第12回
差別化を生み出す仕組み化の手順
仕組み経営株式会社 執筆
今日は、会社を仕組み化していくステップをご紹介します。
仕組み化というと、業務を整理したり、マニュアル化したりと、どちらかというと”守り”のイメージを持つ方が多いですね。
しかし、仕組み化を正しく理解すれば、圧倒的な差別化を生み出す、”事業戦略”そのものになります。
仕組み化とは、
1.目的(得たい結果)を実現するために、
2.複製可能な仕事のやり方を設計すること
です。
例を挙げてみましょう。
ドミノピザの仕組みはどう出来たか?
ピザの宅配と言えば、ドミノピザが生み出した「30分以内にお届けできなければ無料」というキャッチコピーが有名です。
ドミノピザは、ピザは熱々の状態で食べてもらうことが最もおいしい食べ方である、と考えました。そこでまず、「30分以内に届ける」という「目的(得たい結果)」を定義しました。
では、その目的を実現するためにはどうすればいいでしょうか?
仕組み化の発想が無い場合には、ドライバーに道を完璧に覚えさせ、運転テクニックを上達させ、、、
などのように、”人力によるガンバリ”で実現しようとします。
中には、熟達したドライバーがいて、30分以内に配達できるケースもあるかも知れません。しかし、新人が宅配したら1時間もかかる、というのでは「複製可能な仕事のやり方」とは言えません。
つまり、これは30分以内に届ける仕組みができているとは言えないのです。
いつでもだれでも30分以内に届けるためには、宅配を「複製可能な仕事のやり方」にする必要があります。
そのためドミノピザでは、「届け先に近い場所に店舗があればいいのでは?」と考え、商圏を小さくし、店舗数を増やす方法を採りました。届け先が近ければ、新人ドライバーが安全運転しても30分以内に届けられます。
つまり、「複製可能な仕事のやり方」が出来たのです。
まとめると、ドミノピザの宅配の仕組みは、
1. 30分以内に届けるという目的(得たい結果)を実現するために、
2. 商圏を小さくした出店戦略を実施する(これは世界中で複製可能)
ということになります。
これにより、個人のガンバリに依存することなく、成果が出るようになっているわけです。
仕組みづくりには創造力が必要
この例で重要な点は、30分以内に届けるという目的があったとき、それを複製可能な形でどう実現するか?というアイデアを生み出す部分です。
ここには創造力が求められます。よく、仕組み化したり、マニュアル化すると社員の創造性が妨げられる、という意見がありますが、実は全く逆なのです。創造力がなければ有効な仕組みなどできないのです。
いまの例をもとに、差別化(=選ばれる理由)を生み出す仕組み化の正しい手順を見ていきましょう。
1.目的(得たい結果)の定義
最初のステップは、目的の定義です。全ての仕組みには目的があります。
ドミノピザの例で言えば、“30分で届ける”が目的です。
目的不在の仕組み化は、単に会社を官僚組織にしてしまうだけになります。会社は様々な仕組みで成り立っており、それぞれが関連しあっています。そして、すべての仕組みに個別の目的があります。
さらに、社内の全ての仕組みは、最終的にひとつの目的につながっている必要があります。その目的とは、会社の理念(ビジョン、ミッション、バリュー)です。全ての仕組みは理念を実現するためにあります。
つまり、仕組みを創る場合には、それがどう会社の理念実現につながっているか、という視点を持つことが欠かせません。
2.目的を達成する方法を探索する
目的が決まれば、”探索”モードに入ります。
探索とは、誰でもいつでも、目的を達成できる仕事のやり方を設計することです。
無能な将軍のもとでは、兵士がムダな血を流すことになります。有能な将軍は、まず戦わずに、つまり、兵に血を流させることなく勝つことを目指します。
同じように、社長が行うことは、社員が楽に働きながらも、成果を出せる仕組みを創ることです。
ドミノピザでは、30分以内に届けるために(目的)、小商圏での店舗展開を生み出しました。
3.誰でもできるように標準化する
”探索”の結果、目的を達成する仕事のやり方が見つかったとします。そのアイデアを具体的に業務プロセスとして組み立てることが大切です。これが標準化です。Aさんは出来るけど、Bさんは出来ない、というのでは標準化できていません。
ドミノピザの例では、小商圏でも利益が出る店舗運営の仕組みを創ることが標準化につながります。
4.標準化された業務をマニュアル化(文書化)する
そして、マニュアル化です。標準化されたやり方を文書に落とし込みます。
明確な目的があれば、ここまで来ると、あなたの会社は、他のデザイン会社と比べて、圧倒的な差別化を実現していることになります。ドミノピザの例がまさにそれです。
ここまで見てきて、理想論に過ぎない、と思われる方もいるかもしれませんね。しかし、社長は理想論を追求しないといけないのです。社内で誰も理想論を掲げなくなったら、その会社に未来はありません。
5.絶え間ぬ改善のプロセスを回す
最後(と言っても1からまたループするのですが)のステップは、改善です。改善とは、より良いやり方を見つけるための絶え間ないプロセスです。
言い方を変えると、インプットを減らし、アウトプットを高めるということになり、生産性を高めることと同義になります。
というわけで、今日は、”仕組み化”について、考え方の手順をご紹介してきました。
ぜひご参考にされてください。
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- 第15回 会社の仕組みを変えることで人が自然に変わる
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- 第12回 差別化を生み出す仕組み化の手順
- 第11回 「おもてなし」も仕組み化できる
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