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JTG証券 富裕層開拓に乗り出す。プライベートバンカーを獲得・育成

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JトラストグループのJトラストグローバル(JTG)証券は2024年から、個人金融資産1億~5億円を保有する富裕層を新たなターゲットと捉え顧客開拓に乗り出す。従来の金融資産5000万~1億円の準富裕層向けビジネスとの両輪で攻め、早期に預かり資産を現状の3400億円から1兆円に増やす。このためプライベートバンキングサービスを提供できる人材の獲得・育成に力を入れる。

23年10月に社長に就任した矢田耕一氏が明らかにした。同氏は楽天グループで証券(運用)と銀行(融資)の両業務を担ってきた。富裕層ビジネスにも精通している。Jトラストの藤澤信義社長の独自の金融哲学に共感、招請に応じた。

JTG証券の前身はエイチ・エス(HS)証券で、Jトラストが22年3月に連結子会社化し同10月に商号を変更した。HS証券は準富裕層に強かった。

24年から矢田体制のもと、プライベートバンキングサービスに注力する。矢田氏は「5億円超の金融資産をもつ超富裕層にはすでにプライベートバンカーがついており、運用相談などに応えている。しかし富裕層が満足するサービスを提供する金融機関は少ない」と指摘。「プライベートバンキングサービスを提供するウェルスマネジメントのJTG証券」を前面に打ち出すことにした。

このため、運用面では株式だけでなく、米ドル債を主軸にポートフォリオとしてインドなど成長国の通貨建て債券などを用意。この一環としてセミナーも開催していく。さらに非金融サービスも提供する。またキャッシュフロー面では証券担保ローンの活用などを呼び掛ける。

金融資産5000万~5億円のターゲット層はスタートアップ・ベンチャー企業の創業オーナーも多い。企業成長をサポートしながら、創業者のプライベートバンカーとして資産運用ニーズにも応えていく。

株式市場も後押しする。23年の日本株は歴史的な上昇を遂げた。日経平均株価は3万3463円で終え、22年末比7369円(28%)高となった。上げ幅は史上最高値を付けた1989年以来の大きさで、実に33年ぶりの高値水準で推移する。日本企業は24年度も増益基調を維持するとの見方は強い。このため、最高値(89年の3万8915円)更新の期待は膨らむ。

プライベートバンキングサービスの拡充に欠かせない人材の育成・獲得にも力を注ぐ。日本市場に参入した外資系投資銀行でプライベートバンキング業務に携わった人材など、楽天グループ時代に築いた自らの人脈を生かして声をかけていく考え。JTG証券で働く証券マンの育成にも本格的に乗り出す。これにより当初は数人程度でスタートし、早期の10人態勢を目指す。

野村総合研究所によると、21年に純金融資産保有額(金融資産合計額から不動産購入に伴う負債を差し引いた額)が1億円以上の富裕層・超富裕層は149万世帯で、総額は364兆円に達した。ともに13年以降は一貫して増加を続ける。

1億~5億円の富裕層には事業オーナーも多く、金融機関にとって重要なセグメントと指摘。注目されているのはスタートアップ経営者で、事業の立ち上げや運営支援を担う金融機関にはスタートアップが抱える悩みや課題をプライベートも含めて把握し、理解することが求められている。まさにプライベートバンキングサービスであり、JTG証券の戦略が功を奏すか注目される。

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