第6回
インボイスは消費税ではない
株式会社フリーウェイジャパン 井上 達也
◯インボイスは消費税ではない
【本当の問題点】
もうすぐインボイスが始まります。当社の会計システムももちろんインボイスに対応しました。ユーザーが49万と国内最大(級かな)なのでバグがあったら大変です。紆余曲折があったインボイスですが、システムを開発していて気づいたことがあります。それはインボイスは消費税ではないということです。
今でも免税事業者を救え、報酬が減ってしまうインボイス反対といった運動をしている人たちがいます。政府としては、ここに目を向けさせて本当の問題から目をそらさせようとしている気がします。
【消費税とはなにか】
そもそも消費税のスタート時は「売ったら3%税金払ってね」というシンプルなものです。消費税法に、消費者からお金を預かれとか金額を上乗せしろなんていう記載はありません。「売ったら3%税金払ってね」それだけです。ただ消費税の連鎖を防ぐ仕組みとして仕入れ控除というものを作りました。
たとえば仕入税額控除無しで、一切利益をのせない取引が5回続くと
生産者が税込み100円で売る
それを組合が税込み100円で売る
それを市場が税込み100円で売る
それを問屋が税込み100円で売る
それを小売店が税込み100円で売る
となり、各人が支払う消費税を合計すると50円弱になります。
これでは消費税が50%になってしまいます。
だから仕入れ税額控除があるのです。
【インボイスとは新しい税金の事】
中小企業でインボイスのセミナーを行うと皆さんすぐ理解してくれるのですが、税理士や大きい会社の経理担当の方はなかなかインボイスを理解してくれません。それは彼らが税に詳しいため、インボイスを消費税で理解しようとするからです。
今 インボイスがなくてもよいのは電車とバスと船だけです(細かい条件はある)。ざっくり言うとインボイスとは、先方が課税業者なのか非課税なのか、そんな事はどうでも良い法律なのです。インボイスがあれば仕入税額控除できる。なければできない。それだけです。
高速道路を運営している会社だけど免税事業者※1
税抜きで販売してる自動販売機※2
って無いですよね。でもインボイスがなければ仕入税額控除はできない。
先方が、課税事業者としてきちんと消費税を支払っていてもそれは関係がないのです。インボイスがあるかないか。そういう意味でインボイスは消費税ではないのです。インボイスとは消費税を二重に課税できる新しい仕組みなのです。
※1 ETCサイトに登録し適格事業者番号つきの明細を保管してください
※2 住所を記載してください。例:新宿区新宿一丁目の自販機で購入
【補足】
・カード会社はインボイスを発行できない
・お金を立て替えてもらうとインボイスをもらえない
など、まだまだたくさんの注意点があります。税理士に確認するか書籍を読むことをおすすめします。
プロフィール
株式会社フリーウェイジャパン
代表取締役 井上 達也
株式会社フリーウェイジャパン代表取締役。クラウドシステムの会社としてユーザー数は34万社を超える。著書に「小さな会社の社長の戦い方」「起業を考えたら必ず読む本」などがある。
Webサイト:株式会社フリーウェイジャパン