第12回
これからのアセスメントプログラムに必要な視点-1
有限会社 人事・労務 金野 美香
中小企業の社長さんや人事の方々と管理職登用アセスメントプログラムを組み立てる際に必ず直面するのが「どのような評価項目にするか」という点です。本来であれば、自社の人事制度の等級基準や人材要件と連動させて管理職登用のための評価項目をまとめていくものですが、そのような人事制度の枠組みを持っていないケースもあります。その場合は、幹部陣で「自社の未来に向けて求められるリーダー像」を話し合いながら、評価項目に落とし込んでいくと良いのですが、参考としてこれからの時代のリーダー人材に必要な視点をご紹介していきたいと思います。
まず一つは、「イノベーション思考」です。これは正確には“イノベーションを起こすための思考法”のことで、「水平思考」という言い方をする場合もあります。“変化”とは「違うものにすること」。対してイノベーション(変革)とは、「新しいものを世に出していくこと」です。そのために物事や問題に対する新しい見方を探していこう、というのがイノベーション思考です。
例えば、20世紀初頭、小売店の全てが対面販売の形態だった時代に、「お客様が欲しい商品を自分で選んで最後にお金を払う仕組みにする」という新しいアイディアで世界初のスーパーマーケットをオープンした人物がいました。彼は、新しい商売を始めただけではなく、既存の販売システムに新しい見方をもたらし形にしたのです。これがまさにイノベーション思考と言えます。
これからの時代に求められるのは、単なるクリエイティブさや変化ではなく、新しい見方で物事を実行できるイノベーション思考をもった人材です。その点を、例えば面接での発言内容やインバスケットテストでの記述内容から、見極めることができるのではないかと思います。時代を生き抜くためには組織全体が変革していかねばならない。そのためには組織を率いるリーダー自身がまずはイノベーション思考で物事を捉え形にしていく、ということが重要なのです。
プロフィール
(有)人事・労務 ヘッドESコンサルタント
厚生労働省認定CDA(キャリア・デベロップメント・アドバイザー)
日本ES開発協会(JES) 専務理事
グリーン経営者フォーラム 会員
日本初のES(従業員満足)コンサルタントとして、「会社と社員の懸け橋」という信念のもと、クレドを柱としたES向上プログラム“クレボリューション”の実績を重ねる。また、インバスケット等を活用したリーダーコーチングも実施。最近は「はたらく元気は、地域の元気・日本の元気!」をテーマに、ESにSS(社会的満足)の要素を加えた“ESR”の視点からの組織づくり手法を企業で実践し、高い評価を得る。宮城県仙台市出身。
http://www.jinji-roumu.com/inbp.html
Webサイト:有限会社 人事・労務
- 第13回 これからのアセスメントプログラムに必要な視点-2
- 第12回 これからのアセスメントプログラムに必要な視点-1
- 第11回 自社独自のアセスメントプログラムの運用法
- 第10回 自社独自の人材アセスメントプログラムを創り上げるために
- 第8回 面接を通して見極めること
- 第7回 課題抽出力を高めるために
- 第6回 「何が課題なのか」を正しく見極められるか
- 第5回 優先順位と劣後順位
- 第4回 インバスケットテストはリーダーの教育ツール
- 第3回 問題解決力・意思決定力を見極めるインバスケットテスト
- 第2回 人材アセスメント導入の意義
- 第1回 今、多くの中小企業で求められている「リーダー人材の見極め」