第6回
企業取材の心構え ③
株式会社エムシーストラテジー 槇 徳子
取材協力ポイント
前回企業・法人の取材では番組の長さに見合う取材対象、エピソードやストーリー構成が見えないと実現が難しいというお話、また取材される側から歩み寄って頂くことで番組企画が具体化した経験談を共有させて頂きました。「本邦初となる海外ロケ先」をセッティングすることはどこの組織・企業でもできることではありませんが、取材側として協力して頂けると取材・番組が成立しやすいポイントは他にもあります。
1．密着取材の対象となるリーダーとそのチーム（何らかのプロジェクトチーム）を決める。
2．取材周りのステークホルダー（仕入れ先、製造元、下請け、末端のお客様等）で取材可能な先を取材者に紹介する。
3．取材許可が必要な先々へのコミュニケーションを率先して手伝うなどです。
1ができればかなり話は早くなります。人物密着によるヒューマンドキュメントは長尺のテレビ番組として成立しやすい演出だからです。しかしながら、ずっと密着されて一言一句カメラに収められるので、ご本人のやる気、いわば主人公としてのキャラクターも必要でしょう。また2、3については広報部門を持つ大手企業では手慣れていらっしゃることだと思います。広報部門を持たず、テレビ取材経験がない法人にとってはかなり負担になることばかりですが、これらポイントを踏み越えると放送の実現も早くなると思われます。
番組に関わる人々
取材に至るファーストコンタクトが、多くの場合ネット情報であることは令和の今言わずもがなですが、番組の「ネタ」「取材先」を探しているのはテレビ局に勤めるディレクターばかりではありません。
番組のエンディングに流れる沢山の名前の中に、その番組・その回を担当したプロダクション名、そこに所属するディレクター名が出てくることに気付いていらっしゃるでしょうか。
また構成作家（画面では構成とあります）という番組コンテンツを魅力的にするためにストーリー展開、編集の順番などを考えるといった重要な役割を担う方の名前も出てきます。更に、リサーチャー、コーディネーターという文字通りの担いを持つ方の名前が出てくることもあります。
実は放送に至るには構成作家の方々、数多あるプロダクションに所属しているディレクターの方々が放送を実現させる力を持っていることはあまり知られていないのではないでしょうか。
プロダクションは規模も得意分野も様々で、バラエティ番組に強く特定の芸能人との関係が大きいところ、企業にフォーカスする番組制作の経験が多くテレビ東京からNHKに至るまで番組づくりに携わっているところ、またドキュメンタリーが専門のプロダクションもあります。
ご縁ときっかけを大切に
こうしたプロダクション、また構成作家の方こそ番組取材、番組制作に大きな力があり、ネット情報などを基に御社にコンタクトしてくることがあると、是非覚えていてほしいと思います。読者の皆さまにおかれてはそのようなことはないと思いますが、飛び込みで取材の協力依頼があった場合に「テレビ局を名乗ってはいるがよくわからない方から連絡があった」とご協力を躊躇されるのは勿体ないことです。
一方でヒアリングだけで番組放送に至らないこともあると想定されますが、それでも後々何かでご縁が繋がることもあると信じて真摯に対応して頂けたらと思います。
プロフィール
株式会社エムシーストラテジー
代表取締役 槇 徳子
20年に渡りCBC、テレビ東京に勤務、あらゆる時間帯のニュース番組を担当。今も続くニュースモーニングサテライトの立ち上げ等、10年以上金融情報番組に携わりました。報道する側の経験を基に2008年エムシーストラテジーを起業、経営者や研究者を対象にテレビ出演はじめインタビューなどをサポート。クライアントのセミナーやオープニングパーティーなどイベントでも情報発信戦略に関わり、HP等自社メディアコンテンツからプレスリリース文言まで、あらゆる側面から情報発信アドバイザリーをしています。
2022年、2023年 日経新聞広告賞審査員
2022年～(株)ミンカブ・ジ・インフォノイド社外取締役
Webサイト：株式会社エムシーストラテジー
