第7回
課題抽出力を高めるために
有限会社 人事・労務 金野 美香
「何が課題なのか」を考える時に、「システム思考」という思考法を活用することができます。
「木を見て森を見ず」という言葉のように、情報や関係性が複雑化する現代において、何か一つの事象(問題)ばかりに気をとられていると、偏った認識で全体を把握できないまま、解決のための取り組みが進み、間違った結果を導き出してしまったり、いつまでも結果にたどり着かないまま取り組む側が疲弊していく、などということもしばしばです。
真の課題解決を進めるためには、「俯瞰的な視点」が不可欠。そのために覚えておきたい“物事の捉え方”が「システム思考」です。
代表的な現象として、表に見えている問題ばかりに策を講じることで一時的に問題解決はするが、潜在的な課題に気づかぬまましばらくすると問題が再発・悪化し、課題が拡大していく、という「応急処置の失敗」というパターンがあります。また、個々の問題ばかりに意識が向き、対症療法に注力してしまうことで、根本的な課題解決に取り組む意欲が低下し症状も悪化していく、というのが「問題転嫁」のパターン。そして、当初からのやり方にこだわり同じ努力を続けることで、まわりの変化に対応できずいつの間にか成果が限界に達してしまう「成功の限界」というパターンもあります。身の回りに起きている事象は、これら代表的な3つのパターンいずれかにあてはめられることが多いので、そのパターンに応じて、原因究明や現状把握を進めていくと、真の課題を導き出すことができます。
大切なのは、「目に見える問題は、組織に生じている課題の氷山の一角でしかない」ということを認識すること。私たちはとかく、「”見たこと”を感じ、考える」のではなく、
「”感じたこと”を見て、考える」というように主観で捉えていることもあります。複雑系の世の中を正しく進み、成長し続ける組織を創るために、この「システム思考」という捉え方を身に付けると、俯瞰的な視点を育むことができるのではないでしょうか。
プロフィール
(有)人事・労務 ヘッドESコンサルタント
厚生労働省認定CDA(キャリア・デベロップメント・アドバイザー)
日本ES開発協会(JES) 専務理事
グリーン経営者フォーラム 会員
日本初のES(従業員満足)コンサルタントとして、「会社と社員の懸け橋」という信念のもと、クレドを柱としたES向上プログラム“クレボリューション”の実績を重ねる。また、インバスケット等を活用したリーダーコーチングも実施。最近は「はたらく元気は、地域の元気・日本の元気!」をテーマに、ESにSS(社会的満足)の要素を加えた“ESR”の視点からの組織づくり手法を企業で実践し、高い評価を得る。宮城県仙台市出身。
http://www.jinji-roumu.com/inbp.html
Webサイト:有限会社 人事・労務
- 第13回 これからのアセスメントプログラムに必要な視点-2
- 第12回 これからのアセスメントプログラムに必要な視点-1
- 第11回 自社独自のアセスメントプログラムの運用法
- 第10回 自社独自の人材アセスメントプログラムを創り上げるために
- 第8回 面接を通して見極めること
- 第7回 課題抽出力を高めるために
- 第6回 「何が課題なのか」を正しく見極められるか
- 第5回 優先順位と劣後順位
- 第4回 インバスケットテストはリーダーの教育ツール
- 第3回 問題解決力・意思決定力を見極めるインバスケットテスト
- 第2回 人材アセスメント導入の意義
- 第1回 今、多くの中小企業で求められている「リーダー人材の見極め」