第7回
ガス代予測ツール「SOBA GAS」
株式会社SOBAプロジェクト 乾 和志
ガス代予測サービス「SOBA GAS」をリリースしました。
ブロックチェーン上で操作を行う際には、ガス代という手数料が必要です。ブロックチェーンには、パブリックとプライベートの2種類があります。パブリックブロックチェーンとは、ビットコインのように誰でも利用でき、透明性が高く、誰でもデータを自由に参照できるものです。対して、プライベートブロックチェーンは特定の組織(企業など)が管理するもので、アクセス権が制限されています。
ブロックチェーンは、名前の通り、データのブロックが連鎖(チェーン)する形で構築されたデータ構造です。このブロックを繋ぐ作業を行うのが「マイナー(バリデーター)」と呼ばれる人々です。彼らはブロックを追加することで報酬を得ます。この報酬は、ブロックチェーン上で取引や操作を行いたい人が支払う「ガス代」によって支払われます。つまり、ガス代とは手数料のことです。
ガス代は常に変動します。たとえば、ブロックチェーン上で取引を行いたい人が多いとガス代は高くなり、逆に少ないと安くなります。また、高いガス代を支払うことで、取引が優先的に処理される仕組みになっています。
さらに、ガス代は暗号資産で支払われますが、暗号資産の価格は為替レートのように常に変動しています。たとえば、1ドルが140円や150円と変動するのと同じように、暗号資産も市場の取引状況によって価格が上下します。暗号資産の価格変動は、ドル・円などの法定通貨に比べて激しいため、安い時と高い時の差が大きくなります。
また、ガス代はブロックチェーン上で実行する操作の複雑さにも依存します。操作が複雑な場合、より多くのガス代が必要です。
たとえば、NFTを購入する際にもガス代がかかりますが、これまでガス代を簡単に事前に予測できるツールがありませんでした。そこで、今回「SOBA GAS」を開発しました。このツールは、ブロックチェーン上で実行するプログラム(スマートコントラクト)に必要なガス代を予測するものです。操作の複雑さとは、スマートコントラクトの中で実行されるプログラムの内容に依存します。
「SOBA GAS」は、実行したいスマートコントラクトの関数を指定することで、その時点でのガス代を計算します。時間をおいて何度も試すと、ガス代の変動が確認できます。たとえば、朝はガス代が高く、昼は安いことがあるなど、時間帯や時期によってガス代が変動します。
サンプルとして、私たちが作成したスマートコントラクトがデフォルトで設定されています。「ガス代予測を見る(無料)」ボタンを押すだけで、その時点でのガス代を簡単に確認できます。サービスのURLは以下の通りです。 https://sobagas.soba-project.com/ja/ethereum/new_estimate_gas
ご不明な点がございましたら、Discord(https://discord.gg/eAtKxzMqaw)やX(https://x.com/SOBA_PRJ)でご質問ください。
プロフィール
株式会社SOBAプロジェクト
代表取締役社長 乾 和志
広島大学 卒業後、立石電機株式会社(現 オムロン株式会社)に入社し同社のコンピュータ系の研究所に勤務。オペレーティングシステムの研究などを経て、産官学共同プロジェクト「SOBAプロジェクト」開始。株式会社SOBAプロジェクトを創業し、その後 代表取締役に就任。
Webサイト:株式会社SOBAプロジェクト
- 第7回 ガス代予測ツール「SOBA GAS」
- 第6回 分散金融(その2)
- 第5回 分散金融(その1)
- 第4回 初めてのインターネット
- 第3回 コンピュータとの出会い
- 第2回 ビットコインの半減期
- 第1回 産官学共同プロジェクト「SOBAプロジェクト」