第14回
電気屋日本トップクラスの「X採用」
一般社団法人 大人のインフルエンサー協会 秋山 剛
このコラムは、SNSを活用した採用に成功されている企業が、どのように実践してきたのか、ポイントや注意点などを、中小企業のSNS採用支援の専門家 秋山剛がインタビューしていきます。
今回のゲストは、株式会社くれよん 稲田社長さんです。
自己紹介
大阪の富田林という場所で生まれ育って、平成元年生まれの35才です。
高校野球で甲子園を目指し、日々野球に明け暮れる学生時代で、野球ばかりしている人間でした。
仕事内容は電気工事、職人の会社を経営しています。
ビジネスを始めたのが、22歳の秋、サラリーマンを1年半やって、IT関係やパソコンをするのが好きだったのでSEやプログラマーを目指していました。
IT系のドラマ「リッチマン・プアウーマン」という石原さとみさんが出演しているドラマを見て、自分もそうなりたいと思い、色々と真似をして起業しました。
2年ほど結構上手くいって順調に、そこそこ儲かりました。
これならいけるなって思っていたら3年目くらいにだんだんと売上が落ちてきて、月6万5千円の売上になってしまい、これはまずいと思い、何かないかなと考えていたところ、電気屋さんから防犯カメラの設置のオファーがあり手伝ったことが電気工事の始まりでした。
そこから、27歳の時に法人にしました。
メインはゼネコン系の建設現場の電気工事、LEDの工事、オフィス内装、最近では計装関係、空調関係がメインになってきました。今、9年目ですから来年は10周年を迎えます。
社員数は18名で平均年齢は30歳位です。
活用しているSNSは?
インスタもやってはいるのですがメインはXです。
Xは、5000フォロワーを突破しました。
SNSを始めたきっかけは?
3年ほど前、企業ブランディングを自分の中で注目しました。
企業ブランディングのためには、SNSをしなければと思ってはいましたが、ブログは3日で終わり、インスタは写真がないというので続かず「やらないと」という意識だけは持っていました。
Xは正直あまりいい良い印象はなかったです。
愚痴ばかり言っているような場所になっている感じがしました。
ただ、ブランディングの支援をお願いしていた会社から、「Xをやりましょう」という話があり、はじめました。
Xをはじめてみて思ったのですが、自分の頭の思考にあるものを言語化する練習にすごく良いと思います。経営者がXをやっているのは、そういうことかなと思います。
自分の頭の中の整理とか、言語化するきっかけとか、悩みもそうですし、全部いろんなものをフルオープンにして喋っていくと段々とファンの方、共感してくれる方が増えてきました。
また、SNSの中でコミュニティーを作っていこうと思い、色んな人達と会いました。
フォロワーが多い方、少しの方、僕の投稿をずっと見てくれている方、そういう繋がりの中で、Xをずっと続ける習慣が出来て、今で、3年半くらいになりました。
SNS採用という面について
Xから採用もしました。
先日、東京からも1名雇用しました。
他にこんなこともありました。
採用についてDMが来て「採用基準ってどんな感じですか」とか聞かれたので説明して面談しましょうかとなったのですが「また連絡します」と言って一度切れてしまったのですが、その後、「もう一度面談お願いします」ということになりました。
社風などを気に入ってくれて、東京に住んでいるのですが年明けくらいには採用の方向になると思っています。
SNSを通じて繋がって、その人が今現在働いている訳ですし、僕の会社を気に入ってくれるというのは、僕も自信になります。
最近入った子で言えば、求人ボックスの無料問い合わせで雇うきっかけになったのです。施工管理をしていたのですが、「施工管理は収入がよくても、残業だとかブラックな部分が多いので、職人を目指したい」という問い合わせがあり、収入は1/4くらい下がるのですが、うちの会社に来てくれることになって頑張ってくれています。
採用を決めるひとつの軸
採用するひとつの軸を決めています。
「採用する人のことを好きになれるか」
一緒に働く、生きていく、生活を担っていく側としての責任があるので、そういう人を頑張って成果を上げてきたら認めてあげたいけれど、人として好きになれるかということを大事にしたいと思っています。結構暑苦しいタイプの人間なので。
技術がすごくある訳ではなくても一生懸命頑張ってくれていたり、会社のことを思ってやってくれる子には、給料も上げたくなるし、ずっと一緒にいたいなと思ってくれると一番嬉しいです。
お金というのはもちろん大事なので、この会社に入って良かったと思われるようにしたいし、思わせたいというところがあります。
お金の部分は自分が頑張るから「あなたは現場で頑張って電気工事してね」ということです。こういう雇用関係が素敵だなと感じて欲しいです。
企業ブランディングや組織づくりについて
企業ブランディングに取り掛かるきっかけになったのが3年半くらい前ですが、会社にはしていたけど自分が社員をどこまで知っているのか、どういう思いで働いてくれるのか、その辺が全然理解できていませんでした。
これでは、まずいなという危機感に襲われ、そのタイミングで「社長が何を考えているのかわからない」と言われてきました。
考えていることを伝えなければいけない、ということで価値観を共有してもらおうと考えました。
人間が絡むと価値観が出てきます。価値観が合う人間が友達になったり、結婚したりするので、そこをちゃんと合わせないとだめだなと思いました。
