中小企業にSNS採用が「今」必要な理由

第12回

年間500名以上の圧倒的な応募数を集める採用手法!

一般社団法人 大人のインフルエンサー協会  秋山 剛

 

このコラムは、SNSを活用した採用に成功されている企業が、どのように実践してきたのか、ポイントや注意点などを、中小企業のSNS採用支援の専門家 秋山剛がインタビューしていきます。今回のゲストは、Gライン株式会社 代表取締役 荒牧敬雄さんです。

自己紹介と会社概要

Gライン株式会社の代表取締役、荒牧敬雄と申します。51才になります。

会社は平成25年5月1日に物流業として設立し、4年後の2017年に運送事業の認可を得て運送業として事業転換、現在に至ります。

福岡営業所、大阪営業所、兵庫営業所の3拠点 西日本エリアで、約82台のトラックを所有し一般貨物事業を展開しています。法人間輸送をメインに受託しています。

また各拠点の倉庫を活用してワンストップの物流輸配送のサービスを提供しています。
他には、配送アプリシステムの開発と販売、在庫管理システムの開発も着手しています。今年6月からは オウンドメディア採用ブランディングのコンサルティングサービスをはじめました。

Gラインの特徴はドライバー平均年齢が33才。ドライバーの全員が運送未経験からスタートしているところです。トラックドライバーの平均年齢が51才になり業界の大きな課題となっていますが、私たちは10年後も安定した輸送サービスを続けていくという決意のもと、SNSを活用して若い人材、特に運送未経験者の積極採用を行ってきました。

「運送会社らしくない運送会社」をモットーに、「即戦力よりは新戦力」。「できることを一生懸命」、「運ぶことを誠心誠意」というような想いや感情、会社の雰囲気を言語化し、キャッチフレーズ化、HPやSNSで打ち出すことで社が求める価値観の近い人財を獲得することに成功しています。


SNS採用を始めたきっかけ

2017年、運送業に事業転換した時、まず新車のトラックを30台購入、設備投資が先行する状況となったため、頭数を揃えるような雑な採用になっていました。

それでも40人くらいまでは順調に売り上げも拡大したので2年目に追加で20台トラックを購入、運送業開始から2年でトラック台数が50台になりました。 

40人を超えた頃から、現場統制が乱れ始め、営業責任者を筆頭に20名のドライバーが同業他社へ移籍するという問題に直面しました。突然な事態に会社は混乱して雰囲気が低下してトラブルや事故が多発するなど、絵にかいたような失敗パターンに陥りました。そんな状況でも残ってくれた社員達が心の支えとなりました。

トラブル発生から2か月後、現場の立て直しに向けて活動をスタートしました。当時、山積する課題の最大公約数は採用にあると気づいた私は、採用サイトの新規作成、発信力を高めるためにSNSを始めました。すべては理念の共有、会社に共感してくれる未来の人財を獲得して同じ過ちを繰り返さないためでした。

2017年にYouTubeから始めて、インスタ、TikTok、そして2020年にXをスタート。

初期はリアクションもフォロワーも少なく、ただただ作業的に投稿をしていました。しばらくして世の中が感染症というこれまで経験したことがない危機に直面した頃から、採用の流れがかわりました。異業種から運送業界への転職が増加したのです。それこそ当初は企画力もない、ただ撮影した映像を投稿していた弊社のSNSや採用サイトに興味を持って応募者が増え始めました。
「ちゃんと見てくれているんだ」、嬉しさと共に手応えを感じました。あれから4年、弊社のSNSはグループ会社計でフォロワー数36,000人、採用サイトからの問い合わせも順調に増加し、2023年度は700名の応募を獲得することが出来ました。

各SNSのフォロワー数

【Gライン公式】
YouTube:10,500人
instagram:7,800人
TikTok:6,000人
X:5,800人 です。

グループ会社T-LUCK
インスタとX と合計で6,000人。


若者の採用に効果が出ている一番の理由


一番の理由は情報を惜しみなく開示して雰囲気とリアルを伝えたことです。

弊社はSNSごとに発信する内容は変える工夫はしておりますが、最終的には採用サイトにHPへ訪問してもらう仕組みにしております。
HPも採用サイトもSNSも実際に働いている社員に出演してもらい、リアルを発信しています。

