第7回
「全社一丸」が作り上げるふさわしい価格
多くの企業でクリエーティブな商品開発が求められている
今の時代、「低価格」で「大量生産」「高機能」な商品だけではお客さまの心をつかむことはできません。しかし、多くの企業では、そこから抜け出せないでいます。
今必要なのは、クリエーティブで小ロット、ふさわしい価格の商品作りに移行することです。台頭してきているアジア諸国と同じ土俵では、日本を含めた先進諸国は太刀打ちができません。しかしそれが分かっていても多くの企業は移行することができないでいます。
その一つの原因として、私は会社のしくみ自体がそれを阻害してしまっていると思うのです。
例えば、ビジネスモデルのフローを考えてみても分かります。ビジネスがお客さまの心をつかみ新たなサービスの価値を生み出していくためのサイクルは、次の4段階です。
(1)商品開発(2)集客(3)販売(4)フォロー地域-と理解され、評判を得るまでには、この(1)~(4)の全ての段階で理想とするサービスの理解を深め完成させることが求められます。
例えば、エルメスのバッグは、それにふさわしい技術者や販売する場所があって初めてその真価が発揮されますし、レクサスという車は、富裕層を対象とした単品ごとに車を作り上げ、ショールームでの接客のためにしつけ教育を社員に実践させています。
組織が目先の利益だけに奔走するような今までの組織体制では、ビジネスモデル全体の一体感は阻害されてしまいます。成果主義というのはその象徴です。それぞれの組織がタコツボ現象に陥ってしまうのです。
これからは、全部署が一丸となってクリエーティブな商品開発からお客さまのフォローまで一つになって考える企業文化こそが大切になってくるのです。
従業員満足と訳される本来の意味のESは、お金以上に大切な仕事観に基づいた組織づくりです。そのキーワードは、多様性とつながりです。あなたの会社は(1)~(4)のフローに関して「全社一丸となって」取り組んでいますか?
第7回コラム執筆者
【プロフィール】
矢萩大輔
やはぎ・だいすけ 人事・労務代表取締役、日本ES開発協会会長。明治学院大卒。大手ゼネコン勤務を経て1995年、26歳で社会保険労務士として開業。その後、人事・労務を立ち上げ、「人を大切にする経営」を目指す経営者のための日本ES開発協会を主宰。貨幣を超えた新しい時代を生き抜く企業のイノベーションを支えるES(従業員満足)人事制度の導入に力を入れる。
プロフィール
現在社長を務める矢萩大輔が、1995年に26歳の時に東京都内最年少で開設した社労士事務所が母体となり、1998年に人事・労務コンサルタント集団として設立。これまでに390社を超える人事制度・賃金制度、ESコンサルティング、就業規則作成などのコンサルティング実績がある。2004年から社員のES(従業員満足)向上を中心とした取り組みやES向上型人事制度の構築などを支援しており、多くの企業から共感を得ている。最近は「社会によろこばれる会社の組織づくり」を積極的に支援するために、これまでのES(従業員満足)に環境軸、社会軸などのSS(社会的満足)の視点も加え、幅広く企業の活性化のためのコンサルティングを行い、ソーシャル・コンサルティングファームとして企業の社会貢献とビジネスの融合の実現を目指している。
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Webサイト:有限会社 人事・労務