井上達也の誰も言わないIT・DX裏の話

第2回

なぜ複数の銀行データをスマホで簡単に見ることができないのか

株式会社フリーウェイジャパン  井上 達也

 

まず下記のリンクを見ていただきたい。

https://xtech.nikkei.com/it/free/ITPro/OPINION/20011220/1/


これを読まれて「アカウント・アグリゲーションって今、日本のIT会社が取り組んでいる銀行の預金データを取り込む仕組みだよね。それがどうしたの?」という人か多いと思います。


はい、そのとおりです。ただ見ていただきたいのは、右上の日付です。なんと書いてありますか?2001年12月って書いてありますよね。


海外で19年前に行われている事を日本では今、まさに取り組んでいるのが現状です。しかも未だ、各銀行のデータを見られるだけで、振り込みもできません。


だからといって、日本の技術者のレベルが低いというわけではありません。作ることができないのです。実は、10年ほど前からソフトの作り方が、欧米型から日本独自の「日本型」に変化してきていることが原因です。


欧米型

ソフト開発→ルール作り→法律作り


日本型

法律作り→ルール作り→ソフト開発


欧米型は、各社が自由にソフトを作り、混乱しそうになった時に業界団体がルールを決めます。その後、政府が違法行為を取り締まるために法律を作ります。


たとえばクラウドファンディングの法律が一番先に作られたのはイギリスですが、クラウドファンディング自体は米国のほうがずっと早く普及しました。米国はクラウドファンディングに対して、規制する必要性を感じなかったので法律が無かったのです(今はあります)


さて日本型はどうかというと、まず政府が法律を作って、それに沿ってルールを作ります。そこから各メーカーのソフト開発が始まります。


法律作りに数年、関係団体を集めてルール作りに2年、そのルールに従ってソフト開発をスタートし2年。スタートが一緒なので、みな同じようなソフト(「ような」というより同じソフト(笑))が出来上がります。


どうして、そんなことになってしまうのかは次回。

 

プロフィール

株式会社フリーウェイジャパン
代表取締役 井上 達也

株式会社フリーウェイジャパン代表取締役。クラウドシステムの会社としてユーザー数は34万社を超える。著書に「小さな会社の社長の戦い方」「起業を考えたら必ず読む本」などがある。


Webサイト:株式会社フリーウェイジャパン

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