第9回目
震災関連情報9
今回のコラムを執筆する、有限会社人事・労務の本領と申します。
このコラムでは、社会保険労務士事務所を母体とした人事コンサルティング会社として、私たちの専門分野である労務管理の視点から見た震災に対しての対応策をまとめております。
経営者の皆様、人事・総務担当者の皆様のお仕事のご参考にしていただければ幸いでございます
第9回目
このたびの、東日本大震災に対する会社(人事労務部門)が行うべき緊急対策について、情報を提供させていただきましたが、お客様から多くいただいている質問をまとめました。ご参考にしていただければと思います
1 解雇のリスクについて
- Q1.地震により会社の業績が悪化し、従業員を解雇しなければならなくなりました。パートアルバイトと正社員のどちらを先に解雇したらよろしいですか?
- Q2.地震により会社の業績が悪くなり、解雇をしなければならなくなりました。会社が正当に解雇する為に、要件がありますか?
- Q3.解雇はリスクが高いと言われており、解雇は避けたほうがよいと言われています。具体的に解雇するとどのようなリスクがあるのですか?
- Q4.地震により、社員を解雇する場合は、解雇予告手当は支払う必要がありますか?
- Q5.社員が震災地にある実家に帰ってから、3週間以上も戻ってきません。有給休暇もなくなってしまうので、どのようにしたらよいのか困っています。解雇してもよいものなのでしょうか?
2 この時期に使えそうな助成金について
1.解雇のリスクについて
- Q1.地震により会社の業績が悪化し、従業員を解雇しなければならなくなりました。
パートアルバイトと正社員のどちらを先に解雇したらよろしいですか? A1.過去の判例によると、「パートが先、正社員が後」が原則とされています。
パートアルバイトも、労働基準法その他の労働者保護法令の適用対象者であり、正社員と同じ労働者であることには変わりありません。
しかし、正社員は基本的に定年までの長期雇用の期待のもとに期間の定めなく雇用されているのに対し、パートアルバイトは、景気変動に対応し、不況時に雇用調整を図るという前提のもとに比較的簡易な採用手続きにより雇用されている、という違いがあります。
したがって、正社員とパートアルバイトでは、「企業との結びつきの度合いにおいておのずから差異があるのであって、むしろ特段の事情がない限り、まず、臨時社員の削減を図るのが社会的にみても合理的」(昭55.12.16東京高判、日立メディコ事件、労民集31.6.1224)と判例にも解されています。また、「使用者が企業経営の必要から労働者の整理を行おうとする場合には、まずパートタイムの労働者を先にして、その後、フルタイムの労働者に及ぼすべきものであり、それを逆にすることは、原則として、許されない」(昭42.12.19東京地判、春風堂事件、判時503.18)とか、「整理解雇の場面においては、特段の事情がない限り、まず準社員の人員削減を図るのが合理的」(平10.6.2高松地判、高松重機事件、労判751.63)といった裁判例もあります。したがいまして、正社員をパートアルバイトより先に整理解雇の対象とすることは、一般的に解雇権の濫用となると思われます。
以上のことを考えてみると、一般的には人員削減の順序は、
- パートアルバイトの解雇
- 定年後再雇用者の解雇
- 正社員の希望退職の募集(これを①としても可)
- 非正規社員で常用的雇用労働者の解雇(長期に反復継続して契約更新した者等)
- 正社員の解雇
となると思われます。
もっとも、これは、正社員は解雇することはできないが、パートアルバイトであれば、簡単に解雇できるというわけではありません。Q18で説明するように、正社員であろうとパートアルバイトであろうと、解雇はリスクが高いので、最終手段だと考えるべきです。
- Q2.地震により会社の業績が悪くなり、解雇をしなければならなくなりました。
会社が社員を正当に解雇する為に、要件がありますか? A2.今回の地震による直接的な被害を受け、事業の継続が困難である等のやむを得ない理由がない限り、解雇が正当に認められることはありません。ただ、過去の判例には、これらの解雇の判断基準が示されているものがあります。
企業の経営上の必要に基づいて行われる余剰人員の解雇を、「整理解雇」と言います。「整理解雇」も解雇であり、解雇を行う為には、就業規則上の根拠が必要です。よくある条文として、普通解雇の一事由である「経営上の必要があるとき」といった文言の規定に基づくことが多いです。
この「整理解雇」を行う為の条件は、判例(長崎地大村支判昭50.12.24判時813.98大村野上造船所事件、東京高判昭54.10.29労民集30.5.1002東洋酸素事件)で示された「整理解雇の4要件」により実務が行われています。
この「整理解雇の4要件」は次の通りとされています。このいずれかが欠けても、権利を濫用したものとみなされ、解雇が無効となる可能性が高いので、「整理解雇」をする場合は、慎重に進める必要があります。
- 人員削減の必要性があるか?
