マーケティング新時代 造り物の終焉

第3回

海外の反応 日本文化の人気

イノベーションズアイ編集局  マーケティングコンサルタント N

 

来日外国人が大幅に増加していることをご存じの方は多いと思うが、現在、日本は世界でも大変人気のある国となっている。アニメの人気などは有名だが、日本文化自体が諸外国の人からすばらしいと思われたり、羨ましがられていることはご存じだろうか。

 

近年の日本の話題

ワールドカップサッカーで試合後に観客席のゴミ拾いをするサポーターの姿が報道され、日本人のマナーの良さが世界で話題になった。東京オリンピックでは、日本を訪れた各国の選手や記者達が街にゴミが落ちていないことや、シャワートイレ、コンビニの利便性、食事やお菓子の美味しさなどに驚き、帰国後にそれぞれの国に広めた。WBC(ワールドベースボールクラシック)でも大谷選手の活躍は元より、サッカー同様ゴミ拾いするサポーターのマナーの良さや日本選手のベンチにもゴミ一つ落ちていなかったことなども話題となった。

 

動画による日本文化の拡散

コロナ禍の巣ごもり需要として世界中で動画閲覧が大幅に増加したが、この影響もあり日本に関連する動画が多数話題となった。

  • ・小さな子どもが一人でおつかいに行く動画。
  • ・小学生が一人で電車に乗って通学し、子どもたちだけで下校し帰りに公園で遊ぶ動画。
  • ・東京で財布を落とすとどうなるか検証したら、50回全て拾った人が財布を持ってきてくれた動画。
  • ・日本の小学校の給食や掃除の文化を伝える動画。
  • ・新幹線が高速なのに静かで振動も少なく社内も綺麗で、更に正確な時刻で運行されいることに驚く動画。

他にも、スマホをカフェのテーブルに置いたまま5分間席を空けてもスマホは盗まれなかったり、女性が一人で夜道をあるくことに不安がない様子だったり、電車が正確な時刻で運行され、数分遅れただけで車掌が謝罪したりと、日本ではごく普通の日常が外国人の目には衝撃的な光景として映り、拡散されている。

 

日本の子どもへの関心

中でも子ども関連の動画は非常に興味を持たれている。親が学校への送り迎えをするのが当たり前の国が多い中、親が同伴せずに子どもたちだけで自由に行動できる日本の社会は多くの国の人から憧れられており、給食や掃除についても子どもの自立や協調性の教育も含め、非常に高く評価されている。先に書いたサポーターの清掃の件もあり、日本の小学校の視察を経て自国の小学校に掃除や給食を導入しはじめている国もある。

 

評価の変化

評価されている日本の文化は、進化はしているものの基本的な考え方や慣習は古くからあるものだ。古くからあるものなのになぜ今になってこのように評価されているのだろうか?

一つは価値観の変化だろう。過去の国の評価は経済力や軍事力が主な評価だったが、現在では情報力に加え、その国の持つ文化自体も評価に加わっている。これまで世界は社会の発展を必死に進めて来たが、その結果、環境問題や国際社会の問題など、地球規模での課題解決や国際的なコミュニケーションが重要なグローバル時代となった。今の時代は世界的な協調や善の行いなど、人の在り方自体の進化が求められるようになったと言える。

もう一つは、各国の社会の素の姿が浮彫りになったことだ。気軽に動画で日常を公開できるようになったことで、良くも悪くも世界各国の文化や社会の本当の姿が知られるようになった。

百聞は一見に如かずというが、動画で実態が映し出されることでネットでの書き込みや噂より真実が伝わりやすく、情報操作されにくい。

 

本質が問われる時代

これからの時代、表面的なものではなく本質的なものが良くも悪くも評価されていく時代になる。本質的なものというのは、国であれば国民が、企業であれば社員が、組織全体が当たり前と考えるものだ。定着するのに時間が必用かも知れないが、育てることは非常に大切だ。

他者が真似たいと思っても一朝一夕にはいかない。まじめに取り組んで来た実力が評価される時代が来ている。マーケティングにおいても表面的なマーケティングではなく、考え方や目指すところを素直に伝えられるマーケティングが必用なのだ。

 

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