてトレンドのIPランドスケープに注力

特許や実用新案など知的財産と経営が一体化する中、知財のプロ集団を自負するレイテックは特許情報活用のトータルサポーターとして顧客企業の発展に貢献してきた。最近では、知財情報を分析して経営戦略に生かすIPランドスケープに関する受注にも力を入れる。「品質・納期・価格に絶対の自信を持つ」という出口隆信社長に今後の事業展開などを聞いた。

――9月13~15日に東京ビッグサイト(東京都江東区)で開催された「2023特許・情報フェア&コンファレンス」に出展した
初日の午前中からIPランドスケープなどへの相談が相次いだ。システム系では、当社のAI(人工知能)を使った特許解析システムを利用すると調査解析業務の大幅効率化を図れると案内している。『PAT-LIST-GLS/AI調査員』は特許母集団(調査対象)に含まれる類似特許を簡単かつ高精度で抽出できる。このため類似度を数値の高い順に並び替えして、高い順から調査すればよく、作業の効率化につながる。特徴はもう一つあり、それは自動分類機能だ。分類作業は時間と手間のかかる作業だが、これを大幅に短縮することができる。
――このほかに注目を集めたものは
知財戦略作成ツールの『PAT-ValueAs』だ。自社と他社の知財戦略を比較できるため、業界内における特許価値の相対的なポジショニングが分かり、自社の知財戦略の策定を効果的に行える。一方で、他社が何に力を入れているのか、価値の高い特許を持っているのか、が分かるので、知財から見た企業価値を客観的に評価できる。収益性も推測できる。
――最近の知財動向については
特許調査や解析業務などの企業からの依頼が減っている。AIで自ら解析、分類をしていることが影響しているのではないかと思われる。補うためIPランドスケープの活用支援に力を入れている。自社技術の強みが分かるからで、経営戦略の一環としてとらえる企業が増えてきた。
――IPランドスケープは経営にどんな影響を与えるのか
企業の知財部といえばこれまで、技術開発の成果を特許出願して権利を得るのが仕事だった。これからは知財の観点から経営判断を行う、言い換えると経営戦略に知財を役立てることが重要になる。例えばM&A(企業の合併・買収)にも知財部がかかわって目利きし、本当に企業成長に役立つかを評価すべきだ。知財部が経営に参加することで知財の地位が向上し収益への関心も高まる。
――企業価値の向上につながるということか
モノづくり企業はモノそのものに価値があるが、(米巨大テック企業の)『GAFAM』はモノよりサービスで収益を高めてきた。このように企業価値は見えないものにもある。このため自社の知財の強みを把握することで経営の方向性を変えることもできる。知財価値で経営全般が分かるわけではないが、企業価値の向上につながる。そのために知財を活用すべきだし、知財で儲ける必要がある。
――日本のモノづくりを支える中小企業の支援にもつながる
特許庁もIPランドスケープの活用を中小企業に呼び掛けている。自社の知財価値を知り、強みを生かすためにはどういう方向に進むべきかが分かれば収益を確保できる。優秀な技術を持つ中小企業は少なくないが、知財部の人員も予算もないところが多い。特許庁が支援するというのだから活用すべきだ。我々もいろいろなメニューを用意して支援しており、多くの依頼を受けている。
――どんなメニューを持っているのか
IPランドスケープを活用した新規事業の探索、開発、知財戦略の策定などを支援している。顧客ニーズの的確な把握、豊富な解析ノウハウの活用、様々な角度から特許情報を解析し、その上で技術の進展、市場変化を予測し、戦略を立案し報告書を作成する。
――知財のプロ集団として人材育成・確保はどうなっているのか
これまで企業の知財部OBを採用してきた。新人から育てるのは大変であり、教育期間が終わって、これから収益に貢献する時期に入る入社3~5年で辞めてしまう。新人育成は難しい。一方で60歳代も元気で、優秀な人なら80歳でも活躍してくれる。しかし、誰もが65歳まで働くようになってから採用が難しくなった。我々の仕事、例えば特許の調査・解析などは企業の最新技術に触れられるので魅力的だ。それを訴えていきたい。
――新しいビジネスにも挑戦すると聞いた
定年後の優秀な人たちを採用してきた。言い換えると、それだけお世話になってきた。 60~70代はまだまだ元気な人が多い。コミュニティーを作って得意なことや取得した資格をビジネスに生かしてほしいと考えている。特技も使わないと錆びてしまうので、もったいない。一方で使うと継続できる。世の役に立つし、社会とかかわりを持つことはいいこと。そのためのコミュニティーの場を構築したい。
出口 隆信(でぐち・たかのぶ)
株式会社レイテック 代表取締役社長 

化学プラントエンジニアリング会社から国際特許事務所を経て、1995年に株式会社レイテックを設立し、代表取締役社長に就任。

Webサイト: http://www.raytec.co.jp

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