人員削減の必要性があるか否かについては、相当の経営上の必要性が認められなければならないとされています。なぜならば、人員削減は、労働者に特段の責められるべき理由がないのに、使用者の都合により一方的になされるものであるからだと言われています。ただし、実務的には、企業の合理的運営上やむを得ない必要性があれば足りるとして、経営裁量を広く認める判例もあります。 - 解雇回避努力義務を行ったか?
Q7の賃金カットと同様、役員報酬の削減、新規採用の抑制、希望退職者の募集、配置転換、出向、割増退職金の支給、転職支援等によって、整理解雇を回避する為の相当の経営努力が行われているか否かが判断の基準となります。 - 対象者の人選は合理的か?
対象者の人選基準が合理的であり、実際に行った人選も合理的かつ公平でなければならないとされています。人選に恣意的なものが認められる場合には、合理的と判断されません。労働組合がある会社においては、不当労働行為(労働組合の役員を解雇対象とするなど)に注意する必要があります。 - 手続きの妥当性はあるか?
整理解雇にあたって、手続きの妥当性が非常に重視されています。説明会の回数や経営状況や整理解雇に至った経緯、経営改善案等に関して十分な説明を行っているのか否かが、判断の基準となります。説明や協議など納得を得る為の手順を踏んでいない整理解雇は、他の要件を満たす場合であっても無効とされるケースも多くあるので、注意が必要です。
以上のように4つの要件が明確になっていますが、その判断はケースごとに異なり、これをやっておけば、正当に整理解雇できるというものではありません。やむを得ず整理解雇する場合は、会社としては、少なくても上記4つの要件を満たすように最大限の努力を行う必要があります。
- 人員削減の必要性があるか?
- Q3.解雇はリスクが高いと言われており、解雇は避けたほうがよいと言われています。
具体的に解雇するとどのようなリスクがあるのですか? A3.解雇について裁判で争われ負けた場合には、訴訟費用、損害賠償金、慰謝料、未払い賃金などに加え、この裁判期間の賃金も労働者に支払わなければならず、非常に高額の負担を強いられる可能性が高いと思われます。
「これだけの理由があるのだから、解雇を行ってもよいだろう」と考えて安易に解雇を行ケースが多いように思われます。しかし、解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、解雇権を濫用したものとして無効となります(労働契約法第16条)。
解雇によりトラブルとなり訴訟となった場合、会社は解雇を行ったことの合理性、相当性を立証しなければなりません。この合理性、相当性を立証することが一般的には困難であり、弁護士に話を聞くと、「解雇の裁判での会社側の勝率は1割にも満たない」と言われています。
訴訟になり、会社が敗訴した場合は、どうなるのでしょうか。労働裁判は長期化することが多く、場合によっては数年かかることもまれではありません。会社側が敗訴した場合は、訴訟費用、損害賠償金、慰謝料、未払い賃金などに加え、この裁判期間の賃金も労働者に支払わなければならず、非常に高額になります。
また、集団労使紛争に発展したり、合同労組などに駆け込まれた場合、従業員全体に及ぼすモチベーションダウンは計り知れません。したがって、今回の震災においても「整理解雇は最終手段」とするべきです。労働契約は、労働者との合意により解消することがトラブルを回避する為に鉄則です。Q17で説明した「整理解雇」の場合であっても、「整理解雇の4要件」に十分あてはまると、会社が判断した場合であっても、きちんと労働者に説明を行い、「今回の会社の厳しい状況を考えると、会社としては、整理解雇はやむを得ないと考えています。しかし、お互いに解雇にしたくないので、退職届を提出して下さい」という話し合いもできると思います。なお、この場合、割増退職金を支払ったり、慰労金として金銭を支払うなどの配慮をすれば、話し合いで納得してもらえる可能性は高くなると思われます。
とにかく、解雇はリスクが高いということを念頭に入れ、訴訟のリスクを回避する為に、根気よく説明を行い、労働者に納得して退職届を書いてもらう努力をすることが必要です。
- Q4.地震により、社員を解雇する場合は、解雇予告手当は支払う必要がありますか?
