プレスリレーションを考える

第8回

プレスリリースについて ②

株式会社エムシーストラテジー   槇 徳子

 

プレスリリース作成の前に

新しいプロダクトのプレスリリースを拝見しながら「このリリースの書き手はプロダクトを実際に使った経験があるのだろうか?」と思うことがあります。

最近UX, CXといった横文字が流行っていますが、広報担当者はそのプロダクトを最初のユーザーとして経験することはとても有効だと考えます。

製造部門・開発部門と広報の現場が連携されていても、上流からの専門的技術的な情報だけではプレスリリースへの文章おこしが難しいという声も聞かれます。言葉化のために広報部門こそできるだけ早く新しいプロダクトに接して、使ったり経験した際に得る様々な反応、感想を加味することで、より重層的なプレスリリースになると思っています。


プレスリリースに活かすUX, CX

規模が大きく社員数の多い企業でも、部門も社員も多い企業だからこそプロダクトの製造・開発部門と広報部門は密接なコミュニケーションが必要です。広報部門の社員がユーザーとして回数、時間をかけて使用、経験して得られた感想はローンチ前ならプロダクト向上に利用することもできるはずです。前述してきたように現場の声から開発ストーリーへの展開も容易になることが期待されます。外部にお願いするマーケティングテストとは違った角度からの意見も出てくることでしょう。

一人のユーザーやカスタマーとして持ち、使っての感動経験こそが活き活きとしたリリース作成の一歩だと思います。プレスリリースの作文から発信まで一人の担当者に任せず、複数名で、できれば広報担当外の社員も交えて感想や経験を言葉化する工程を取り入れてはいかがでしょうか。風通しの良い組織では既に取り組んでいるかもしれません。


リリースの差別化のために

プレスリリースのポータルを利用した発信はとても便利、且つ目に触れる数も圧倒的ですが、一点気になっていることがあります。

デジタル上で簡便に作成、リリースできるが故にフォーマットに則った体裁から離れられなくなることです。定期的、定点的なリリースにフォーマットは有効ですが、メディア関係者の目に留まるためには一瞥した時のインパクトと分かりやすさが必要です。記事化しやすいニュース感をタイトルに盛り込み、写真やイラスト、図表を多用するなど、自由度の高いレイアウトを意識しては如何でしょうか。

プレスリリースURLを折角どなたかが開いてご覧になった時に「お、これは!」と、ときめいてもらうために、タイトルのワーディングは勿論、流し込む文章やレイアウトを自在に変え、アイキャッチとなる写真や動画、メディアにとってのフックとなる図表を多用できたら最高です。そこにUX, CXを先取りした文言があれば、活き活きとした発信力のあるリリースになると信じています。

 

プロフィール

株式会社エムシーストラテジー
代表取締役 槇 徳子

20年に渡りCBC、テレビ東京に勤務、あらゆる時間帯のニュース番組を担当。今も続くニュースモーニングサテライトの立ち上げ等、10年以上金融情報番組に携わりました。報道する側の経験を基に2008年エムシーストラテジーを起業、経営者や研究者を対象にテレビ出演はじめインタビューなどをサポート。クライアントのセミナーやオープニングパーティーなどイベントでも情報発信戦略に関わり、HP等自社メディアコンテンツからプレスリリース文言まで、あらゆる側面から情報発信アドバイザリーをしています。


2022年、2023年 日経新聞広告賞審査員

2022年~(株)ミンカブ・ジ・インフォノイド社外取締役


Webサイト:株式会社エムシーストラテジー

プレスリレーションを考える

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