新たな保冷輸送がスタート ITEが佐渡汽船と連携
保冷技術開発のアイ・ティー・イー(ITE、東京都千代田区)は佐渡汽船(新潟県佐渡市)、佐渡汽船運輸(同)と連携し、新潟―佐渡間で保冷システム「アイスバッテリーシステム」を生かした低温物流に乗り出した。常温、冷蔵、冷凍の異なる温度帯の商品を一つのコンテナ内に混載して海上輸送する(写真)。
効率的な保冷輸送を実現することで物流の活性化を目指す。トラックドライバーなどの時間外労働時間の上限を規制する「2024年問題」の解消や二酸化炭素(CO2)の排出削減につなげる狙いもある。
アイスバッテリーシステムは、低温物流に最適な高性能保冷剤「アイスバッテリー」を使用。冷蔵庫で事前に冷やしておけば、CO2を排出するドライアイスや電源に頼らずに一定の温度(マイナス35~25度)を最大160時間維持できる。
繰り返し使うことも、温度帯の調整も可能だ。これにより低温での輸送が欠かせない生鮮食品や医薬品などを必要とする場所に届けられないという問題を解決する。
新潟―佐渡間の保冷輸送はこれまで、ドライアイスを使った保冷コンテナか、冷蔵・冷凍トラックが必要だった。ドライアイスを使うと保冷時間が限られ、トラックをカーフェリーに乗せる場合はドライバーの拘束時間が長くなる。これらの課題を解決するのがアイスバッテリーシステムといえる。
同システムによる海上輸送は7月から本格スタート。6フィートコンテナにアイスバッテリーで温度管理したパレット4台を格納。パレットごとの温度管理が可能なため、異なる温度帯の商品を混載して運べる。既存の輸送では温度帯ごとにコンテナやトラックを使わなければならなかった。ITEによると、同じコンテナ内で複数温度帯の商品を混載した海上輸送は国内初となる。
同社は本土と離島を結ぶ海上輸送のロールモデルとなりうると判断。佐渡汽船と同様の離島向けサービスを手掛ける企業に売り込みを図っていく考えだ。