A4.天災事変その他やむを得ない事由の為に事業の継続が不可能となった場合等で労働基準監督署長の認定を受けたときは、解雇予告や解雇予告手当の支払は不要です。
会社は労働者を解雇する場合には、30日前に予告するか30日分の平均賃金(解雇予告手当)を支払わなければならないとされています(労基法第20条)。ただし、天災事変その他やむを得ない事由の為に事業の継続が不可能となった場合等で労働基準監督署長の認定を受けたときは、解雇予告や解雇予告手当の支払は不要です。
今回の震災が「天災事変その他やむを得ない事由の為に事業の継続が不可能となった場合」にあたるかどうかについて、厚生労働省は、次のような判断を行っています。 (平成23年東北地方太平洋沖地震に伴う労働基準法等に関するQ&A(第2版))
- 事業場の施設・設備が直接的な被害を受けた場合
今回の震災で、事業場の施設・設備が直接的な被害を受けた為に事業の全部又は大部分の継続が不可能となった場合は、原則として、「天災事変その他やむを得ない事由の為に事業の継続が不可能となった場合」にあたるものと考えられます。
- 事業場の施設や設備が直接的な被害を受けていない場合
事業場の施設や設備が直接的な被害を受けていない場合には、事業の全部又は大部分の継続が不可能となったときであっても、原則として「天災事変その他やむを得ない事由の為に事業の継続が不可能となった場合」による解雇にあたりません。
したがって、直接的な被害の場合は、解雇予告手当除外認定が下りる可能性が大きく、直接的な被害を受けていない場合は認定の下りる可能性は小さいと思われます。
なお、事業場の施設や設備が直接的な被害を受けていない場合であっても、取引先への依存の程度、輸送経路の状況、他の代替手段の可能性、災害発生からの期間、使用者としての休業回避の為の具体的努力等を総合的に勘案して、「天災事変その他やむを得ない事由の為に事業の継続が不可能となった場合」による解雇にあたる場合も考えられますので、個別のケースについては労基署や社労士等の専門家へ相談してみて下さい。- 事業場の施設・設備が直接的な被害を受けた場合
- Q5.社員が震災地にある実家に帰ってから、3週間以上も戻ってきません。
有給休暇もなくなってしまうので、どのようにしたらよいのか困っています。
解雇してもよいものなのでしょうか? A5.実務的には、職場放棄とみなして退職扱いにすることが多いように思います。しかし、本人の明確な意思がない限り無効になるリスクはあります。リスクを最小限にする為には、解雇とした上で、公示送達で申し立てるしかないと思われます。
本人が職場に来ないのですから、労働の意思ないものとして、職場放棄とみなして、自己都合退職扱いにすることのほうが、実務的に多いかもしれません。ただし、この場合、就業規則の退職事由に「社員の行方が不明となり、14日以上連絡がとれないとき」などの根拠となる規定は必要だと思われます。しかし、争いになった場合に、職場放棄ということが認められない可能性は否定できません。
そのような規定がない場合やリスクを最小限にする為には、解雇せざるを得ないと思います。無断欠勤と解雇については、労基法第20条ただし書の「労働者の責に帰すべき事由」の判断基準として、「原則として2週間以上正当な理由なく無断欠勤し、出勤の督促に応じない場合」「出勤不良又は出勤常ならず、数回にわたって注意を受けても改めない場合」をあげています(昭23.11.11基発第1637号、昭31.3.1基発第111号)。
