中小企業にSNS採用が「今」必要な理由

第6回

3000人の学生が殺到した! TikTok ✕ LINE採用法とは?

一般社団法人 大人のインフルエンサー協会  秋山 剛

 

このコラムは、SNSを活用した採用に成功されている企業が、どのように実践してきたのか、ポイントや注意点などを、中小企業のSNS採用支援の専門家 秋山剛がインタビューしていきます。今回のゲストは、株式会社アローリンク 人材開発部責任者 芳崎 弘昂さんです。


自己紹介

株式会社アローリンク 人材開発部(採用・就活生教育機関運営など大学生向けサービス)責任者。SNS上でのインフルエンサー活動「ざっきーとゆってぃー」TikTok65万人。SNS総フォロワー数約80万人。

SNSに力を入れていくきっかけ

コロナがきっかけと思われがちですがそうではなく、実は2019年までは合同説明会などで採用活動を行なっていた会社でした。

中小企業など、なかなかブースに集まらない中「独自の運営ノウハウ」で大手企業と大差なくブースに学生を集めることができていました。しかし、合同説明会に参加している学生自体の数が年々減少傾向にあり、何か別の方法を試してみようと思ったのがきっかけです。

なぜ減少傾向にあるのか、採用チャネルがどう移行していっているのかを考えた際に、これから採用に「SNS」は必須だと感じ、コロナ前の2019年10月からスタートしました。

当時、今と比べると採用にSNSを活用している企業は少なかったですが、InstagramもTikTokもSNS発信初心者が手探りの中で開始しました。

手探りで初めていくなかで苦労したこと

まず苦労したのは、SNSを定期的に投稿することがすごくしんどかったです。

インスタグラムを「3日に1回投稿しよう」とスタートしましたが、投稿への反応が少なかったり、すぐに結果につながるものではないため「これは誰かに届いているのか」「意味があるのか」「続けていく中でポジティブな成果がでるのか」などが見えない中で「なにか繋がるだろう」と信じて投稿を続けていくのは苦労しました。

定期的に継続できたポイントは、8人9人をチーム全員巻き込んで、もし結果がでなくて途中でやめるのは、すごくロスになると思ったので、まず4人ではじめました。ただ、その中でもSNSを仕事で使うことに抵抗がある人もいたので「無理して続けなくてもいい」と伝え、2人離脱者も出たりはしましたが、私がやり始めようと周りを巻き込んで始めた手前「結果が出るまでやるしかない!」という気持ちで意固地になって頑張っていた部分はありました。

SNSはどのくらいでバズったのか

TikTokはスタートして1週間でバズりました。

元々発信していた、InstagramとX(旧Twitter)は、学生の認知を獲得していくことには繋がらないが、選考中の学生の方たちが会社の雰囲気や人柄を理解する応募する動機づけにつながっていたので目的を果たせていました。

しかし、一人でも多くの学生さんに出会えたらと思っていることろ「TikTokのユーザー数がすごい勢いで伸びている」ということを知り採用領域では一番煎じでスタートしました。

TikTokで採用を目的で発信をしているアカウントが無いなか、TikTokをスタートして1週間でバズり、TikTokを見て興味を持ってくれた学生さんがInstagramに飛んで、会社の公式LINE登録が1日に150件以上あり、そこからお問い合わせが来ました。

私自身、街中でも声をかけてくださる方も増え「すごい世界に足を踏み入れたな」と感じました。

学生に届くために工夫していたポイント

学生さんたちに強く興味付けしていくというポイントでは、弊社の採用ノウハウがベースにあったかと思います。

合同説明会の際に、大手企業は、企業名・仕事内容・福利厚生を打ち出すだけで集まってくるが、中小企業が同じことをやっても大手に勝てない。どんな戦い方をするかを考え、「学生さんが就活を楽しみながら学べるコンテンツ」を用意しよう。ということで「脱出ゲーム」をしていたら、結果「グループ・ディスカッション」が学べた。脱出ゲームにちなんで迷彩柄の壁のブースに、迷彩柄のポロシャツをきた会社メンバーが脱出ゲームのチラシを配る。学生さんたちは、なぜ就活で脱出ゲームなのか?というような疑問点が浮かぶ。その「なぜ?」の疑問点から目に止まって興味をもってもらうことが、採用においては重要ポイントだと思っていました。

TikTokでも疑問点が上がるように例えば「職場で後輩が先輩にタメ口を使う」など、学生の想像している「上が言ったことを我慢してやっている」社会と逆のことを意識して動画を投稿しました。合同説明会でもTikTokにおいても、より学生さんに寄り添った、ニーズに応えながら楽しめる内容を大事にしてきました。

採用につながっていくLINEの構築とは?

