マネジメントを再考してみる 前編<現場マネジメント>

第7回

マネジメントのシステム化を考える

StrateCutions (ストラテキューションズ)グループ  落藤 伸夫

 
「わが社のマネジメントを新しくするためにはシステム化しなければならないと仰いましたね。その意味が分からないのですが。」

「それはまさに、中川課長が言っていたことだよ。今までのマネジメントを変えて新たなマネジメントを取り入れるためには、何をすべきか?目的が分かっただけではモノにならない。運用方法が多少、分かったくらいでも無理だ。それらを明らかにすれば、わが社に新しいマネジメントを取り入れられるというような話ではないんだよ。」

「私は、確かにそのような趣旨を申しました。でも、その答えがシステム化だと言われても、チンプンカンプンです。システムとは、コンピューターにインストールするという意味ですか?ますます、意味が分かりません。」

「いやいや、申し訳ない。システムといっても、コンピューターにインストールするものではないよ。」

「じゃあ、何なんですか?」

「マネジメント・システムを、会社に取り入れるんだ。」

「いずれにせよ、分かりません。」

「そうだろうな。では、順を追って説明させて頂くことにするよ。」

「よろしくお願いします。」


システムとは

「マネジメント・システムという時のシステムに近い意味で、なおかつみんなが知っているものとして『エコシステム』があると思う。」

「そのこころは?」

「では、エコシステムとは、どんなシステムだと思う?」

「生態系と、言われていますよね。」

「そうだな。では例えば『有害ゴミを出さないエコシステム』というと、どんなシステムだと思う?」

「うーん。」

「一昔前、盛んに言われてなかったか?」

「確かに、私の住む市でも一大イベントとして取り入れられました。」

「コンピューターにインストールするシステムではないよな。」

「揚げ足を取られましたね。」

「じゃあ、何だ?」

「社会の仕組みとでも言いましょうか。」

「いい感じだな。」


有害ゴミのないエコ「システム」の作り方

「では、中川課長の地域ではどんな取組みがあったんだ?」

「有害なゴミが無造作に排出されない社会にしようと、市役所が一大キャンペーンを打ちました。私たち市民に、ゴミを分別するようにお達しが出たんです。」

「そうだな。企業には?」

「分別しやすいよう、包装等を工夫するよう指示が出たのでしょうか?」

「そう思う。それから自治体自身も、分別に対応した収集体制や処理施設を整備したのだろうな。」

「その通りですね。」

「それだけで、大丈夫か?」

「関係者、この場合には市民や企業と言うことですが、与えられた役割を実行しなければなりません。」

「いいね。でも、それだけか?」

「うーん。」

「うまくいっている時はいいが、もしうまくいかなくなってしまった時には、どうする?手の打ちようがなくても良いのか?」

「それは困りますね。私たちの地域では、分別が徹底していないゴミ袋は収集されないことになっていました。そのゴミを出した人は、分別をやり直して再度、ゴミ出ししなければなりません。」

「そうそう。それを何という?」

「うまくいっていない場合には、それを是正する仕組みが必要だということですね。」

「そうだな。上々、上々。」


どうすれば「システム」を作ったことになるのか?

「誉めていただきましたが、さっぱり意味が分かりません。」

「いやいや、失礼。俺が考えていたシステムを、うまく表現してくれたからね。」

「と言いますと?」

「ある社会が有害ゴミを排出しないエコシステムとして成り立っていくために、何が必要だった?」

「市民や企業の役割でしょうか?」

「そうだ。そして?」

「是正のための仕組みですか?」

「そうだな。ここではコントロールと言っておこうか。そして?」

「もう思いつきませんが。」

「各々の役割を果たす者が誰なのか、はっきりと示されていなければならない。」

「あ、そうか。」

「以上のように考えてもらうと、組織や社会が特定の目的を持って『システム化』されるとはどういうことなのか、分かってもらえたのではないだろうか?」

「担当者とその役割を明確にすると共に、コントロールの仕組みを儲けておくことが『システム化』なんですね。」

 

プロフィール

StrateCutions
代表 落藤 伸夫

「世界の先進国では日本だけが一人負け」という話を聞くことがあります。世界が日本を羨んだ “Japan as No.1” からまだ40年ほどしか経っていないのに、当時、途上国といわれていた幾つかの国々の後塵を拝している現状です。

それを打開する方法の一つに、マネジメントを高度化していくことがあると思われます。日本のホワイトカラーの生産性は先進国では最低だといわれていますが、逆に言えば、マネジメントを改善すれば成果を飛躍的に伸ばすことができる可能性があります。

筆者は Bond-BBT MBA でMCS(マネジメント・コントロール・システム)論を学んで以来、マネジメントでもって企業の業績をあげる方法について研究してきました。マネジメントを合理的に考え直し、システムとして組み直すのです。StrateCutionsで行うマネジメント支援の理論的背景や方法論を、お知り頂ければと考えています。


Webサイト:StrateCutions

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