プレスリレーションを考える

第10回

地上波テレビの世界観

株式会社エムシーストラテジー   槇 徳子

 

テレビ出演が決まったら

これまでのコラムで色々な角度からお伝えしたように、今やテレビ出演のハードルはかなり低くなりました。

一つの業界や特定の産業を代表してコメントできる方々(含、経営者)のインタビュー取材は勿論、様々な分野における知見・洞察に基づくコメントなしにテレビ番組は成り立たないということもできるでしょう。

そこで、明日ご自身がテレビ番組からインタビュー、取材、コメントを求められた場合に、気を付けるべき「表現」について共有したいと思います。

メディアで主張したい意見、世に知らしめたい情報はそれぞれだと思いますが、意見・情報の出し方、伝え方、言葉の選び方などについてテレビ放送の不文律があります。

 

受け入れられやすさと分かりやすさ

言わずもがな、テレビはマスが相手のメディアです。

特に報道、情報番組の制作スタッフにとって、より多くの視聴者の皆さまに「受け入れてもらい」、より多くの視聴者の皆さまに「分かりやすく伝える」ことが至上命題です。

そして偏った世論形成を導かないよう、常に「中立」を旨として反対意見と賛成意見が拮抗するよう気を配っています。

出演を請われた時、できるだけ準備して欲しいことは専門性の高い話であれば話の骨子をフリップ1枚・要点3行にまとめること。勿論、取材者(ディレクター等)とのやり取りにより要点を研ぎ澄ますプロセスを経ることが通常ですが、最初からある程度まとまっていることでキャッチボールも少なく済みます。また意見や情報提供が難しい言い回し、偏った表現にならないように気を配って頂けたら取材者とより良い関係が築けるでしょう。

 

言葉以外で気を付けたいこと

テレビ取材に慣れていないとどうしても気負い、カラ元気が出てしまったり、また必要以上ににこやかになったり、普段通りのつもりが不機嫌そうに見えたりと、表情のコントロール、映り方は難しいものです。

自分の表情のコントロールに経験は必要ですが、少なくともその番組やコーナーの趣旨を捉え、TPOに合った表情や言葉遣いが必要となります。

悲しいニュースなど人々の困難が背景ならそのように、また自社の不祥事についての会見であれば世論(受け止める人々の気持ち)に寄り添い、好業績など明るいニュースに対するコメントでは、表情や言葉遣いが過剰に明るすぎないことで、「より多くの方々」に受け入れてもらいやすくなるでしょう。

普段しないことだと思いますが、テレビ取材に際しては鏡かスマホを使って何かを話しているご自身の表情チェックをお奨めします。

 

言葉遣いと表現で気を付けたいこと

録画なら編集が入るのでまだしもですが、注意を要するのは生放送、或いは編集ナシの疑似生放送形式の場合です。ご自身がインタビューに答え、意見を述べる中で、1.批判・非難 2.強烈・感情的な表現 3.相手の発言の否定を伴うコメントが想定される場合には予め原稿におこし、できれば忖度なしの周囲の意見を求めることが必要でしょう。

感情まかせの批判や怒り、真向否定や相手を貶めるような表現はテレビでNGです。

解決されるべき問題が山積みのまま時代が大きく移り変わる今、如何により多くの人々に受け入れてもらえる言葉をもって問題提起ができ、解決策を提案できるかはテレビに限らずユニバーサルな課題だと考えています。

 

プロフィール

株式会社エムシーストラテジー
代表取締役 槇 徳子

20年に渡りCBC、テレビ東京に勤務、あらゆる時間帯のニュース番組を担当。今も続くニュースモーニングサテライトの立ち上げ等、10年以上金融情報番組に携わりました。報道する側の経験を基に2008年エムシーストラテジーを起業、経営者や研究者を対象にテレビ出演はじめインタビューなどをサポート。クライアントのセミナーやオープニングパーティーなどイベントでも情報発信戦略に関わり、HP等自社メディアコンテンツからプレスリリース文言まで、あらゆる側面から情報発信アドバイザリーをしています。


2022年、2023年 日経新聞広告賞審査員

2022年~(株)ミンカブ・ジ・インフォノイド社外取締役


Webサイト:株式会社エムシーストラテジー

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