第9回
マニュアル化率98%を目指そう
仕組み経営株式会社 執筆
日頃、会社の仕組み化をご支援しておりますと、マニュアル化の話が合わせて出てきます。マニュアルとは業務のやり方を記載した文書であり、ある程度の規模に成長した会社では、ほぼ確実と言っていいほど必要になってきます。
一方、マニュアル作りや浸透に苦戦している会社も多いのではないでしょうか。
たとえば、
過去に作ったマニュアルが各所に分散してしまっており、使いにくい。
過去にマニュアルを作ったが、そのご参照されず、形骸化している。
作り方やフォーマットがバラバラであり、統一感が無い。
等々です。
そこで今日は、マニュアル作りの3つのポイントをご紹介していきます。
1.マニュアルの定義をしっかり行う
一つ目は、マニュアルとは何かという定義をしっかり行い、社内で共有しておくことです。
私たちの考えでは、「マニュアルとは理念に沿った仕事のやり方を記載したものである」です。
たとえば、同じ飲食業であっても、そのお店が顧客に提供したい価値によって、配膳の仕方、掃除の仕方、声がけの仕方が全く異なります。
ですから、他社のマニュアルをパクってきても、それが自社に合うかどうかはわかりません。
まず、自社らしい仕事の仕方は何かを考えること。
それを文書化したものがマニュアルになります。
この方針が社内で共有されていれば、マニュアル作成する際に、創造性が生まれます。
マニュアル的な対応は顧客から嫌われることが多いですが、理念から生まれたマニュアルであれば、そう思われることも少なくなります。
2.98%のマニュアル化を目指す
二つ目のポイントは、98%のマニュアル化を目指す、ということです。
業務の98%をマニュアル化 すれば、社員は2%の重要な 仕事に集中できます。マニュアルと言うと、社員を機械的に動かすもの、というイメージを持たれがちです。
しかし本質は異なります。マニュアルとは、社員が本当に大切な仕事に集中するために、ルーチンワークを自動化(考えずに実行できるように)するためのものなのです。
お客様とお話する際、業務のどこまでをマニュアル化するかが一つの議論になることが多いです。
私たちの目安としては、業務全体の98%をマニュアル化することです。
もちろん、業務のボリュームを数値化することが難しいため、98%というのはイメージです。
どこから98%という数字が出てきたかというと、
人が行っている仕事のうち、98%程度はマニュアルや教育が整っていれば、他の人でも代替可能である、という海外の調査データによります。
ちなみにこれは偶然の一致ですが、獺祭をヒットさせたことで有名な旭酒造の桜井会長も、「酒造りの98%はマニュアル化できる」と著書の中でおっしゃっていました。
98%をマニュアル化出来れば、人は2%の本当にその人しか出来ない重要度の高い仕事に集中できます。
経営者の方であれば、本当に重要な、高度な意思決定に集中できるわけです。
3.マニュアルは自社で創り、改善を続ける
3つ目のポイントは、自社でマニュアルを 作り、改善していく 仕組みと文化を創るということです。
マニュアルというのは、”その時点において、その仕事を行う最も効果的(理念に沿う)であろうやり方”を記載したものです。
あくまで、その時点、というのが大切です。
ビジネスは改善、改善の連続です。
したがって、もっと効果的な仕事のやり方が見つかれば、マニュアルもそれに応じて改善する必要があります。
特に中小・成長企業の場合には、日常業務と改善活動の間にほとんど境目がありませんから、仕事のやり方もどんどん変わるでしょう。
そんな中、マニュアル作成を外注し、きれいなマニュアルを作った場合には、”マニュアル=誰かが作ってくれたのを見るもの”という認識が社内に出来てしまいます。
仕事内容が改善され、マニュアルが実態にそぐわなくなってしまっても、誰もそれを改善しようとする意思がありあません。
一方、最初からマニュアルを自分たちで作れば、話は別です。
マニュアル=見るものではなく、マニュアル=作るものという認識が生まれます。
実態にそぐわなくなれば、それを改善していく文化を作るのも簡単です。
マニュアルというのは、見るものではなく、自分たちで改善し続ける生きた文書なのです。
一般的な「マニュアル」のイメージと異なり、マニュアル改善が社内に根付けば、社員は創造的に働くことが出来るようになります。
以上、マニュアル化のポイントを3つほどご紹介しました。ぜひ自社のマニュアル作りにご活用いただければと思います。
プロフィール
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□ 自分が現場で働き続けないと会社が運営できない。
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□ 家業から事業へ成長させたい。
□ 成長の壁を乗り越えたい。
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このような課題を抱えている経営者/経営陣の方向け専門のコーチングプログラムをご提供しています。
Webサイト:仕組み経営株式会社
- 第15回 会社の仕組みを変えることで人が自然に変わる
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- 第12回 差別化を生み出す仕組み化の手順
- 第11回 「おもてなし」も仕組み化できる
- 第10回 組織のととのえタイム
- 第9回 マニュアル化率98%を目指そう
- 第8回 「企業は人なり」はウソ?
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- 第6回 三位一体の計画を作ろう
- 第5回 会社の仕組み化とは一体何か?
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