プロフェッショナル の自己管理術

第20回

クラウド普及を進めるICT界のリーダー 八子知礼さん(下)

株式会社ネオレックス  駒井 研司

 

目的はレールの先にたどり着くこと


 近年急速に普及している「クラウド」に早くから注目し、著作などで日本社会への普及の原動力となった八子知礼さん。前回は、時間は「クリエーティビティを求めるべき時間」と「生産性を求めるべき時間」に分けられるという考えと、リラックスすることで自分をクリエーティブな状態に保つというコツを伺った。

--生産性を高めるには

 「時間をうまく使うことです。仕事の時間は1時間半を1つの『スロット』と考えます。1日は9時から19時まで1時間休憩を入れるとして6スロット。アイデアを形にするための、クリエーティビティが求められる時間には1つのスロットをまるまる割り当てる。これに対して、生産性を追求する時間では1つのスロットを5分単位に細分化します。資料の確認やメールの返信など、やることを5分でどんどん切り替えていく。資料を読んでいる途中でも、5分たてばメール処理に移り、また5分たてば別の資料に移るという具合です」

--あえて切り替えるのは

 「これは実は訓練です。頭の回転と切り替えを速くせざるを得ない状態に自分を置くことによって、限られた時間の中でより多くの物事に対処できるように自分を鍛えています。ちなみに、ビデオを2倍速で見る訓練も有効です。以前ある時期はずっと2倍速で見ていました」

--現在の課題は

 「平日の日中に『考える時間』を取ることです。仕事は平日の日中で行い、夜と週末は完全にオフにすることが理想と考えています。しかし実態は、平日の日中のほとんどはお客さま訪問や社内の会議で埋まってしまい、結局夜中や週末の多くを仕事にあてています。社内の会議時間を半分にする、1時間半のスロットを半分の45分にしてみる-などを考えていますが、なかなか難しいですね」

--自己管理のアドバイスは

 「『こういう自分になれそう』ではなく『こういう自分になりたい』と考えてほしい。その上で、その自分になるためにはどうしたら良いかを逆算で考える。未来を限定しないように、また、手段と目的を取り違えないように。人生の流れをレールに例えるなら、目的は『レールをつくること』や『レールの上を走ること』ではなく『レールの先にたどり着くこと』だと、いつも意識すると良いと思います」

【プロフィル】八子知礼 やこ・とものり  デロイトトーマツコンサルティングでテクノロジー・メディア・テレコミュニケーションユニット統括パートナーを務める。近著に「モバイルクラウド」。

2013年1月7日「フジサンケイビジネスアイ」掲載
 

プロフィール

株式会社ネオレックス
CEO 駒井研司

こまい・けんじ PwCコンサルティング(現IBM)を経てネオレックス副社長。世界79カ国で利用されている自己管理のための無料iPhoneアプリ「MyStats」を発案。


Webサイト:株式会社ネオレックス

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