第7回
アメリカの西洋占星術とビジネス事情とは:裁判に勝利した占い師
株式会社ANGEWORK 桐生 雄洋
今回は、アメリカという国の占星術事情を解説します。
意外に思えるかもしれませんが、西洋占星術は「単なる迷信」よりも「疑似科学」または「準科学」といった見方が強くなっています。
ハリウッド映画やドラマを見ると、ホロスコープという惑星位置を配置する図式を自分で描き、未来予測する女性が描写される程です。
さらに、社会的に上の立場の方々が、占い師に助言を求めることも多々あるようです。
ではなぜアメリカで占星術の地位が強いのか、そして具体的に誰が占いを利用し、誰の占いが信頼されていたのか。
今回はこのあたりに絞ってご紹介します。
1.訴訟に勝利した有名占い師
アメリカで占星術の立場が強い原因の一つと思われる、珍しい情報を紹介します。
ここに1つの裁判記録が存在します。
裁判情報サイト:
https://cite.case.law/ny-crim/32/326/
事件名:
ニューヨーク市 対 エヴァンジェリン・アダムス
判決日:
1914年11月25日
この裁判が起きるきっかけは、治安維持法でした。
これは、ニューヨーク市が制定した運命に関する情報提供を規制する法律で、ジプシーや他の流浪民に対する対策の一環として、非合法な占いビジネスや社会の混乱を防ぐために導入されました。
エヴァンジェリン被告は当時有名だったこともあり、この法律で逮捕されました。彼女の逮捕は合計3回にも及んだようです。
しかし、彼女はこの法律が違憲であると主張し、最終的に裁判長は彼女を無罪と判定しました。さらに、3回の逮捕にもかかわらず、検察の主張はすべて退けられました。
この判決は、歴史に残るものと言っても過言ではありません。
占い師や占星術師に対する法的制約が緩和される流れにつながりました。
ちなみに無罪を勝ち取った経緯は。裁判長の身内の運命を的確に言い当てたことによります。
・裁判長の息子の出生ホロスコープを作成し、被告に提示した
・ホロスコープが誰のものかは明かされず、被告はその場で解読を求められた
・被告は、ホロスコープが裁判長の息子であることを知り得る立場にはなかった
・被告は、占った人物の性格や特徴、運命傾向等を法定で発言
・裁判長はその結果が正確であると判断し、被告を無罪とした
但しエヴァンジェリンは、後の別件裁判で敗訴した記録もあります。
それでもこの判決はアメリカで占星術の立場が強い原因の一つであると想定されます。
2. エヴァンジェリン・アダムスと経済界の繋がり
彼女はメディアにも進出し出版等も行う、非常に有名な占い師でした。
彼女はJPモルガン氏と個人的に契約していた記録が存在します。
モルガン氏へタイタニック号に乗らないようアドバイスをし、命を救ったことは有名です。
また、他にも米国上院議員、重役等と多数契約していたことが知られています。
彼女の著作は電子書籍で読める時代になりました。
しかし日本での知名度が低いせいか、翻訳版は見当たりません。
3. 権力者と占い師の関係
エヴァンジェリン以外の、アメリカ政治界と占い師の記録も紹介します。
アメリカではかなりオープンに記録が存在します。
一応日本でも易断師のお抱えが存在した記録は幾つか発見できますが、公にすることは慎まれる傾向が強いかもしれません。
4. リチャード・ニクソン大統領
この大統領が占星術を信奉していたことは、噂でしかありません。
しかし彼が在任中の時代、アメリカで有名な占星術師であるジーン・ディクソンが活躍しており、彼女からアドバイスを受けていたという情報が多数存在します。
決定的な証拠の一つは、ホワイトハウスにジーン・ディクソンを招聘し、対談を行った記録です。
1971年5月4日:対談記録アーカイブ
https://www.nixonlibrary.gov/taxonomy/term/2861
この対談が行われたのは、ニクソン・ショックの直前でであり、中国・ソ連・ベトナムなどの対外政策が決定される前であったことから、これらの政策に影響を与えた可能性があると考えられています。
5. ナンシー・レーガン大統領夫人
レーガン大統領婦人の占い好きは有名で、多くの情報がインターネット上に存在します。