したがって、有給休暇を消化してさらに2週間以上無断欠勤している状態であれば、解雇事由としては正当であると思われます。さて、所在不明者に解雇を行う場合であっても、解雇の意思表示をその社員に伝えることは必要です。しかし、所在不明者に解雇を行う旨を伝えることは困難です。こうした場合、解雇することを家族や身元保証人に伝えて、本人への通知に代えるということも考えられます。しかし、本人に伝わらない可能性がないわけではありません。このような場合は、その社員の失踪直前の住所地を管轄する簡易裁判所に申し立て、「公示送達」(民法第98条)を行うことになります。公示送達の文書は、裁判所に一定期間掲示され、かつ、その掲示があったことを官報に少なくとも1回掲載することで送達されたものとみなされるので、解雇の意志を社員に伝えたことになります。
2.この時期に使えそうな助成金について
- Q6.雇用調整助成金(中小企業緊急雇用安定助成金)について教えて下さい。
A6.1.概 要
雇用調整助成金は、経済上の理由により事業活動の縮小を余儀なくされた事業主が、労働者の雇用を維持する為に、休業等を実施し、休業に係る手当等を労働者に支払った場合、それに相当する額の一部を助成する制度です。具体的には、「最近3か月の生産量、売上高等がその直前の3か月又は前年同期と比べ5%以上減少している雇用保険適用事業所の事業主」が対象となります。なお、中小企業緊急雇用安定助成金は、中小企業向けに雇用調整助成金の助成内容を拡充したもので、直近の決算等が赤字の場合、生産量等の減少が5%未満であっても対象となります。 また、解雇を行っている事業主でも、本助成金を活用することができます(ただし、解雇を行っていない事業主に比べると金額が減額されることはあります)。本助成金は、東北地方太平洋沖地震被害に伴う「経済上の理由」で事業活動が縮小した場合についても利用することができます。また、この場合、雇用の維持に取り組む事業主の皆様をより迅速に支援できるよう、支給要件の緩和も行っています。
なお、東北地方太平洋沖地震を直接的な理由(避難勧告・避難指示など法令上の制限を理由とするもの等)とした事業活動の縮小については、「経済上の理由」に該当しない為、本助成金の対象になりません。震災による事業所の損壊により事業を休止する場合、激甚災害の指定に伴う雇用保険の特例により、賃金を受けることのできない労働者に対して失業手当を支給する制度がありますので、こちらの活用をご検討ください。≪雇用調整助成金の具体的な活用事例≫
- 交通手段の途絶により、従業員が出勤できない、原材料の入手や製品の搬出ができない、来客がない等の為事業活動が縮小した場合。
- 事業所、設備等が損壊し、修理業者の手配や部品の調達が困難な為早期の修復が不可能であり生産量が減少した場合。
- 避難指示など法令上の制限が解除された後においても、風評被害により観光客が減少したり、農産物の売り上げが減少した場合。
- 計画停電の実施を受けて、事業活動が縮小した場合。
※既に雇用調整助成金を利用している事業主が、東北地方太平洋沖地震被害の影響を受け休業を行う場合にも、助成対象になります。
2.主な支給要件
- 最近3か月の生産量、売上高等がその直前の3か月又は前年同期と比べ5%以上減少している雇用保険適用事業所の事業主であること。
- 休業等を実施する場合、都道府県労働局又はハローワークに事前にその計画を届け出ること
※青森県、岩手県、宮城県、福島県、茨城県のうち災害救助法適用地域に所在する事業所の場合、以下の特例が受けられます。
- 最近3か月としている生産量等の確認期間を最近1か月に短縮
- 震災後1か月の生産量、売上高等がその直前の1か月又は前年同期と比べ5%以上減少する見込みの事業所も対象に(平成23年6月16日まで)
- 事前に届け出る必要のある計画届の事後提出を可能に(平成23年6月16日まで)
※上記5県に加え、栃木県、千葉県、長野県、新潟県の災害救助法適用地域にも拡大されました。
※下記の対象事業主についても、上記①及び②の特例を適用