楽しそうだけでなく、社員インタビュー、オリジナルユニフォームの紹介、スポンサー活動報告、そして私からのメッセージなど数多くの情報を届ける会社の姿勢が若い世代の方たちから共感して頂けた成果と感じています。

SNSと採用サイトの連携こそが弊社、採用の強みでもあります。また「即戦力よりも新戦力」というキャッチフレーズに反応してくれる若い応募者も多いです。
それから運送業界のイメージは年功序列で怖い人がたくさんいる。それは私が運送業に踏み出した25年前と変わっていません。そんなイメージを変えて少しでも多くの人にGラインとして関わりたかった。私たちの情報発信は顕在的な求職者ではなく、ステークホルダーと潜在的求職者に訴求することを心掛けています。社の知名度が向上してメディアの取材、講演の依頼が増加したことから。活動の幅が広がったことで昨年は応募総数688名を頂くことが出来ました。

人材不足と言われる現在、敬遠されがちな運送業でこの応募実績には大変満足しています。

若い人たちは自身の将来に少なからず不安を持っています。その不安を作っているのはわれわれ世代の大人達なので責任の一端を感じています。

私の役目は今の若い世代に刺激的な機会と安心して仕事に集中して成長を実感出来る環境を提供し続けていくことです。彼らが40歳を超えた頃、ちゃんと社会貢献しながら立派な大人として迷わず生きていけるように有益な経験値を提供したい。そんな想いをSNSや採用サイトに込めています。


これからSNS採用を始める企業へのメッセージ


まずは、活動の目的を明確にすること、始めたら継続すること。この2つです。

企業アカウント運用で一番大事なのは「想い」をどうやって表現するかです。

SNSが普及して「集客」 「販売」 「採用」における戦略の幅は広がり続けています。

投稿し続けるために自社の「足りない」を補い、出来る限りの情報開示をして、それを発信する。継続して共感ポイントを増やしファンを獲得していく活動こそが大切だと私は思います。


今後の展開


12期目からスタートしたオウンドメディア採用ブランディング支援事業を更に拡大させ、コンサル営業人財を育成しながら、我々がこれまで培ってきた運送会社としてのノウハウ、企業文化の構築、評価制度、就業規則、賃金規定など運送業を高いレベルで実践していくノウハウをパッケージ化して販売し、運送系フランチャイズ(案)を展開していきたいです。

加盟して頂いた企業にはGラインの社員を経営サポートとして派遣し、伴走型で支援することも考えています。本当の意味での助け合いの輸送ネットワークを構築したい。規模、場所関係なくGラインと同じ経営目線、仕組を共有して影響力を拡大して輸送の安定化を計り社会に貢献したいということが目標です。

vision「運送業界を磨き輝かせる」ちょうど磨く準備に入ったところです。




【Gライン公式SNSアカウント】

公式ホームページ: https://gline.work/
YouTube: @gline_work
Instagram: @glinefukuoka
TikTok: @gline_fukuoka
X: @glinefukuoka

 

プロフィール

一般社団法人 大人のインフルエンサー協会
代表理事 秋山 剛

1976年大阪生まれ。18歳で父親になり、仕事をしながらプロボクサーも経験。

電気工事会社、ボクシングジム、結婚相談所の異なる事業で様々な集客・採用方法を試行錯誤し、各事業で億単位の売上をあげる。

コロナ禍で業績が最悪の状況に転ずるなか、オンライン事業、TikTokを開始。売上ゼロの状態から半年で年商1億円の事業を構築、すべてSNSで集客。企業経営者、起業家6000名以上に SNS集客、ブランディング、SNS採用を支援。SNS運用の書籍4冊出版。現在は、厚生労働省管轄 認定訓練校として中小企業のSNS採用担当者育成のための「SNS採用プランナー」認定研修を実施。若者が自分らしく活躍できる社会づくりに取り組んでいる。

【著書】


企業のSNS運用

Webサイト:一般社団法人 大人のインフルエンサー協会

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