2016年に国内で初めて弊社が採用活動でLINEを活用しました。きっかけは、学生さんたちに就活での悩み事を聞くと「就活で企業との連絡のやりとりがメールなので、普段使わないメールをはじめて使ったけど、1日200~300通メールがきて大事な企業からの連絡がないか確認していたら1日が経ちました。」というようなストレスを感じていることを聞きました。

就職活動中の学生にメールを送っても気づかれない可能性があるということだけでなく「企業とのやり取りをLINEでできたら楽ですか?」と学生さんに質問したら「LINE連絡だと、すごくありがたいです」と聞いて、学生さんにとってメールよりもLINEが身近にあって企業との連絡のやり取りも使いやすい。ということから、LINE採用管理ツールを開発会社と共同開発で作り、自社採用で活用し始めました。

就活中の学生が企業に興味をもったとしても「どう動いたらいいのかわからない。」と足が止まらないように、次はどのような動きをすれば進むことができるのかとイメージできるように導線設計をすごくこだわりました。SNSがバズっても問い合わせが来ないのであれば、完全に導線に問題があるかと思います。

実際に弊社のエントリーだと年間2500~3000件。LINE追加だと6000〜7000件ありました。

LINEを利用した上での効果

LINEを活用するようになって、連絡の開封率が上がりました。メールだと15~20%でしたが、LINEでは85%に上がったため説明会の参加率も上がりました。元々メールの文章にもこだわっていましたが、そもそも見られていないということをこの数字を見て痛感しました。

LINEを活用することで、業務の効率化のメリットもありますが、一番はコミュニケーションツールとしてのほうが最大なので説明会後のメッセージや、シナリオ設定などを行うことができるのもLINEの強みだと思います。選考から次の選考へ進んだ人の割合(選考移行率)も30%から70%にあがりました。

効率化を求めて工数削減だけを重視するのではなく、LINEでの学生の動機づけや意向上げをすることが一番の強みかと思います。直接、接点を持っていない期間にLINE上で様々な情報を発信することで会えない時間の魅力づけが大事だと思っています。

これからSNS採用を検討、躊躇している中小企業にメッセージ

まず絶対にやった方がいいです。

集客を目的でSNSをされる企業も多いと思うのですが、それだけではなく私はSNSを通して学生さんに「会社の雰囲気」を知ってもらえたり、会社に興味を持っている学生に対して意向高める、動機づけのツールだと思っています。

学生さんは、何かしらのSNSアカウントを持っていて企業情報を調べる時代なので「日本中のどの企業もSNSをした方がいい」と思っています。集客目的だけでなく、会社の魅力を伝える一つのツールとして育てていってほしいと思います。


これからの展開


弊社は採用のコンサルティング事業、LINEの採用管理から採用の総合的な支援まで行っています。これまでは採用でお困りの企業様に採用ノウハウの提供や採用ソリューションの提供をして企業様のご支援を行っていました。

現在は、立ち上げた人材紹介の事業で「学生さんのご紹介」をしてご支援させてもらっています。これから企業様にノウハウやソリューションの提供だけでなく、ご支援を通して価値を見出せるような事業を作っていきたいと思っています。

弊社は元々企業規模が小さい中で、採用を成功させることができたということが最大の強みだと思っています。採用が難しいような企業様のご支援をしていくなかで、採用から企業が変わっていくようなサポートをできる自分であれたら凄く嬉しいと思っています。


株式会社アローリンク 
ざっきーとゆってぃー TikTokアカウント

https://www.tiktok.com/@zakkyyutty

 

プロフィール

一般社団法人 大人のインフルエンサー協会
代表理事 秋山 剛

1976年大阪生まれ。18歳で父親になり、仕事をしながらプロボクサーも経験。

電気工事会社、ボクシングジム、結婚相談所の異なる事業で様々な集客・採用方法を試行錯誤し、各事業で億単位の売上をあげる。

コロナ禍で業績が最悪の状況に転ずるなか、オンライン事業、TikTokを開始。売上ゼロの状態から半年で年商1億円の事業を構築、すべてSNSで集客。企業経営者、起業家6000名以上に SNS集客、ブランディング、SNS採用を支援。SNS運用の書籍4冊出版。現在は、厚生労働省管轄 認定訓練校として中小企業のSNS採用担当者育成のための「SNS採用プランナー」認定研修を実施。若者が自分らしく活躍できる社会づくりに取り組んでいる。

【著書】


企業のSNS運用

Webサイト:一般社団法人 大人のインフルエンサー協会

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