- 特例対象地域に所在する事業所等と一定規模以上(助成金を受けようとする事業所の総事業量等の3分の1以上)の経済的関係を有する事業所の事業主
- 計画停電の実施地域に所在する事業所において、計画停電により事業活動が縮小した事業主
3.支給額
雇用調整助成金は、事業主が休業に係る手当等を労働者に支払った場合、それに相当する額に対し、以下の助成率で支給しています。なお、事業主が解雇等を行っていないなど、一定の要件を満たした場合は、カッコ内にある助成率となります。- 大 企 業 : 2/3 ( 3/4 )
- 中小企業 : 4/5 ( 9/10 )
※上限額は、大企業、中小企業ともに1人1日当たり7,505円です。
(平成22年8月1日改定)4.手続き
雇用調整助成金を受給する為には、該当する事業主であることを示す書類を提出するとともに、これに合わせて休業等の計画を事前に届け出る必要があります。詳細な要件については、お近くのハローワーク又は都道府県労働局にお問い合わせください。詳しくはこちらのHPをご参照ください。
- Q7.若年者等正規雇用化特別奨励金について教えて下さい。
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1.概 要
「年長フリーター及び30代後半の不安定就労者」又は「採用内定を取り消されて就職先が未定の学生等」を正規雇用した事業主が、その後も引き続き、正規雇用している場合、一定期間ごとに奨励金を支給します。2.雇用形態と対象者
雇用形態と対象者は、以下の4つです。- トライアル雇用活用型
ハローワークの紹介によりトライアル雇用(業務遂行に当たっての適性や能力などを見極め、その後の常用雇用への移行や雇用のきっかけとする為、職業経験、技能、知識等により就職が困難な求職者を試行的に短期間雇用(原則3か月)する場合に奨励金を支給{対象労働者1人につき、月額40,000円、支給上限:3か月分まで}が支給されます。)として雇い入れ、トライアル雇用終了後、引き続き、同一事業所で正規雇用する場合
・トライアル雇用開始日前1年間に雇用保険の一般被保険者でなかった人
・トライアル雇用開始日の満年齢が40歳未満の人
?これまでは「25歳以上40歳未満」でしたが、年齢の下限をなくします
※ 平成22年12月1日以降にトライアル雇用を開始した人から適用されます。 - 直接雇用型
ハローワークに奨励金の対象となる求人を提出し、ハローワークの紹介により正規雇用する場合
・雇い入れ日現在の満年齢が、25歳以上40歳未満の人
・雇い入れ日前1年間に雇用保険の一般被保険者でなかった者、その他、職業経験、技能、知識等の状況から、奨励金の活用が適当であると安定所長が認める人 - 有期実習型訓練修了者雇用型
有期実習型訓練修了者(注1)を正規雇用する場合
(ただし、既に雇用している対象短時間等労働者(注2)に対して実施した有期実習型訓練の場合、実施事業所において正規雇用に転換したときは、奨励金の対象となりません)
・有期実習型訓練修了後の雇い入れ日(有期実習型訓練を受けさせていた事業主が、その訓練生を正規雇用した場合は、訓練開始日)現在の満年齢が、25歳以上40歳未満の人
(注1)「有期実習型訓練修了者」とは、ジョブ・カードを活用した有期実習型訓練の全課程を修了した人をいいます。
(注2)「対象短時間等労働者」とは、次のイ又はロのいずれかに該当する人をいいます。- 期間の定めのない労働契約を締結していて、1週間の所定労働時間が、同一の事業所に雇用されている通常の労働者に比べて短く、かつ、30時間未満の人
- 期間の定めのある労働契約を締結している人
- 内定取り消し雇用型
ハローワークに奨励金の対象となる求人を提出し、ハローワークの紹介により、採用内定を取り消されて就職先が未定の新規学校卒業者を正規雇用する場合
