全国の郵便局で終活相談 「郵便局の終活日和」提供開始相続
「縁起が悪い」「まだ早い」と敬遠されがちな終活だが、元気なうちに相続などに備えておけばこれからの暮らしを豊かにできる―。こうした考えから日本郵便は、全国の郵便局で顧客の終活をサポートするサービス「郵便局の終活日和」を始めた。高齢者やその家族から相談ニーズが高まっていることに対応するためで、ニーズは高いと判断した。
専用のコールセンター「生活相談ダイヤル(0120-65-3741=ろうご・みなよい)」で、顧客の相談に無料で応じ、要望によって終活関連の提携企業を紹介する。コールセンターに直接電話をかけることも、郵便局の社員がコールセンターへの電話をサポートすることもできる。
提携企業を紹介できるサービスは、遺言作成や相続手続きの代行、介護施設・賃貸住宅への入居時の保証、葬儀・埋葬の代行など死後事務委任、葬儀場の案内、墓石・埋葬場所の紹介、介護施設の紹介、入院・施設入居後の家財整理、空き家の解体など。自分史作成や思い出写真出張撮影サービスも紹介できる。提携企業を紹介後、相談・見積もりまでは無料だが、サービス提供は有料となる。
このうち相続に関しては顧客の希望に応じて、相続診断協会が認定する相続診断士の資格などを取得した日本郵便社員が相談に対応。内容によって提携する行政書士や税理士といった士業を紹介する。
日本郵便の小川晃弘・地方創生推進部担当部長は「資格取得により相続について詳しくなるので(顧客満足向上に)役立つ」と指摘。その上で「郵便局と親和性が高いサービス。顧客の相続相談に適切に応じられる社員を育成していきたい」と話した。同協会によると、今回のサービス開始にあたり300人超の社員がすでに資格を取得した。
同協会は「日本から争う相続をなくし、笑顔相続を普及する」ことを目的に、相続診断士の地位向上と国家資格を目指して活動している。2月末時点で4万8000人超が資格を取得している。
日本郵便は終活相談に応じるサービスを開始するに当たり、2018年度から試行エリアを東京、北海道、関東と順次拡大。「ビジネスとして成り立つか」「顧客の反応は」「社員の負荷は」といった視点で検討してきたが、顧客の評価は高く、社員も相談から専門家の紹介までストレスなく対応できることが分かったため、全国展開に踏み切った。顧客と地域を支える郵便局として、貯金や保険などに続く生活サポート手段として充実させていく。
そのためには「郵便局の終活日和」の知名度を上げていく必要があり、チラシやパンフレットを制作して配置。「郵便局と一緒に『これから』の生活について考えてみませんか」と呼びかけ、「これからに元気を」「大切な人に安心を」と終活の必要性を訴えていく。