第10回
ブランディング、それは
今回でブランディングコラムも最終回です。 ブランディングの導入として、できるだけ簡易にご紹介させて頂いてきました。まだまだ具体的取組み、ブランディングの各段階での磨き方、ポイントなど、お伝えしたいことは沢山あります。ですが、最終回の今回は「ブランド戦略」の全体像、実際に取組まれるであろう「リブランディング」への取組みでの要点についてまとめ、締めとさせて頂きます。
ブランド戦略は、いったい何のための戦略なのか
ブランド戦略は、顧客との新たなリレーションシップ構築のための戦略です。
既にビジネスを行っている方、そういった組織に所属されている方には、既にブランドは存在しています。そのブランドは、顧客、マーケットと自らの望んだリレーションシップを築けているでしょうか?
もし、この質問にYESと応えることができないようでしたら、ブランド戦略を見直してみるべきです。そこには、自分たちで見えていないブレ、甘さが隠れているかもしれません。現状の先にある未来でなく、自らの望む未来に向けた取組みが、ブランド戦略です。
リブランディングの要点
それでは、既にあるブランドをいかにして自らの目指すブランドに再構築していくのか(リブランディング)、その要点をご紹介します。この要点は、ゼロからブランドを起こす時に加えて、リブランディングで特に重要となるであろう3つのポイントです。
・チームを創る
リブランディングは、簡単ではありません。既にそのブランドの持ってしまっているイメージ、文化、風土を変えていかなくはならないのですから。リブランディングに取組むチームは、最高のメンバーで構成すべきです。営業の最前線、人事、マーケティング部など、横断的な部署から今後組織の中核を期待するメンバーで構成するのがベストです。なんとなくのメンバーでは、リブランディングは実現できません。
・経営者は、本気で挑む
チームを創り、プロジェクトがスタートしたら経営者の方も、もちろん本気で取組まなくては成功しません。中途半端では、結局変わらないブランドにしかなりません。リブランディングでは、様々な決断をしなくてはならず、そこはやはり経営者の後押しが必要です。 経営者の方は、逸材を選んだら、そのメンバーにおもいきって任せる気概を持って下さい。 ブランド戦略は、経営戦略の一部として組込み全社的な取組みとすべきです。
・あきらめない、継続するような体制
リブランディングでは、いくつもの壁にぶつかります。変えるより、そのままでいたいと思う力は強いものです。ブランディングではコンセプトを磨き上げて、とがった取組みを行うこともあります。そんな時、必ずと言っていい程「そんなことやらなくてもいいのでは?」「そんなことしたらかえって・・・」「もうちょっと無難な・・・」といった話しが浮上します。そこでは、諦めずに取組み続ける強い意志と、体制が必要です。体制とは、例えば決定を下す時に再度、ブランドコンセプトのフィルターで検討する決定会議での承認を必要とするなどです。 意志だけでは突き抜けることができないこともあります。そのため、継続して革新していくリブランディングの取組を体制として構築しておくことも大切です。
「ブランディング」、それは変わり続けること
ブランディングプロジェクトは、取組んでからがスタートです。何か構築して終わるのではなく、時代背景、環境の変化を認識して、常にブラッシュアップし続けなくてはなりません。これまでご紹介させて頂いてきたように、変わってはいけないコアは大切です。ですが、環境が変わり、お客さんの感じ方、認識、受け取り方が変わってくれば、それに対して変えていかなければならない要素もあります。
この点を見落としてしまうと、ブランドは次第に劣化します。ブランディングは、成熟市場で重要であり、特に効果が見込める施策です。マーケットが価格でしか選べなくなっているからこそ、本気で取組む価値があります。チャレンジしてみて下さい。
今回で最終回となりました。ブランディングは、情報過多になっている現代、企業、個人にとって重要な施策となっています。本コラムでご紹介した内容が、少しでもその施策を考える役に立てれば嬉しいです。最後まで有難う御座いました。
プロフィール
パートナーオブスターズ株式会社
代表取締役 星野 善宣
1979年生まれ、新潟出身。北海道大学工学部卒業後、大手専門商社にて海外(アジア市場)営業、中小企業向けコンサルティングファームにて業務変革、組織リストラクチャリングに従事。2007年1月パートナーオブスターズ株式会社設立、同社代表取締役。 スタートアップ/ベンチャー企業支援に特化した成長支援サポートサービス(ブランディング、広報PR、顧問サービス等)を提供。
地元新潟のベンチャーキャピタル取締役を2016年より兼務し、スタートアップによる地方創生にも取組む。
Webサイト:パートナーオブスターズ株式会社