人的資本・知的時代のマネジメント~人材を人財に育み、知恵を事業として結実させる方法
第2回
人材のキャリアを【キャリアの4象限】で考え、役職定年後のセカンドポジションに活かす!
株式会社ベーシック 田原祐子
今年、3月に出版した、拙著『55歳からのリアルな働き方』(かんき出版)では、
長年仕事を続けていくうち、知らぬ間に人材に蓄積されている、さまざまな暗黙知・経験知を棚卸し、同業種や異業種に活かす方法について、「キャリアの4象限」を使って解説しています。
【キャリアの4象限】とは、人材の「経験知=Business Wisdom」である「知識・スキル・コンピテンシー」を活かして、
・キャリアアップ…同業種×同職種
・キャリアシフト…同業種×異職種
・キャリアチェンジ…異業種×同職種
・キャリアチャレンジ…異業種×異職種
という、業種、職種で働くという≪4つの選択肢≫から、キャリアを自由自在に選択するというものです。
このようなキャリアの考え方に興味を持っていただく方も多く、先般、ある大手企業の人事部門ご担当者から
「役職定年後も、社内でその人の強みを活かし長く働いていただきたい」というお考えから、著書『55歳からのリアルな働き方』に掲載している「STEP2:キャリア戦略」の中の、【キャリアの4象限】の考え方を、社内向けにアレンジして、使いたいというご要望をいただきました。
私もお話しをうかがいながら、なるほどと思ったのですが、社内で経験し蓄積してきた、知識やコンピテンシ―は、
実は、「今いる部署でなくとも」活かせるのです。
ご担当者からは、長年配属されていた部署で培った知識は、別の部署に異動になると、その知識が「別の形」で活かせるのだと具体的な事例をお示しいただきました。
例えば、営業部門にいた方が、人事部門に異動になると、「営業に活用する知識」でなく、「営業人材のキャリアの伸ばし方の知識」や、「スランプになった際どう切り抜けるか」というアドバイス等を、人事部門の担当者という「新たな職種」から、活かすことができます。
また、製造や開発部門にいた方なら、他の事業部門に異動になると、その部門で、長年蓄積してきた専門知識が、
別の部門の中に、新しい知識や考え方として入ってきてまさに、部門内にイノベーションが起こり新しい製品開発・事業開発等の知識として、活かせるのだそうです。
これはまさに、別の事業部門が「新たな業種(業界)」に該当します。
〇役職定年後 新しいポジションの考え方
特に、役職定年になった後は、それまでいた部署では、部下が上司になることもあり、「働き難い…」という声も少なからずお聞きします。
今回いただいたご依頼はこうした働き難さの打開策ともなり得ます。
〇FMラジオ出演のお知らせ
8月25日(日)17:00~17:30
ラッキーFMの『松井太郎の週一副社長』という番組に、ゲストとして登壇します。
ビジネスパーソンの皆様が、ご自身の経験知・暗黙知を活かして、週1回、鳥取県の中小企業の副社長をする番組です。
(ラッキーFM「松井太郎の週一副社長」で、検索ください。Radikoでもお聞きいただけます。)
プロフィール
株式会社ベーシック
代表取締役 田原 祐子 (たはら ゆうこ)
社会構想大学院大学「実践知のプロフェッショナル」を養成する実務教育研究科教授、日本ナレッジ・マネジメント学会理事
仕事ができる人材は、なぜ、仕事ができるかという“暗黙知=ナレッジ”を20年前から研究し、これらをモデリング・標準化・形式知化(マニュアル、ノウハウリスト、システム等の社内人材を育成する仕組み)を構築。企業内に分散する暗黙知やノウハウを組織開発・人材育成に活用する、【実践知教育型製ナレッジ・マネジメント】を提唱し、社内インストラクターの育成にも寄与。約1500社、13万人を育成指導。
経営者・トップマネジメント・次世代を担うエキスパートの、行動特性分析・意思決定暗黙知の形式知化や、企業内の知財の可視化(人的資本・知的資本・無形資産含む)にも貢献し、上場企業3社の社外取締役も拝命している。
環境省委託事業、経産省新ビジネスモデル選定委員、特許庁では特許開発のワークショップ実施。2021~2023年度、厚生労働省「民間教育訓練機関における職業訓練サービスの質向上取組支援事業」に係る運営協議会および認証委員会委員。
暗黙知を形式知化するフレーム&ワークモジュールRという独自メソドロジーは、全国能率大会(経産省後援)で、3年連続表彰され、導入企業は、東証一部上場企業~中小企業、学校・幼稚園、病院・介護施設、研究開発機関、伝統工芸、弁護士、知財事務所等。DX・RPA・AIとも合致。営業部門は、Sales Force Automation、Marketing Automation、一般部門では、Teams・SNSツール・Excel等も活用可能。
【田原 祐子 著書】
本書では、ご自身に潜在するさまざまな仕事の経験を見える化し、「経験知や才能(強み)」で稼ぐ、スマートで知的な報酬を得る方法をご紹介します。
私は、これまで25年間、上場企業から小さな家族経営の会社に至るまで、さまざまなご依頼いただき、約13万人の人材を育成してきました。
そのノウハウを、すべて本書に詰め込みました。
その他、著書15冊、PRESIDENT on-line、ダイヤモンド・オンライン、人材関連・ビジネス誌等への記事掲載、多数。
Webサイト:株式会社ベーシック
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- 第3回 いま考えたい、50代ミドルシニアのリアルな働き方(1)
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- 第1回 その人が居なくなって気づく、暗黙知・経験知の大切さ