【ニュースリリース】
カナダの炭素税制度は1,200億ドルの事業機会を生む
カナダのスタートアップ企業は温暖化ガス排出削減に関連する分野にて広く技術開発を実施、特に運輸や廃棄処理分野には高評価のスタートアップが集中
先端技術の技術評価と市場分析を専門とする米調査会社ラックスリサーチ(本社:ボストン、www.luxresearchinc.com)では、カナダの温暖化ガス排出削減に関連する技術開発動向について調査を実施し、『カナダの二酸化炭素削減技術エコシステムを分析する(Analyzing Canada’s Ecosystem for Carbon Emissions Reduction Technologies)』と題したレポートにまとめました。
2016年10月、カナダのジャスティン・トルドー首相は、各州に対し、2018年までに炭素税制度を導入するよう義務づけると発表しました。炭素税とは、気候変動につながる二酸化炭素の排出に対し課税するという制度です。カナダでは、2018年の導入時には最低価格をメトリックトンあたり10カナダドルとし、2022年までには50ドルへと引き上げる予定です。炭素税導入により、同国では2030年までに温暖化ガス排出量を5億2400万メトリックトンへと削減することを目標としています。
この発表を受け、ラックスリサーチでは、349のカナダ系スタートアップ企業から、石油・ガス、運輸、電気、建設、インダストリアル、農業、廃棄物処理の7分野において温暖化ガス排出量削減につながる技術開発を手がける76社を選択し、これら企業の技術や業務実行能力を『ラックス・イノベーション・グリッド』にて評価しました。下記が調査結果の一部です。
• 運輸と廃棄物処理分野にて関連技術開発を行う企業がトップ評価に。運輸や廃棄物処理分野のスタートアップ企業は技術・業務実行能力において高い評価となり、温暖化ガス削減への直接的な貢献が期待されます。また、建設分野においても削減目標へ向けた取り組みが進められており、その他、農業・電力分野においても短期的な成果への期待がもてます。一方で大規模導入が必要とされるインダストリアル分野にて成果を出すには時間がかかることが予想されます。
• カナダが技術開発のホットスポット化する。今後、世界のスタートアップ企業が事業機会を求めてカナダ市場へと参入し、今後カナダは技術開発のホットスポットとなります。 また世界的にも炭素税政策の導入が行われることが予想されるため、カナダ系スタートアップは、世界市場での事業展開を視野に入れた技術ポートフォリオ強化を実施していくでしょう。
• カナダは世界の見本となる。エミッション・ニュートラリティや温暖化ガス削減に向けた動きが今後世界レベルでさらに活発化します。しかし、成果を出していくためには、政府、企業、技術開発者の連携が欠かせません。カナダの炭素税政策は、短期思考で一度限りの成功ではなく、温暖化ガス削減という長期的なビジョンに基づくものである点が評価できます。
本調査を担当したラックスリサーチのシニアアナリスト、ユアン・シェン・ユーのコメント:
『カナダの州政府がどのように税金を活用していくかについては今後方針が固まる見込みですが、税収入にて得た資金をうまく割り当てていくことで、カナダは将来的にこの分野においてイノベーションをリードしていくことが可能になるでしょう。』
本調査レポートはラックスリサーチの新エネルギーインテリジェンスサービスにて提供しております。
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ラックスリサーチは先端技術分野に特化したアドバイザリーサービスを提供する調査・コンサルティング会社(本社:米国ボストン)です。プライマリーリサーチをベースとしたデータと事実に基づく分析により、固定観念にとらわれない独自の見解を提供いたします。
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戸口 久子 (
hisako.toguchi@luxresearchinc.com)