廃水をなくす: 2030年までにゼロ・リキッド・ディスチャージ市場は27億ドルへと成長
スタートアップ企業やGE、ヴェオリアなど大手が発電所や工場からの廃水ゼロ化に貢献(ラックスリサーチ調べ)
先端技術の技術評価と市場分析を専門とする米調査会社ラックスリサーチ(本社:ボストン、www.luxresearchinc.com)は、『急成長を遂げるゼロ・リキッド・ディスチャージ市場における事業機会を評価する(Assessing Opportunities in the Fast-Growing Zero Liquid Discharge Market)』と題したレポートにまとめました。
昨今、水コストの値上がりや、地表水汚濁に対する懸念の高まりなどを受け、規制が強化されていることから、ゼロ・リキッド・ディスチャージ(ZDL)への注目が集まっています。ZDLは、発電所や工場などから液状の汚染物を出さずに処理する、廃水処理方法の一種です。このアプローチは特に規制の後押しを受けて新興国にて導入が増加しており、急速に市場を拡大しています。ラックスリサーチの調べでは、ZDL市場は今後毎年12%の成長率で拡大し、2030年時点には27億ドルへと成長する見込みです。
今回の調査では、ZDLの市場動向をまとめ、関連技術を開発するスタートアップ企業27社を『ラックス・イノベーション・グリッド』を用いて評価しました。下記が調査結果の一部です。
・Saltworks、Memsys、Aquatechがビジネス・エグゼキューション、技術価値共に高評価の『ドミナント』。Saltworks Technologies、Aquatech、 Memsysは熱処理ソリューションを提供しており、ラックス・イノベーション・グリッドにてトップ評価となりました。Saltworks Technologiesは低コストでシステムを提供しており、石油・ガスや鉱業大手企業の産業廃水処理に利用されています。
・膜システムも進化。Trevi Systems、Oasys Water、 New Logic Researchは低電力の膜システムを提供しており、ハイポテンシャルという評価になりました。Trevi Systemsは膜を通して廃水から水を切り離す際に利用するポリマーベースの誘導溶液を開発しています。Oasys Waterは処理が難しい、石炭気化や石油・ガスプラントでの廃水処理技術を開発しています。
・新興国が成長を牽引。ZDL市場は中国やインドなどの新興国にて導入が増加し、成長を牽引しています。中国、インドでは、石炭気化プラント、火力発電プラント、精製所、テキスタイル工場、蒸留酒製造所、製紙工場などの新規建設においてZDLシステム導入を義務化しています。
図: 水処理技術を開発する企業をラックス・イノベーション・グリッドにて評価
本調査を担当したラックスリサーチのリサーチアソシエート、アビラブ・バスのコメント:
『GEやVeolia、Aquatech InternationalなどのZLD分野の主要プロバイダーは、すでに大部分の市場シェアを確保していますが、先端技術を開発するスタートアップ企業はコストや電力削減にも取り組んでいるため、より広くソリューションを提供することが可能です。先進熱処理システム、膜蒸留システム、正浸透システムを開発するスタートアップはZLD稼働コストを大幅に削減することが可能です。』
本調査レポートはラックスリサーチの水インテリジェンスサービスにて提供しております。
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