暗殺未遂事件の後、婦人は夫の安全のために占い師キャロル・ライターを紹介しました。そしてレーガン大統領もまた、妻が勧める占い師の助言を信じる傾向にあったようです。
当時のホワイトハウスではこの占い師がアドバイスを行い、その後の政治決定に影響を与えたと言われています。
占星術師キャロル・ライター:Wikipedia
6. 天皇家と催事のスケジュール
天皇家も御参考までにご紹介させていただきます。
公家の業務の一つに国家儀式が存在します。儀式の日取りは古来、占術で決定されるものでした。
そして西洋占星術では結婚や独立等の吉日を占う「エレクショナル」技法が存在し、儀式等の日取りを決めるためにも用いられます。
その天皇家の伝統祭事の日取りを見ると、このエレクショナルを想定したとしか思えないタイミングがあるようです。
東洋系と西洋系では思想等から結果が相違することが多いのですが、私の見立てでは、西洋占星術の側面が強いように思えます。
また、天文学や占星術に関する古代の専門家である天文方の存在が、現代でも存続している可能性も考えられます。
7. まとめ:日本人らしく験を担ぐ
当コラムをご覧になる社長クラスの方々ともなると、験を担ぎたくなるような経験は一度や二度では済まないかと思われます。お参りや加持祈祷、御札をオフィスに掲げている業者様もそれなりに存在するはずです。
占いというものは、女性をターゲットとしたビジネスとして見れば至極真っ当ではありますが、どうしても宗教や法律面の問題が見え隠れします。
しかし日本は古来より神仏を大事にし、クリスマスまで取り入れた特殊な民族です。そして現代のビジネスマンは適度に験を担ぎ、日々仕事に励んでいるはずです。それで良いのではないでしょうか。
一例として、私が日頃お世話になっている豊川稲荷神社を紹介させて頂きます。
宗教法人妙厳寺 豊川稲荷(愛知県)
豊川稲荷東京別院(赤坂見附)
http://www.toyokawainari-tokyo.jp/
日本三大稲荷として名高く、廃仏毀釈を乗り越えた数少ない神社仏閣の融合地です。
赤坂御所の隣にある東京別院では、タレント事務所を始めとした有名人の名前が並びます。また、大岡越前守廟や強力な縁切り神社まであり、ご利益と歴史等も楽しめます。
昭和の時代に花の中三トリオが卒業記念に植樹した木々が今も茂っています。
宗教法人であり、おみくじもあり、加持祈祷を受け付けており、たまに占術講座等も行っていますが、日本に溶け込んでおり新興団体のようなトラブルは特に聞きません。
赤坂見附や永田町近辺にお越しの際は、一度立ち寄ってみては如何でしょうか。
盲信せず、真摯に願い、ビジネスに励むというシンプルな接し方で良いのではないかと個人的には考えます。先祖から受け継いだ宗教や占術との良い関係を今後も続けていくことをお勧めし、締めとさせて頂きます。
今回はここまでとなります。お付き合いありがとうございました。
占いをビジネス活用してみませんか?
*記事内で使った写真は一部AIで作成した合成画像になります。
プロフィール
株式会社ANGEWORK
代表取締役 桐生 雄洋
株式会社ANGEWORK 代表取締役。
大手電力会社・家電メーカーのSEを経てIT開発専門会社を設立。今も現役として日々設計実装をこなし、有名企業から駆け込み寺として、AI、ドローン、LiDAR、光学・医療機器関連他のIT開発依頼を多数請け負う。
己の器を覚るため魔術・占術を幼少より独学で研究。SEとして培った知識を活かし自社サイトにて占星術自動計算システムを公開中。先の見えない現代に占術をビジネス活用の指針として実現させる事を目指す。
Webサイト
株式会社ANGEWORK
ANGEWORKの西洋占星術
- 第7回 アメリカの西洋占星術とビジネス事情とは:裁判に勝利した占い師
- 第6回 金星は美と愛のシンボルだけじゃない?金星効果をビジネスに役立てるには
- 第5回 木星は本当に幸運?年間目標と精神の成長の意義
- 第4回 水星の速度と逆行で仕事の風向きを読む
- 第3回 革命の惑星・天王星と女性人権問題
- 第2回 水瓶座の守護惑星:土星と天王星のアメとムチ
- 第1回 冥王星水瓶帰還は革命の狼煙