・雇い入れ日現在の満年齢が、40歳未満の人
3.支給額
奨励金は、3回に分けて以下の時期に支給されます。≪奨励金の支給額≫
- 第1期250,000円(中小企業事業主は500,000円)
正規雇用開始日から6カ月経過後、1カ月以内に申請 - 第2期125,000円(中小企業事業主は250,000円)
正規雇用開始日から1年6カ月経過後、1カ月以内に申請 - 第3期125,000円(中小企業事業主は250,000円)
正規雇用開始日から2年6カ月経過後、1カ月以内に申請
※正規雇用する場合とは「雇用期間の定めのない雇用であって、1週間の所定労働時間が通常の労働者と同程度である労働契約を締結し、雇用保険の一般被保険者(ただし1週間の所定労働時間が30時間未満の者を除く)として雇用する場合」を指します。
詳しくはHPを参照して下さい。
- トライアル雇用活用型
- Q8.3年以内既卒者トライアル雇用奨励金について教えて下さい。
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- 概 要
卒業後も就職活動を継続中の新規学卒者の方(高校・大学等を卒業後3年以内の方)を正規雇用へ向けて育成する為に、まずは有期雇用(原則3ヵ月)で雇用し、その後、正規雇用に移行させる事業主の方に奨励金を支給します。 - 支給対象事業主
既卒者トライアル求人をハローワーク又は新卒応援ハローワーク(学生及び既卒者の就職を支援する専門のハローワーク)に提出し、ハローワーク又は新卒応援ハローワークからの紹介により、原則3ヵ月間の有期雇用として雇い入れ、その後正規雇用で雇い入れた事業主。
※「既卒者トライアル求人」とは、高校・大学等を卒業後3年以内で、現在も就職活動を継続中の方を対象に、その後の正規雇用を視野に入れた3ヵ月以内の有期雇用契約を行う求人です。
※「正規雇用する場合」とは、「雇用期間の定めのない雇用であって、1週間の所定労働時間が通常の労働者と同程度である労働契約を締結し、雇用保険の一般被保険者(ただし、1週間の所定労働時間が30時間未満の者を除く)として雇用する場合」を指します。 - 対象となる未内定新卒者の条件
以下のいずれにも該当し、正規雇用の実現の為には既卒者トライアル雇用を経ることが必要であると公共職業安定所長が認める者。- 平成20年3月以降の新規学卒者(※)で就職先が未決定の者で、ハローワーク又は新卒応援ハローワークに求職登録を行っている者(平成22年度の新規学卒者については、卒業日の翌日以降に本制度を利用できます)。
※中学校、高校、高専、大学(大学院、短大を含む)、専修学校等の新規学卒者が対象です。 - 卒業後安定した職業に就いた経験がない者(1年以上継続して同一の事業主に正規雇用された経験がない者)。
- 雇入れ開始日現在の満年齢が40歳未満の者。
- 平成20年3月以降の新規学卒者(※)で就職先が未決定の者で、ハローワーク又は新卒応援ハローワークに求職登録を行っている者(平成22年度の新規学卒者については、卒業日の翌日以降に本制度を利用できます)。
- 奨励金支給額
- 有期雇用期間(原則3ヵ月)・・・対象者1人につき月額10万円(最大30万円)
- 有期雇用終了後の正規雇用での雇入れ・・・対象者1人につき50万円
(正規雇用から3ヵ月経過後に支給)
※被災地に居住する3年以内未就職既卒者が対象の場合は、トライアル雇用後の正規雇用での雇入れに対する奨励金額を50万円から60万円に拡充されました。
※有期雇用終了後、対象者が正規雇用へ移行しなかった場合でも、原則として有期雇用期間は奨励金の支給対象となります。詳しくはこちらのHPをご参照ください。
- 概 要
- Q09.3年以内既卒者(新卒扱い)採用拡大奨励金について教えて下さい。
