第6回
分散金融(その2)
株式会社SOBAプロジェクト 乾 和志
DEX(分散型取引所)での取引を行う手順は一見複雑に思えるかもしれません。この複雑さが、一般の人々にとって参入障壁となっていると考えられます。通常の株取引では、証券会社に口座を開設し、資金を振り込むだけで取引が開始できますが、DEXでの取引には以下のような複数の手順が必要です。
1. 国内の暗号資産取引所に口座を開設する:
証券会社で口座を開設するのと同様のプロセスです。
2. 資金を暗号資産取引所に振り込む:
これも通常の証券取引と同じ手順です。
3. ウォレットの作成:
様々なタイプのウォレットが存在しますが、例えば、パソコンで利用可能なMetamaskはGoogle Chromeのプラグインとして動作します。Metamaskをインストールすると、ウォレットの準備が完了します。
4. 日本円を暗号資産(例:イーサリアム)に交換する:
取引所で円を暗号資産に交換します。
5. 交換したイーサリアムを自分のウォレットに送金する:
これにより、DEXでの取引に必要な準備が整います。
これらの準備が整った後、DEXに自分のウォレットを接続します。例として、非常に人気のあるパンケーキスワップ(PancakeSwap)があり、そのウェブサイトは https://pancakeswap.finance/ です。Google ChromeにMetamaskプラグインをインストールした状態でアクセスし、「Connect Wallet」ボタンをクリックすると、ウォレットがパンケーキスワップに接続されます。
その後は、「Earn」メニューから「Farm」などのオプションを選択して、暗号資産を預けることで利息を得ることが可能です。提供されているオプションには、例えば年利が60%や80%といったものもあり、具体的には「USDT-BNB LP」などの項目が見られます。ここでの「LP」はLiquidity Provider(流動性提供者)の略であり、この点については次回のコラムで詳しく説明します。
このように、DEXを利用した取引はいくつかの段階を踏む必要がありますが、これらの手順を一つずつ進めることで、新たな投資の機会を得ることができます。
プロフィール
株式会社SOBAプロジェクト
代表取締役社長 乾 和志
広島大学 卒業後、立石電機株式会社(現 オムロン株式会社)に入社し同社のコンピュータ系の研究所に勤務。オペレーティングシステムの研究などを経て、産官学共同プロジェクト「SOBAプロジェクト」開始。株式会社SOBAプロジェクトを創業し、その後 代表取締役に就任。
Webサイト:株式会社SOBAプロジェクト