第7回
見た目は、やっぱり大切 ~エクスターナルブランディング~
第6回までのコラムでは、ブランドの考え方、内部の磨き込み、内部軸などについてご紹介してきました。けれど、ほとんどの方は「ブランディング」という言葉を最初にきいて思い浮かべるのは、ロゴ、商標(トレードマーク)、デザイン、商品、パッケージ、ネーミングなど具体的なビジュアル要素、耳にするメッセージではないでしょうか。今回は、このビジュアル要素を中心です。タイトルにも書いた「見た目は、やっぱり大切」。ここからスタートして、ウェブ、ツール活用、コンタクトマネジメント、プロモーションなど外的要素に対するブランディング(エクスターナルブランディング)についてご紹介します。
ブランディング、それはイメージの共有
ブランドは、相手の認識によって構築されます。外的ブランディングで大切なのは、この認識されるイメージと、自ら思われたいイメージを一致させることです。ヒトが認識する情報の大部分は、「目」「耳」からインプットされます。そこでこの目と耳のコンタクトポイントからブランド施策を検討していくのですが、かなりの広範囲が対象となるため、闇雲に進めては困惑してしまいます。そこで役立つのが、ブランドマップ(設計図、定義書など呼び名は、様々あります)です。マップは、ブランド要素を書き上げて、コンタクトポイントを視覚的にわかるようにまとめたものです。このマップをもとに、顧客に伝わる要素の整合性を徹底していくことで、ブランドの強度は強くなっていきます。
ブランドマップと、そのマネジメント
ブランドマップ作成では、媒体(紙、ネット含む)、リアル(店舗、イベント、人など)、間接コンタクトを、漏れなくリストアップすることから始めます。この時、把握しておかなくてはならないのが自社で直接発信する(管理できる)要素と、そうでない要素(間接的要素)についてです。ロゴ、インフォメーション、自社サイト、プレスリリース、店舗サービスなどは自社で管理することができますが、口コミ、類似品との比較サイトなど自社だけでは管理することができませんので、ブランド対策も異なってきます。そのため、ブランドマップで把握できるようにしておくことで効果的な運用も可能となります。
ブランドマネジメントでは、基本的には直接的に管理できる要素に対して対策を行っていき、間接的要素への影響、動向を調査、改善していきます。また、ブランドマップはコンタクトポイントの把握とともに、内部要素などのブランドイズムを明記することで、整合性の評価もできるようにして運用します。
ノウハウ・メソッド
ビジュアルなど直接的にブランドと触れ合う要素は、微調整を繰り返すことが必要不可欠です。ブランドと言うと、「変わらないことがブランド」だと思い込んで変えないことにコダワってしまう方が多くいますが、市場、環境が変化していくのですから、この点は必然です。
言葉の受け取られ方も、時代背景によって大きく変わることがよくあります。ですから継続的メンテナンスを行わなくてはなりません。
この時、変えてはいけないのがブランドイズムです。なんでもかんでも変えないのではなく、変えずに守るべきことと、環境変化によって変えていくべきことを把握していくうえでも、ブランドマップは役に立ちますので、まずブランドマップ制作にチャレンジしてみて下さい。
次回は、「 コミュニケーションがブランドを育てる ?エンゲージメントブランディング?」です。ブランド育成していくには、発信だけでなく認知される相手とのコミュニケーションが大切です。次回、楽しみにしていて下さい。
プロフィール
パートナーオブスターズ株式会社
代表取締役 星野 善宣
1979年生まれ、新潟出身。北海道大学工学部卒業後、大手専門商社にて海外(アジア市場)営業、中小企業向けコンサルティングファームにて業務変革、組織リストラクチャリングに従事。2007年1月パートナーオブスターズ株式会社設立、同社代表取締役。 スタートアップ/ベンチャー企業支援に特化した成長支援サポートサービス(ブランディング、広報PR、顧問サービス等)を提供。
地元新潟のベンチャーキャピタル取締役を2016年より兼務し、スタートアップによる地方創生にも取組む。
Webサイト:パートナーオブスターズ株式会社