第2回
「離職率1%以下」になったSNS採用戦略!
一般社団法人 大人のインフルエンサー協会 秋山 剛
このコラムは、SNSを活用した採用に成功されている企業が、どのように実践してきたのか、ポイントや注意点などを、中小企業のSNS採用支援の専門家 秋山剛がインタビューしていきます。
今回のゲストは、株式会社aubeBiz 代表取締役 酒井晶子さんです。
SNSで女性のリモートワーカーを採用
リモートワークが普及していなかった2011年から全員がリモートワークで働く組織を構築。
人材不足で手が足りていない企業や経営者様が、リモートワークで働きたいという人材の手を借りてビジネスを飛躍させるためのバックオフィス業務全般、制作デザイン業務、SNS運用代行の事業。全国・海外約100名の全員がリモートワーカーの組織を運営。
リモートワークの事業をどのように拡大したか
リモートワークが認知されていない状況から、はじめは「ツール」も「マニュアル」も「仕組み」も全て社内でやってみて形にしていき、何が最適か研究をし尽くして、結果が出たものをクライアント様ご支援で再現。1社ずつご支援、仕組み化・体系化していくことで少しずつ事業を拡大させてきました。その一連の結果として、現在は13年超分のノウハウが蓄積されました。
リモートワークを始めたきっかけ
元々は大手繊維メーカーから外資系や広告代理店に転職して働く、いわゆるバリキャリで仕事的にもハードワーカーでしたが、結婚・出産を機に、当時、持病のあった娘のそばで看病できるリモートワークでビジネスをしようと決めたのがきっかけです。
メンバー内で掲げている共通の認識
メンバー全員がオンラインで仕事をしているため、普段リアルで会うことはほとんどありませんが、すごく仲良しでアットホームな会社です。
その理由はいくつかありますが、何より採用の段階で「理念」「ミッション・ビジョン」「想い」《自分らしいビジネスと働き方を応援する。30年後100年後の子どもたちの笑顔をつくる》に共感してくれて一緒に働きたいという人だけにきてもらうようにしていることが大きいと思います。
想いを共感し合えるメンバーを集められる採用の仕組みに至るまで
長い年月をかけて作り上げていったもので、応募書類も普通の履歴書と違い、その内容を見るだけでその方のタイプや思考の傾向が分かるものになっています。
書類選考の段階で、約8割はお互いに一緒に働いていけるかどうかを見極められるようになっているのが特徴です。
いちばん大切にしているところは志望動機で、条件面だけでなく、自社の「理念」「ミッション・ビジョン」に共感してくれている人に来ていただくようにしており、その結果、一度入社したら長く一緒に働くことができている環境が実現していると感じています。
一番初めに見つけてもらう発信や媒体
オンラインで働くリモートワーカーを募集しているため、以前はweb上の求人メディア媒体に掲載していました。
以前は一般の会社で出来るような普通の仕事を在宅ワークでできる求人はなかなか無かったため、求人を出せば多くの応募がありました。しかし、コロナ禍以降、「リモートワーク可」の求人が一気に増え、特に大手企業の条件や待遇面には及ばず、求人媒体では理念まで読み進んでもらえなくなったと感じました。それを機にSNSで発信することを決意。
私自身はSNS発信が苦手なので、SNSが得意なメンバーにSNS運用について学んでもらいチームを作って発信を始めました。SNSの方が理念や思いが届きやすく、現在はSNS採用だけに絞っているのですが、採用率は伸び、離職率はさらに下がっています。
使用しているSNS
フェイスブック・インスタグラム・リンクトイン・X・TikTok・公式LINEなど。SNS運用チームが中心となって運用してくれています。
採用のためのSNS運用をしていく中での共通認識・チーム体制づくり
自社の「理念」「ミッション・ビジョン」に共感し、会社や仲間が好きで働いてくれているメンバーがSNSを運用してくれているので、届けたい人に想いが届く発信になっていると感じています。
発信の内容などは運用チームに完全に任せていますが、「代表の想いを知ってほしい」「会社の仲間や雰囲気や取り組みを知ってほしい」という気持ちのこもった発信をしてくれています。
多くの企業がSNS発信を何から始めたらいいかわからない中、想いを伝える発信をするために何から始めていくべきか
私のようにSNSが苦手な方も多く、躊躇している方も多いのではないかと思いますが、やはりSNSの威力はすごいことを日々実感していますので、ぜひ、まずはやってみていただきたいと思います。自分自身で発信する以外に、弊社のように適任者を見つけて運用していくこともできます。
