第2回
ブランドづくりの鍵握る社長の人間力
良い作物をつくるために一番大切なのは土壌づくり。企業にとっても“土壌づくり”が重要だ
まず、皆さんに問題です。1年間コンビニエンスストアの棚に並び続けている商品は何%くらいあるでしょうか。
答えは「30%程度」です。このことは、商品でお客さんをひきつける要素は30%しかない、と言い換えることができます。そして、あとの70%はモノではなく"コト"です。
"コト"がなければお客さんをひきつけていくことはできないということでもあります。つまり、私たちは意識的に企業ブランドをつくり上げるという命題をクリアしない限り、市場から追放されてしまうのです。
さて、このモノからコトへの企業のブランドづくりはいかにして実現するのでしょうか。ここで、企業のブランドづくりについて少し考えてみましょう。
私は最近、師匠に付いて、農業のまね事をしております。その農業から気付いたことですが、良い作物をつくるために一番大切なのは「土壌づくり」です。土壌の良しあしで、野菜の出来はほぼ決まってしまいます。
これは、企業文化にも当てはまります。たまたま、ヒット商品が出るかもしれません。しかし、安定してよい商品を作るには、その企業文化の度合いが高いかどうかで決まります。そして、その企業文化の要となるのは、この世に一つとして同じものは存在しない「社長」そのものです。
昨年、走るロボットとして注目を集めたアシモは、20年前、ホンダで働く鉄腕アトムを好きな社員が本業の研究とは別に趣味で開発したものだと言います。それが、20年たった今、実用性の高いロボットとして、あと一歩のところまで来ているのです。
ホンダの創始者、本田宗一郎氏は次のような言葉を残しています。
「企業家は作家、大衆は評論家、企業家が大衆に迎合して、評論家に成り下がってはいけない」
一人の社長がいかに自分の個性を出し企業の隅々までその個性を浸透させていくかが存続の要になるのです。同時にそれは、経営とは社長の人間力そのものであり、社長自身の人間力を高め続けていかないと、企業はダメになってしまうのです。
第2回コラム執筆者
【プロフィール】
矢萩大輔
やはぎ・だいすけ 人事・労務代表取締役、日本ES開発協会会長。明治学院大卒。大手ゼネコン勤務を経て1995年、26歳で社会保険労務士として開業。その後、人事・労務を立ち上げ、「人を大切にする経営」を目指す経営者のための日本ES開発協会を主宰。貨幣を超えた新しい時代を生き抜く企業のイノベーションを支えるES(従業員満足)人事制度の導入に力を入れる。
プロフィール
現在社長を務める矢萩大輔が、1995年に26歳の時に東京都内最年少で開設した社労士事務所が母体となり、1998年に人事・労務コンサルタント集団として設立。これまでに390社を超える人事制度・賃金制度、ESコンサルティング、就業規則作成などのコンサルティング実績がある。2004年から社員のES(従業員満足)向上を中心とした取り組みやES向上型人事制度の構築などを支援しており、多くの企業から共感を得ている。最近は「社会によろこばれる会社の組織づくり」を積極的に支援するために、これまでのES(従業員満足)に環境軸、社会軸などのSS(社会的満足)の視点も加え、幅広く企業の活性化のためのコンサルティングを行い、ソーシャル・コンサルティングファームとして企業の社会貢献とビジネスの融合の実現を目指している。
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Webサイト:有限会社 人事・労務