取り組みとして、ビジョンマップ、ミッションビジョンバリューというものやパーパス、会社の指標をひとつ作ったのです。これに約10か月かかりました。
価値観の共有という面で、例えば会社にとって社員とは何か、お客さんとは何か、仕事は何か、言葉の定義づけをして定量化することを整えました。
ビジョンマップというのが、会社づくりのひとつ、企業ブランディングの1発目になりました。仕事の部分では、実際の行動で起こした時の評価というところで評価制度を作りました。
目標をしっかり持っても、ブレない様にしっかりとまとめたいので、行動指針や、色々な部分の評価に紐づけてあげたい。これらを3回リニューアルしながら作成するのに1年半かかりました。
評価を作るにあたって課題に感じたのは、教育という部分です。
人を成長させて伸ばしていく、ここが人それぞれなので伸びる人は勝手に伸びる、伸びない人は全然わかっていないとか、個人差が激しい。
評価制度をひとつの軸にしながら、あなたはこういうところを次の行動にしなさい。という目標を決めてあげる面談を増やしながらやってきました。
組織づくりという部分で始めたのが、「職長会」です。
現場で頭を張るような人間に僕の思っていることをまず理解してくれと、選抜者4人を抜粋しました。
月イチでは少ないので、週イチにして長い時は3時間くらいミーティングをします。もう少し短くしたいが課題が多いので。始めてからもう1年くらいになります。
これを作ったのがきっかけで、社内で俺たちがやらなければ!という責任感が芽生えて来ました。現在は5人になっています。
すごく責任感が出て来て、どこの現場にどういう人を割り当てるとか、社内の問題、現場の予定調整、会社の課題などを密にやり取りすることで、僕が何を考えているかをわかってもらえます。それによって、行動目標や自分がやるべきことが見えてくるようで、各々がそれに向かって動くようになってくれました。
「職長会に入るというのは、社内的に上司になる一歩」というゾーンに割り当てられるので、そういう制度の風習が出来てきたことがいいなと思っています。
年収1000万を超える職人を作っていく
それなりに稼げるということ、お金の余裕は精神的安定にも繋がります。
年収で言えば700万位のラインから。700万以上稼ぐ人の働き方って違うなと思います。
プレーヤーとして稼げる限界というのがその辺かなと思います。自分が成果を出すというよりも人に成果を出させることによって自分の年収が上がる。そこを僕は大事にしたいと思っています。
部下になる人間と常にリスペクトされる関係性を作れる人間が活躍できる率が多分自分の年収にも跳ね返ってくると思っています。そこが700万ゾーンから変わるとこかなと思っています。
今後の展開
「電気工事業界を色めく仕事に」です。
色めく、これはうちの会社の共通言語です。
簡単に言うと、
「自分のやっている仕事(電気工事)に誇りをもって、感謝されるような仕事をして、周りから憧れられる」誇りを持つ、感謝される、憧れられる これを定義して「色めく」
自分が毎日やっている仕事に誇りをもって、お客様から感謝されていたら、憧れられることにも繋がっていくという風になると思うので、まずこの電気工事士という仕事の認知度を上げたいですし、この仕事をやりたいなと思う人を増やすというのが目標です。
実際に面白い仕事だと思うし、今後の需要も高い、いわゆるエッセンシャルワーカーと言われるような必要不可欠な仕事。
皆さんが身近に感じるのが電気。
スイッチを押せば電気がつく、コンセントにさしたら携帯を充電できるという当たり前になっているものだけど、この「当たり前を作っている」ということに、僕はロマンを感じます。だから、こういう仕事に誇りをもって、もっと共感を得て、こういう仕事をしたいなと思う人が一人でも多く増えてもらえることが、今後の展望としての目標かなと思っています。
稲田社長 X
https://x.com/InadaHiroki_904
株式会社くれよん ホームページ
https://crayon-s.net/
プロフィール
一般社団法人 大人のインフルエンサー協会
代表理事 秋山 剛
1976年大阪生まれ。18歳で父親になり、仕事をしながらプロボクサーも経験。
電気工事会社、ボクシングジム、結婚相談所の異なる事業で様々な集客・採用方法を試行錯誤し、各事業で億単位の売上をあげる。
コロナ禍で業績が最悪の状況に転ずるなか、オンライン事業、TikTokを開始。売上ゼロの状態から半年で年商1億円の事業を構築、すべてSNSで集客。企業経営者、起業家6000名以上に SNS集客、ブランディング、SNS採用を支援。SNS運用の書籍4冊出版。現在は、厚生労働省管轄 認定訓練校として中小企業のSNS採用担当者育成のための「SNS採用プランナー」認定研修を実施。若者が自分らしく活躍できる社会づくりに取り組んでいる。
【著書】
Webサイト:一般社団法人 大人のインフルエンサー協会
- 第14回 電気屋日本トップクラスの「X採用」
- 第13回 若者採用ができるSNS採用の運用手順
- 第12回 年間500名以上の圧倒的な応募数を集める採用手法!
- 第11回 電気工事士YouTuberにインタビュー
- 第10回 「自分らしく生きる人」を増やしたい!
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