《SNSが好きで、会社が好きで、応援マインドがある人》を担当者として適任するところから始めることも第一歩かもしれません。
SNS発信を始めてから採用の成果や変化
すごく大きな成果・変化を感じており、できれば求人媒体には戻りたくないと感じるくらいです。求人媒体からだと社風や価値観が合うかどうか分からないまま、報酬や待遇など条件面を基準に応募されてくるのでミスマッチが起こりやすいと感じています。
SNSからの応募は、会社や社風、私自身や、働いてくれているメンバーのファンになってくれているので、「ここで働けてうれしいです!」と、一緒に働くこと自体に喜びを感じてくれている人が多いのです。そのような人を採用することで、ますます会社の雰囲気が良くなっています。
SNS発信の内容が「応募者の判断基準」になっているため、ミスマッチが起きにくいという点で、SNSは最強の採用ツールだと思います。
SNS発信を躊躇している中小企業に向けて
発信を継続することで徐々に効果が実感できるので、まず担当者を一人決めてアカウント開設し、「発信力のあるアカウントを育てる」ことをスタートされてみてはいかがでしょうか。
最初から担当者に任せきりではなく、SNS運用のノウハウを学んでもらい準備をしてもらうなど、会社としてもサポートしてよい結果を出すための知識や武器を与えてあげる。そうして走り出したあとは「任せると決めたら任せる」というスタンスがうまくいく秘訣ではないかと感じています。
代表がいちいち発信に口を出すと、代表の頭で考えられる範囲内の狭い判断や内容になってしまうので、SNSが好きな担当者を信用して運用を任せることで自由に発信することができると考えています。
SNS発信で苦労したこと
SNS発信後、すぐに結果は出ないのでアカウントを育てていく期間が必要です。結果が出るまでの時間はコストだけがかかっていると感じられるかもしれませんが、長い目で見た時の広告費、人件費などの採用コストから比較して考えると、微々たるものです。
その時間は投資の部分だと考えて、欲しい人材に届くアカウントに育てるという覚悟を決めて、前向きに取り組むことが大切だと感じています
SNS発信でうまくいっている会社の環境づくりで大事なこと
SNSが当たり前の時代のキーワードは「透明性」だと思います。
「仲のいいとこしか出せない」とか、「これは発信したらダメ」とか不透明さがあると、発信がつまらなくなってしまいます。会社も経営者も理念がブレないことが大事で、どこへ行っても同じ想いを愚直に言い続けることが大切だと考えています。
SNSで言っていることと、実際にやっていることが違うのでは、せっかく会社に入ってくれてもミスマッチで結局は離職につながってしまう。経営者も含めたメンバーみんなが共通の「想い」を持っていて、それを楽しみながら発信することでうまくいくのではないかと思います。
これからの展開・ミッション
今、一番力を入れているのが「わたしたちの仲間を増やしていく」ことです。
これからリモートワークで働きたい方や、一人でお仕事をされているフリーランスの方へ、私達のように、仲間がいて、相談でき、学べる場やお仕事情報を提供しています。会社で一緒に働きにきてくれてもいいですし、弊社が展開する無料のリモートワーカーコミュニティを活用いただくことも可能です。
《自分らしいビジネスと働き方を応援する。30年後100年後の子どもたちの笑顔をつくる》という同じ想いの人たちと繋がり共創していくことが、これからのミッションです。
株式会社aubeBiz
《 Instagramアカウント 》 https://www.instagram.com/scotch_akiko/
プロフィール
一般社団法人 大人のインフルエンサー協会
代表理事 秋山 剛
1976年大阪生まれ。18歳で父親になり、仕事をしながらプロボクサーも経験。
電気工事会社、ボクシングジム、結婚相談所の異なる事業で様々な集客・採用方法を試行錯誤し、各事業で億単位の売上をあげる。
コロナ禍で業績が最悪の状況に転ずるなか、オンライン事業、TikTokを開始。売上ゼロの状態から半年で年商1億円の事業を構築、すべてSNSで集客。企業経営者、起業家6000名以上に SNS集客、ブランディング、SNS採用を支援。SNS運用の書籍4冊出版。現在は、厚生労働省管轄 認定訓練校として中小企業のSNS採用担当者育成のための「SNS採用プランナー」認定研修を実施。若者が自分らしく活躍できる社会づくりに取り組んでいる。
【著書】
Webサイト:一般社団法人 大人のインフルエンサー協会
- 第14回 電気屋日本トップクラスの「X採用」
- 第13回 若者採用ができるSNS採用の運用手順
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