第8回
面接を通して見極めること
有限会社 人事・労務 金野 美香
人材アセスメントの“科目”には、これまでお伝えしてきたように「インバスケットテスト」による問題解決力・意思決定力の見極め、「ケーススタディ」による課題抽出力の見極めに加えて、「面接」「グループ討議」もあります。今回は「面接」についてお伝えしていきたいと思います。
面接と聞くと、面接官の前で自分の考えを述べる場面を想像するかもしれませんが、実は面接には大きくは二種類あります。一つは、面接官との面接内容を評価するもの。そしてもう一つは、面接のロールプレイングを評価するものです。
前述の形式の場合は、予め面接での質問項目を用意しておき、それを投げかけながら、受験者の適性を見極めます。例えば「過去の自己の業務を棚卸しした中で一番成果に結びついたと考えられるものについて」という質問。どのような業務をテーマに取り上げるのか、どの程度のことを成果と捉えているのか、等を掘り下げながら、受験者が成果を上げる上でどのような行動特性を発揮するのかを見極めていきます。この時、中には「何が自分の成果と言えるのかが分からない」という人が出てきます。自分の業務が補佐的だから直接成果には結びついたとは言えない、あるいは自分に自信がないので成果とは言い切れない、といった意見です。これでは、そもそも管理職としての役割は任せられません。表には見えないプロセスの大切さや仕事の誇りを見失っている人が部下たちの成長を促すのは難しいのです。
対して「面接ロールプレイング」では、問題行動のある部下を動機付けする上司役を演じたり、互いに思惑のある立場同士で一つの案件の落としどころを探ったり、という形式です。この場合、「演じる」場面を通して受験者の行動特性を見極めていきますので、なるべく負荷のかかるシナリオを設定する必要があります。
いずれの面接においても、重要なのは「自社の管理職としての人材像」を具体的に描いておくことです。“チャレンジ精神”や“スピード”といった望ましい行動特性を明確にしておくことで、面接の場を通して表現される本人の特性を正しく評価することができるのです。
プロフィール
(有)人事・労務 ヘッドESコンサルタント
厚生労働省認定CDA(キャリア・デベロップメント・アドバイザー)
日本ES開発協会(JES) 専務理事
グリーン経営者フォーラム 会員
日本初のES(従業員満足)コンサルタントとして、「会社と社員の懸け橋」という信念のもと、クレドを柱としたES向上プログラム“クレボリューション”の実績を重ねる。また、インバスケット等を活用したリーダーコーチングも実施。最近は「はたらく元気は、地域の元気・日本の元気!」をテーマに、ESにSS(社会的満足)の要素を加えた“ESR”の視点からの組織づくり手法を企業で実践し、高い評価を得る。宮城県仙台市出身。
http://www.jinji-roumu.com/inbp.html
Webサイト:有限会社 人事・労務
- 第13回 これからのアセスメントプログラムに必要な視点-2
- 第12回 これからのアセスメントプログラムに必要な視点-1
- 第11回 自社独自のアセスメントプログラムの運用法
- 第10回 自社独自の人材アセスメントプログラムを創り上げるために
- 第8回 面接を通して見極めること
- 第7回 課題抽出力を高めるために
- 第6回 「何が課題なのか」を正しく見極められるか
- 第5回 優先順位と劣後順位
- 第4回 インバスケットテストはリーダーの教育ツール
- 第3回 問題解決力・意思決定力を見極めるインバスケットテスト
- 第2回 人材アセスメント導入の意義
- 第1回 今、多くの中小企業で求められている「リーダー人材の見極め」