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ITE、インドで低温物流を本格展開 現地の鉄道貨物最大手と組んで運行開始

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保冷システムを手掛けるアイ・ティー・イー(ITE、東京都千代田区)がインド市場に本格進出する。冷蔵・冷凍インフラが未整備の同国で、ITEが提供する低温物流システム「アイスバッテリーシステム」の有効性を確認できたため。来年から貨物鉄道を使って運用を始める。

同システムは、高性能蓄冷材「アイスバッテリー」と専用ボックス、コンテナなどを活用することで、ドライアイスも電源も頼らずに一定の温度・湿度を長時間維持する。これにより低温での輸送が欠かせない生鮮食品や医薬品などを必要とする場所に届けられないという問題を解決する。

ITEは11月2~4日、アイスバッテリーシステムがこうした期待に応えられるかを実証するため、インド国営の鉄道貨物最大手CONCOR(コンコール、コンテナ・コーポレーション・オブ・インディア)と貨物専用線(DFC)を使って試験運行を行った。

このために開発した40フィートアイスバッテリーコンテナ1台(写真=先頭車両の上段)に果物を積んで、ニューデリー近くのダディリから南下し、グジャラート州パランプールまで鉄道で輸送。ここからトレーラートラックに乗せ替えて同州の商業都市ムンドゥラまで運んだ。

輸送距離は約1200キロ。約30時間かかったが、果物はすべて新鮮な状態を維持した。DFCで輸送中に電源なしで低温物流を実現したのは世界初という。

貨物輸送が実現すれば交通渋滞・事故の回避と輸送時間の短縮を図れるほか①貨物の品質を担保②約70%の二酸化炭素(CO2)排出量の削減③生鮮品の鮮度維持④輸送コスト削減⑤輸送中の電源不要でも約3日間保冷―といった効果が期待できるという。両社はこれを踏まえ、今回の路線以外にも貨物鉄道を使った低温物流を展開する予定だ。

インドは低温物流のインフラ不足により年間約40%の食品が廃棄されている。特に野菜や果物は収穫されてから常温で市場に輸送されるため、マーケットに届くまでに大量に腐り廃棄されている。医薬品も温度管理されずに輸送されるほか、停電が多く発生するため保管している医薬品も廃棄されてしまうという。

コンコールのアザール・シャームス取締役は「アイスバッテリーシステムの技術は低温物流のゲームチェンジャーになりうる」と指摘。その上で「生鮮食品の鮮度を保つという点でDFC輸送に最適で、時間通りの配達とCO2排出量ゼロを実現できる」と話した。ITEの創業者兼CEO(最高経営責任者)で、インド出身のパンカジ・ガルグ氏は「インドのコールドチェーンの課題解決に貢献できる」と意気込んだ。

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