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中小企業の「シン人材確保戦略」を考える

第9回

9割の中小企業が知らない「すごいハローワーク採用」のやり方(前編)

一般社団法人パーソナル雇用普及協会  萩原 京二

 

企業が人材の募集をしようとする場合、求人広告や折り込みチラシ、職業紹介会社などに依頼することを思い浮かべる方が多いと思います。しかし、その前にぜひやっていただきたいことがあります。それはハローワークに求人を出すことです。

ハローワークというと、かつての「職安」のイメージが強く、あまり良いイメージを持っていない経営者も多いかもしれませんが、最近のハローワーク求人は驚くべき進化と遂げています。そこで、今回と次回の2回にわたって、「すごいハローワーク採用」のやり方についてお伝えをしたいと思います。

ハローワーク(公共職業安定所)とは、国(厚生労働省)が管轄する公共の就職支援機関のことです。簡単に言うと、ハローワークとは就職に困っている人を、国が支援して就職の手助けをしてくれる機関なのです。企業がハローワークに求人を出すことには、以下のようなメリットがあります。


1.採用にかかる費用を抑えられる

新たに人材を採用するため、求人媒体や人材紹介サービスなどを利用する場合、掲載費や手数料がかかるのが一般的です。その一方で、ハローワークは厚生労働省が管轄する公共の就職支援機関なので、求人を出す際に費用は一切発生しません。そのため、「採用活動にかかる費用を抑えたい」という企業にとくにおすすめです。


2.多くの求職者に求人を見てもらえる

ハローワークを利用する求職者は多く、厚生労働省の発表によると令和3年度の新規求職者数は449.2万人です。1日あたり約13万人が利用している計算になるため、ハローワークに求人を出せば多くの求職者の目に留まり、採用活動を軌道に乗せやすくなると考えられます。また、ハローワークに申し込んだ求人は、全国のハローワークやハローワークインターネットサービスを通じて、全国の求職者に広く提供される仕組みになっています。そのため、母集団(自社に応募してくれる応募者の集まり)を形成しやすくなるでしょう。


3.求職者に安心感を与えられる

厚生労働省が管轄しているという点から、ハローワークに求人を出した場合、求職者に安心感を与えることができます。すなわち、求職者の求人に応募するハードルを下げられるということです。ハローワークは、若年層から高年層まで幅広い年代の求職者が利用しているため、積極的に求人を出すことで求める人材からの応募が期待できます。


4.求人掲載の期間を延ばしやすい

ハローワークの求人掲載期間は「申し込みをした月を含めて3か月間」です。そのため、基本的には公開した月の翌々月の末日で掲載が終了します。ただし、再掲載を依頼すれば期間を延長することが可能です。面倒な書類作成や手続きは不要なので、手間なく採用活動を続けられます。


5.助成金を得られる場合がある

ハローワークを経由して人材を雇用した場合、一定の条件を満たせば助成金を受給できます。たとえば、高年齢者や障害者などの就職困難者を、ハローワークまたは民間の職業紹介事業者の紹介により継続して雇用した場合は「特定求職者雇用開発助成金」を得られます。具体的な支給額は、対象労働者の類型と企業規模に応じて変わりますが、たとえば「短時間労働者以外の者:高年齢者(60歳以上65歳未満)、母子家庭の母など」の場合は60万円となります。


 

プロフィール

一般社団法人パーソナル雇用普及協会
代表理事 萩原 京二

1963年、東京生まれ。早稲田大学法学部卒。株式会社東芝(1986年4月~1995年9月)、ソニー生命保険株式会社(1995年10月~1999年5月)への勤務を経て、1998年社労士として開業。顧問先を1件も持たず、職員を雇わずに、たった1人で年商1億円を稼ぐカリスマ社労士になる。そのノウハウを体系化して「社労士事務所の経営コンサルタント」へと転身。現在では、200事務所を擁する会員制度(コミュニティー)を運営し、会員事務所を介して約4000社の中小企業の経営支援を行っている。2023年7月、一般社団法人パーソナル雇用普及協会を設立し、代表理事に就任。「ニッポンの働き方を変える」を合言葉に、個人のライフスタイルに合わせて自由な働き方ができる「パーソナル雇用制度」の普及活動に取り組んでいる。


Webサイト:一般社団法人パーソナル雇用普及協会

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