第8回
「企業は人なり」はウソ?
仕組み経営株式会社 執筆
さて、日本では、
• 企業は人なり
• 人こそ最大の資産
とよく言われていますね。
もちろん、会社が人で成り立っている以上、人が大切なのは間違いありません。 しかし、多くの中小・成長企業では、人が問題の発生源になってしまっています。
• 辞める人の対処に時間を取られている
• 採用活動に多くのお金と時間を割いているが、結局ミスマッチが多い
• 社員の仕事のミスの対応に追われる
• 責任の擦り付け合いが起こる
• 自分の右腕や幹部、後継者がなかなか育たない
等々。
大半の会社では、こういった「人の問題」に対処することに多大なコストを支払っています。
このような問題が絶え間なく起こってしまうのは、社長が「人依存」の考え方で経営をしているからなのです。
人依存の考えから抜け出すには、「人に関する事実」をおさえておくことが大切です。
人に関する事実
1.人は辞める
よく「人こそが会社の最大の資産である」と言います。 しかし、これは大嘘です。 資産とは、自分たちが完全にコントロール権を握っており、永続的に会社に利益をもたらしてくれるもののことを言います。 人はいつか去ってしまいますし、人の感情や行動を会社が制限したりコントロールすることはできません。
逆に、会社の仕組みは自分たちで完全にコントロールでき、一度作れば、会社の独占的な資産として利益を上げ続けてくれます。
私が会社員のころ、ITインフラの構築をする会社で営業をしていました。
この会社、とても離職率が高かったのです。
私が担当していた案件でも、数か月でエンジニアが突然辞める(場合によっては連絡なしで飛ぶ)ということが良くありました。
そんなことが繰り返されているうち、私は”社員というのはいつか辞めるのだ”と強く感じたのです。
そのため、いつ人が辞めてもいいように心の準備をしておくようになったのです。
いま経営者とお話しするときにも、常々、「社長が頼りにしているその人が辞めたらどうなるか?」ということを考えながらお話しするようにしています。
どんな社員であっても、いずれあなたの会社を去るときが来ます。転職や独立など本人の希望もあるでしょうし、病気や家庭の事情などの不可抗力の事情もあるでしょう。
ですから、社長が社員を頼りにするのは良いことですが、その前提条件として、人が辞めるという前提で会社の仕組みづくりをしておくことが大切なのです。
2.優秀な人はいない
会社を成長させていくには、社長の仕事をどんどん社員に委任していくことが必要です。
でも、社長がやっている仕事を任せられる人がいないのが現状ではないでしょうか。
はっきり言って、中小企業やこれから成長していこうという会社には、社長と同じくらい優秀な人はいません。
中小・成長企業の「社長」は世の中全体で見ても、非常に能力値や意識レベルが高い人がほとんどです。 したがって、社長は、なぜ自分と同じように考えたり、働いたりしてくれる人がいないんだろう?と悩むことになるのです。
そこで、社長がやるべきことは、優秀な人に依存するのではなく、
普通の人でも成果を出せる仕組みを創ることなのです。
人は成果を出すことによって、もっと成果を出したい、と思うようになり、自己成長をするようになりります。
3.人を育てても業績は上がらない
人を育てるために多くの時間やお金を投資している社長もいらっしゃると思います。
しかし、人の育成に投資をしても必ずしも業績が上がるわけではありません。
この話はスポーツチームに例えてみるとわかりやすいです。
私が中学時代にバスケ部だったころ、マイケルジョーダンが現役で活躍していました。 今でこそ、ジョーダンは神様と呼ばれていますが、NBA入りしてしばらくは、神様と呼ばれるほどの注目はされていませんでした。
(もちろん、非常に優れた選手であることは知れ渡っていましたが)
ジョーダンが本格的に活躍し始めたのは、ピッペンという相棒選手が入ってきたことやヘッドコーチが交代した時期からです。
その時期からチームとジョーダンの能力がかみ合い始め、チームは常勝軍団になり、ジョーダンも神様と呼ばれるようになったのです。
つまり、ジョーダンという非常に能力値が高い選手がいるだけではチームが勝ち続けるには不十分で、ジョーダンの能力を活かすためのチーム作りこそが大切だったのです。
会社の中で人を育てるときにも同じことが言えます。
人を育てるのは、ドリブルやシュートなど、個人技を伸ばすことです。
一方、業績を伸ばすためには、その個人技を活かすための組織の仕組みが必要になります。
以上、「人に関する事実」として3つほどご紹介しました。 ぜひ「人依存」の考えではなく、「仕組み依存」の考えで会社を見直してみてください。
プロフィール
世界中で実証されているノウハウを基に、中小・成長企業を「仕組み」で成長する会社づくりをご支援しています。
□ 自分が現場で働き続けないと会社が運営できない。
□ 社員に仕事を任せられない。
□ 家業から事業へ成長させたい。
□ 成長の壁を乗り越えたい。
□ 熟練社員にしか出来ないブラックボックス業務がある。
□ 社長が代わっても大丈夫なようにして事業承継を成功させたい。
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このような課題を抱えている経営者/経営陣の方向け専門のコーチングプログラムをご提供しています。
Webサイト:仕組み経営株式会社
- 第15回 会社の仕組みを変えることで人が自然に変わる
- 第14回 「仕組み化の経営術」 - 社長が頑張らなくても成長する会社
- 第13回 社内で一番厄介な仕組みとは?
- 第12回 差別化を生み出す仕組み化の手順
- 第11回 「おもてなし」も仕組み化できる
- 第10回 組織のととのえタイム
- 第9回 マニュアル化率98%を目指そう
- 第8回 「企業は人なり」はウソ?
- 第7回 成功裏に社長をリタイアするには?
- 第6回 三位一体の計画を作ろう
- 第5回 会社の仕組み化とは一体何か?
- 第4回 あなたはいつまで経営し続けますか?
- 第3回 ジェンガテスト:社長が抜けても大丈夫か?
- 第2回 会社の取扱説明書ありますか?
- 第1回 人依存で起こる5大症状とは?