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グローベルス、駅近・コンパクトマンションの供給力強化

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Jトラストグループで、首都圏を中心に不動産事業を手掛けるグローベルス(東京都品川区)は上場を機に人材確保などに注力し、得意とする「単身者やディンクス(子供がいない共働き夫婦)向け駅近のコンパクトマンション」の供給力を高める。これにより同社の売り上げ規模を現状の約70億円から早期に100億円超に引き上げる。

同社は20日、東京証券取引所が開設しているプロ投資家向け株式市場「TOKYO PROMarket」に上場した(写真)。初値、終値とも1500円だった。上場により知名度と信用力を向上させ、不動産開発事業などの成長に向けた投資資金の調達力を高める。また若手人材を確保するほか、ガバナンス(企業統治)やコンプライアンス(法令順守)の強化にも取り組む。

同社は2021年に分譲マンション事業を加えて総合不動産企業として再スタート。マンションと戸建てを持つことで新たな成長戦略を描けるようになった。コアビジネスと位置付ける分譲マンションでは約8400戸を供給。以前は郊外のファミリータイプ物件が多かったが、07年以降はコンパクトマンションを強化。市場から「グローベルスは立地がいい駅近・コンパクトに強い」との評価を高めていった。

コンパクトマンションは大きな用地を必要としないため、駅前の好立地に建てることができ、シングルのほか、子供がいない共働きのパワーカップルや子供が独立したシニア層など2人住まいが利便性の高さから注目する。設備仕様や間取りなどもニーズに合わせることで人気化、分譲マンションは6棟連続して即売を達成した。

業績も好調に推移。24年3月期は売り上げ72億円(前期は60億円)、最終利益4億7000万円(2億円)と過去最高の収益を達成した。分譲マンションに加え、保有していた収益物件も取得価格を大きく上回って売却できたことが寄与した。

25年3月期以降もマンション、戸建て、収益物件とも拡販に取り組む。マンションでは久が原(東京都大田区)、浦和常盤(さいたま市)、立川(東京都立川市)で完売を目指す。一方で将来を見据えた動きも強化。不動産開発に欠かせない土地仕入れでは、新宿や渋谷、池袋といった山手線のターミナル駅(乗換駅)から60分程度(通勤時間)を候補地として、需要動向を踏まえながら取得していく。駅近・コンパクトへの需要が根強いと判断しており、ベテランが多い仕入れ担当の土地の目利き力を生かす。

一方で成長路線を歩むうえで課題となる若手人材の確保にも力を入れる。24年3月時点の正規雇用は48人。平均年齢は40代後半で、上場に伴う管理体制を強化する上でも中間層が足りないという。このため26年3月期には中途採用で5~10人ほど増やす計画。翌期以降も事業規模の拡大に合わせて段階的・加速度的に増員する予定で、売り上げの拡大に直結する営業・仕入れ部門で戦力増強に乗り出すだけでなく、法務や人事など間接部門も増員していく。

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藤田賢一代表取締役 若手人材確保に注力

グローベルスの藤田賢一代表取締役に上場後の成長戦略などを聞いた。

――上場の狙いは

まずは資金調達。上場して知名度と信用力を高め、金融機関からの融資につなげたい。2番目は若手人員の確保。平均年齢は40歳代後半で30歳台の中間層が足りない。3番目はガバナンスやコンプライアンスなど社内管理体制の整備。上場企業としての組織を作る。そのためにも優秀な人員が必要。今は50人・50億~60億円企業だが、売り上げ100億、150億円の企業体制にする。

――ベテランと若手の融合が必要なのか

ベテランが多く、優れた目利き力と独自の仕入れルートを持っており、土地を安定的に調達できる。この強みを生かしていくが、一方で新規マーケットを開拓するのは苦手。ここに若手を投入していきたい。若手を入れることで、これまでと違うマーケットを見ることができる。

――人材確保で組織強化にもつなげたい

人材は大きな課題。営業・仕入れのほか、管理体制を強化できるからだ。上場企業なので内部統制をしっかりする必要がある。プロ野球の監督時代に野村克也氏は「勝ちに不思議の勝ちあり。負けに不思議の負けなし」といった。負けるときは負けるべくして負けるというわけだ。管理体制も同じで、内部統制などがしっかりしていないと問題が起きてしまいかねない。今は中途採用のみだが、近いうちに新卒採用にも乗り出したい。

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