第8回
コミュニケーションがブランドを育てる ~エンゲージメントブランディング~
8回目の今回は、ブランドの育て方についてです。
どんなブランドも生まれてからが、大切です。惚れ込んだとんがった商品、サービスができるとそれで満足してしまい、最初は順調でもいつのまにか下降していく商品、サービスは多くあります。ブランドとして育つには、何が必要なのか、そのポイントを今回はご紹介します。
エンゲージメントブランディング
あまり聞いたことがないかもしれません。
エンゲージメントは、近年欧米で注目されてきた概念で、多くの企業が最優先課題として考えてもいます。単なるツナガリではなく、もう一歩先の愛着心、信頼といったレベルの定義で、「ツナガリ ⇒ キヅナ」と考えるとイメージし易いかもしれません。
取組みについて簡単に言うと、「ステークホルダーに何を約束し、何を実行するかを明確にしていこう」です。ステークホルダーには、お客さん、取引先、従業員などが含まれ、内部、外部両方向への施策が必要とされます。最近は、日本でもTwitter、Facebookといったソーシャルメディアが急速に拡大しており、エンゲージメントは重要視されてきています。
取組み
エンゲージメントを評価する指標については、海外、国内とも様々な定義がされています。ですが、なかなか「これっ」という指標がないのも実状です。その理由としては、エンゲージメントという概念は対象が広く、意外と複雑な(感情的要素、市場変化による影響など)ためです。
そんな専門的で複雑なことをここでご紹介しても何の役に立ちませんので、身近でイメージし易い対策について、ご紹介します。
導入しやすく、多くの企業が取り組み始めている対策が、コミュニケーション強化によるエンゲージメント対策です。先ほども触れたソーシャルメディアの拡大により、費用もさほどかけずに効果的な取組みができるようになりました。これまでは、企業側が情報発信を行い、受け手はその情報を一方的にただ受けとるしかなかったので、消化不良を起こってきました。発信頻度によっては、受け手に取って「迷惑」だと感じる情報も、何とかして届けたいという意図から、様々な手段で発信を繰り返してきた企業が多いのではないでしょうか。
エンゲージメントでは一方通行ではなく、相互情報が基本です。受け手側も欲しい情報と、そうでない情報を選択することができますし、意見を伝えることができるようにすべきです。そうすることで消化不良を解消し、ツナガリに共感を+していくことができ、ツナガリ ⇒ キヅナへと成長していきます。この取組みは、外部向けだけでなく、内部(従業員、関連取引先等)に対しても同様です。外部、内部共にエンゲージメントが高まると善循環が生まれ、ブランドが育っていく下地にもなります。
ノウハウ・メソッド
エンゲージメントブランディングでは、難しく考えず「エンゲージメントを強くする」という意志を持って、一つ一つを見直していくことから始めて下さい。頭で考えすぎると、ほとんどの場合、自分よがりな対策になります。相手とのコミュニケーションから、自己のブランドイズムを明確にしていく繰り返しが、エンゲージメントを強化します。
大切なのは、意見を聞いて、それをそのまま鵜呑みにしないということです。意見は意見として受入れ、その意見を自らの「ブランドイズムのフィルター」を通すことで、どういう考えに改善するかが、ブランド力向上には必要です。一貫性のないコミュニケーションは、結果、信頼を失ってしまいます。これは人間関係も同じですね。
ただコミュニケーションを取るのではなく、自らのブランドイズムを明確にしたコミュニケーション、これがポイントです。
次回は、エンゲージメントブランディングでも重要となっているソーシャルメディア活用におけるブランディングに関して事例を含めてご紹介します。ご質問なども頂ければ、残り2回のコラムにて回答もさせて頂きますので、お気軽にお問合せ下さい。
プロフィール
パートナーオブスターズ株式会社
代表取締役 星野 善宣
1979年生まれ、新潟出身。北海道大学工学部卒業後、大手専門商社にて海外(アジア市場)営業、中小企業向けコンサルティングファームにて業務変革、組織リストラクチャリングに従事。2007年1月パートナーオブスターズ株式会社設立、同社代表取締役。 スタートアップ/ベンチャー企業支援に特化した成長支援サポートサービス(ブランディング、広報PR、顧問サービス等)を提供。
地元新潟のベンチャーキャピタル取締役を2016年より兼務し、スタートアップによる地方創生にも取組む。
Webサイト:パートナーオブスターズ株式会社