第2回
会社の取扱説明書ありますか?
仕組み経営株式会社 執筆
会社の取扱説明書とは?
あなたの会社には、「取扱説明書」はありますか?
このコラムのテーマである社長が交代してもうまく回る会社を作るには、この「会社の取扱説明書」が必需品となります。
会社の取扱説明書とは、その説明書を見れば、会社の運営方法がわかる、という文書のことを指しています。
家電製品には必ず取扱説明書が付いていますね。取扱説明書があることで、誰がその商品を購入してもうまく使いこなせるようになります。
ここで、会社をひとつの商品として考えてみてください。
あなたが社長だとして、もし他の誰かに社長を任せるとなった場合、あなたの会社という商品をうまく取り扱うためには、会社の取扱説明書が必要になるのです。
会社の取扱説明書に含まれる内容
私たちはこの、会社の取扱説明書のことを「運営マニュアル」と呼んでいます。
マニュアルというと一般的には、定型業務を行うためのステップバイステップの手順書をイメージしますね。しかし、ここでいう運営マニュアルはそれだけではありません。含まれる内容としては、大きく二つに分かれます。
全社共通の内容:全社員がその会社について知っておくべき内容
・会社の理念体系
・戦略や計画
・商品やサービス
・市場や競合他社の動向
・組織図や役割
・各種働くためのルール
等
職務別の内容:その職務に就く人が知っておくべき内容
・職務で果たすべき目的
・職務に求められる能力や資格、スキル
・業務の流れ
・業務の手順
等
ほとんどの会社では、これらが暗黙知として共有されており、ほとんどの場合には、社長の頭の中にあるだけです。通常運営時にはそれでも問題ないかも知れませんが、いざ、会社を誰かに任せよう、誰かに承継しようとなった場合、困ったことになります。
会社運営において大切な事柄が全て現役社長の頭の中にしかなければ、社長業を引き継ぐのに非常に手間がかかります。
会社の取扱説明書はこんなシーンで役に立つ
会社の運営マニュアルがあれば、以下のようなシーンで非常に役立ちます。
会社を誰かに引き継ぐとき
会社を第三者に承継する場合(会社売却)、通常は社長の引継ぎ期間として半年や1年くらいかかります。その間、社長は次の社長が上手く会社を運営できるようにサポートが必要となります。しかし、私たちのお客様の中には、会社の運営マニュアルを作っておいたおかげで、引継ぎ期間をゼロに出来た事例もあります。運営マニュアルを見てもらえば、会社の業務も社長としての業務もすべてわかるので、あえて引継ぎ期間など要らないというわけです。
新入社員トレーニング
あなたの会社では、新入社員をどのようにトレーニングしていますか?中小企業における新入社員トレーニングの課題は、教え手によって内容や基準がまちまちになってしまうということです。したがって、新入社員が会社に対して受けるイメージもまちまちになり、それが戦力化を遅らせたり、場合によってはミスマッチの原因になります。一方、運営マニュアルがあり、それに沿ってトレーニングをすることができれば、教える内容も基準も標準化され、そのような問題が起こらなくなります。
判断に迷った時の基準
運営マニュアルには自社の理念から戦略まで、すべて可視化されています。ですので、何か経営上の意思決定に迷ったとき、このマニュアルに立ち戻れば、何が大切だったのか、何を基準とすべきなのかが明確に分かります。
業務改善や戦略の見直し
運営マニュアルを完成させれば、上記ようなシーンで役に立つのですが、実は、運営マニュアルを作成するというプロジェクト自体が業務改善や戦略の見直しに役立ちます。というのは、運営マニュアルに記載する内容を検討する段階で、あれ、自社の戦略ってどんな感じだったかな?競合の動きはどうなんだろう?商品やサービスの強みって何だろう?この業務(職務)って本当に必要なんだろうか?など、様々な疑問が湧いてくるからです。社長だけではなく、社員も巻き込んで運営マニュアルを作成するプロジェクトをスタートさせれば、社員の成長にも大きく貢献してくれるでしょう。
会社の取扱説明書づくりは早ければ早いほど良い
会社の取扱説明書は、1か月や2ヶ月で出来るものではありません。本当に活用できるレベルにするためには、最低でも1年は必要と考えておいたほうが良いでしょう。そのため、会社を誰かに承継したい、と思った時からではすでに手遅れになるかもしれません。作成するのは早ければ早いほど良いです。まずはドラフトレベルでも良いので、スタートしてみましょう。
プロフィール
世界中で実証されているノウハウを基に、中小・成長企業を「仕組み」で成長する会社づくりをご支援しています。
□ 自分が現場で働き続けないと会社が運営できない。
□ 社員に仕事を任せられない。
□ 家業から事業へ成長させたい。
□ 成長の壁を乗り越えたい。
□ 熟練社員にしか出来ないブラックボックス業務がある。
□ 社長が代わっても大丈夫なようにして事業承継を成功させたい。
□ 自分の会社を高値で売却したい。
このような課題を抱えている経営者/経営陣の方向け専門のコーチングプログラムをご提供しています。
Webサイト:仕組み経営株式会社
- 第15回 会社の仕組みを変えることで人が自然に変わる
- 第14回 「仕組み化の経営術」 - 社長が頑張らなくても成長する会社
- 第13回 社内で一番厄介な仕組みとは?
- 第12回 差別化を生み出す仕組み化の手順
- 第11回 「おもてなし」も仕組み化できる
- 第10回 組織のととのえタイム
- 第9回 マニュアル化率98%を目指そう
- 第8回 「企業は人なり」はウソ?
- 第7回 成功裏に社長をリタイアするには?
- 第6回 三位一体の計画を作ろう
- 第5回 会社の仕組み化とは一体何か?
- 第4回 あなたはいつまで経営し続けますか?
- 第3回 ジェンガテスト:社長が抜けても大丈夫か?
- 第2回 会社の取扱説明書ありますか?
- 第1回 人依存で起こる5大症状とは?