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- 概 要
卒業後3年以内の大学等の既卒者も応募可能な新卒求人を、ハローワーク又は新卒応援ハローワークに提出し、3年以内既卒者を正規雇用した事業主の方に奨励金を支給します。 - 支給対象事業主
卒業後3年以内の大卒者等も応募可能な大学等求人を、ハローワーク又は新卒応援ハローワークに提出し、そこからの紹介により、卒業後3年以内の大卒者等を正規雇用として雇い入れた事業主。
※正規雇用として雇い入れるとは、「雇用期間の定めのない雇用であって、1週間の所定労働時間が通常の労働者と同程度である労働契約を締結し、雇用保険の一般被保険者(ただし1週間の所定労働時間が30時間未満の者は除く)として雇用する場合」を指します。 - 対象となる未内定新卒者の条件
大学等を卒業後3年以内の既卒者で、雇入れ開始日現在の満年齢が40歳未満の者であり、1年以上継続して同一事業主の下で正規雇用された経験がない人。
※大学等とは、大学、大学院、短大、高専及び専修学校等をいいます。
※ハローワーク又は新卒応援ハローワークに求職登録をしている者で、公共職業安定所長が奨励金の活用が必要であると認めた者が対象となります。
※平成22年度においては、平成20年3月以降に大学等を卒業した者が対象となります。 - 奨励金支給額
正規雇用での雇入れから6ヵ月経過後に、100万円を支給
※奨励金の支給は、雇用保険適用事業所単位で1事業所あたり1回限りとなります。
※被災地に居住する3年以内未就職既卒者が対象の場合は、100万円(1事業所1回限り)を120万円(1事業所10回限り)に拡充・緩和。
その他、震災の影響下における労務管理について情報はこちらをご参照ください。
- 概 要
このコラムは
- 御社の社内での人事対応資料としてお使いください。
- どうぞご自由にコピーをしてお使いください。
- 内容に関しご質問がありましたら弊社までお問い合わせください。
ぜひ、本情報を被災地の方々にもお伝え頂ければと思います。
また、この件でのご質問に関しては、電話、メールにて無料でお受けしております。
(すでに多くのご質問をいただいております関係でご返事に多少お時間をいただく場合もございますが、ご了承ください。)
少しでも早く日本の社会が望みある未来へ向けて動き出せるように、心よりお祈り申し上げます。
(当レポートは平成23年4月18日までに発表された情報をもとに作成しております)
第9回コラム執筆者
本領 晃(ほんりょう あきら)
有限会社人事・労務 チーフコンサルタント
社会保険労務士
大学卒業後、大手半導体製造装置メーカーの技術者、統括管理部門長などを経て社労士に。クレドの導入コンサルをはじめ社会に喜ばれる会社の就業規則作成を専門とする。元東京労働局企画室総合労働相談員、現在東京簡易裁判所で司法委員として民事訴訟の和解や労働問題を中心に活躍中。
プロフィール
現在社長を務める矢萩大輔が、1995年に26歳の時に東京都内最年少で開設した社労士事務所が母体となり、1998年に人事・労務コンサルタント集団として設立。これまでに390社を超える人事制度・賃金制度、ESコンサルティング、就業規則作成などのコンサルティング実績がある。2004年から社員のES(従業員満足)向上を中心とした取り組みやES向上型人事制度の構築などを支援しており、多くの企業から共感を得ている。最近は「社会によろこばれる会社の組織づくり」を積極的に支援するために、これまでのES(従業員満足)に環境軸、社会軸などのSS(社会的満足)の視点も加え、幅広く企業の活性化のためのコンサルティングを行い、ソーシャル・コンサルティングファームとして企業の社会貢献とビジネスの融合の実現を目指している。
Webサイト:有限会社 人事・労務