第9回
「メディア取材400件」広報のプロが語るSNSの必要性!
一般社団法人 大人のインフルエンサー協会 秋山 剛
このコラムは、SNSを活用した採用に成功されている企業が、どのように実践してきたのか、ポイントや注意点などを、中小企業のSNS採用支援の専門家 秋山剛がインタビューしていきます。今回のゲストは、株式会社ピーナッツクラブ 広報担当 三上 紅美子さんです。
自己紹介
株式会社ピーナッツクラブ 広報担当 三上 紅美子さん
今年(2024年)からはクレーンゲームやカプセルトイのメーカーの「株式会社ピーナッツ・クラブ」の広報を担当。2020年からグループ会社で、ユニークなオリジナル家電・雑貨のメーカー「ライソン株式会社」の広報に取り組み、テレビ露出や新聞などの取材実績がライソン株式会社だけでも約400件以上。
- 主な取材事例・実績
【ライソン株式会社の事例:「せんべろメーカー」】
コロナの真っ只中で発表した商品で、広報も営業も外に出ることができないことや、若い世代に「せんべろ」という言葉が通じないなどと営業で苦戦していました。
このような状況で、せんべろ好きな広報のライターたちにネット記事を書いてもらいました。すると、SNSの中の晩酌好きの方がたくさん興味を持ってくださり一気に口コミが広がりました。そこからさらにTVや新聞、雑誌の取材が広がり(1年間で約150件)、「せんべろメーカー」がヒット商品となりました。
ビジネスパーソンとして広報をやっているからには、企業の事業に貢献できていると思えることが一番嬉しい瞬間だと思っています。
- PRをしていくコツ
中小企業においても、とにかく広報を始めていくべきだと思います。
まずは、自分たちの商品をどのようなお客さんに届けたいのか、どのようなメディアに届けたいのかターゲットを具体的に考えます。
そこから、そのターゲットに向けてプレスリリースを書くとすると、どのような「言葉」「写真」「映像」を送るのか考え、発信するのが大切だと思います。
手当たり次第に広く発信したとしても、誰にも刺さらないので勿体無いです。
なるべく「今回はせめてこのメディアにこう書いて欲しい!」というように、その人の心を動かすためにプレスリリースを書くようにしています。
あとは業界やメディアをかなり研究します。弊社は毎回、違う商品が出るので市場もターゲットも違い、発表するにあたってのマスメディアも媒体も違います。
編集者やライターも違うため、届けるお客様やターゲットも変わってきますので、それぞれ「言葉」「写真」「映像」も変えています。
全てやるのは難しいのでとにかく「今回は、せめてここのメディアの人にこう書いて欲しい!」というようなゴールを作ることが重要だと思います。
- メディアに直接送っているのですか?配信サービスを使っていますか?
メディアに直接と「PRタイムズ」などの配信サービスは両方使っています。
最初の何ヶ月はメディアに直接ご挨拶をして名刺交換をしたりして「こんな商品作っています」などメールを送っていました。広報としては、広報活動がインターネットの中にアーカイブとして残る状況が大切なことであると思います。メディアの方々に広く届けるために、いろいろなものを活用するのが早く効果が出てくるかと思います。
- プレスリリースを書くコツ
とにかく「タイトル」と「1枚目に見える写真」を全力で考えています。
TikTok、インスタもサムネイルなどこだわります。
最初で心を掴めるかどうかで離脱率が大きく変わるので、つかみが重要です。
SNSだとサムネイル、Xだと短い文章の中でどれだけ面白くできるか、プレスリリースだとタイトルがとても大事です。タイトルと写真だけで、どれだけ自分にとって価値のある情報だと思ってもらえるかが重要だと思います。
- 取材をたくさん受けて、会社のモチベーションはどうですか
取材を受けることによって社内のモチベーションが上がっているといいなと思います。
営業部が営業をしている中で「取材を拝見しました!と言われることにより、営業活動がしやすくなった」と聞いたり、「取引先の家族や友人から取材見たよ!というような報告を受けました」などニコニコして伝えてくれるのをみると、取材を通して喜んでもらえているのかなと感じています。
- PRだけでなくSNSを取り掛かる理由
以前は情報の取り方というのがTVや新聞がメインだったものが、SNSも台頭してきて色々な発信方法が増えて、生活者も発信できる環境になり、メディアの環境は多様化しています。
TVや新聞へプレスリリースを出していればいい。SNSだけ発信していればいい。などは無くなりました。メディアの環境が多様化しているので、企業は従来通りの広報の手法だけではなくSNSも必要な時代になっているかと思います。何が誰にウケるか、わからない時代だからこそ、従来の広報プラスSNSは味方につけた方がいいと思います。
例えば、ライソン株式会社の「せんべろメーカー」だと、
広報の方がメディア向けに書いた記事がXに載り取材が決まることもありましたし、SNS担当のYouTubeがきっかけで取材が決まることもありました。どっちが起点になるか分からないのでメディア向けの広報とSNS発信は両方回すことが理想的だと思います。
- 中小企業が採用にSNSを活用する必要性
中小企業においても採用にSNSを活用するのは非常に重要だと思います。学生はもちろん中途の求職者もSNSで調べた上で就職活動をしている方が増えています。広告だけだと伝わらないことをSNSで伝えることができ、どんな人が働いているのか、トップの想いや、どんな夢を描いているのか、など「人間活動」しての企業活動を伝えるこができるのでSNSは非常に重要だと思います。
- 中小企業がSNSを含め世の中の認知を広げていくメリット
まずプレスリリースを活用するメリットは、自分たち発信ではなく第3者から紹介してもらうことで会社の信頼度が上がることです。
TV・新聞はパワーのあるメディアであるため、今まで接点のなかったお客様に広く知ってもらうことができることや、紹介されたという実績でビジネスの可能性が広がるのもメリットです。
TV・新聞だと爆発的に知ってもらうことがメリットではありますが、紹介してもらいたいと思う部分を紹介してもらえるとは限らないです。
一方、SNSは自由に情報発信できる等身大の自分たちを伝えることができるのがメリットです。コメントでお客様との交流ができることが強みでもあります。交流を通して濃いファンを増やすことができることもメリットです。あとはZ世代と言われるSNSネイティブな若者たちとも接点がもてます。
- 従来の求人媒体とSNS採用を比べてどう思いますか?
現在、求人媒体も進化しているので読み応えがあり、探しやすいですが、それでも尚、企業のSNSを求職者が見にくるということは求人媒体の「そこに無いもの」を見られるということだと思います。採用担当が発信している求人媒体の情報にはない「人間味」がSNSでは、より出ます。
以前、大学生のアルバイトが多い施設で広報をしていた時に就活をしている大学生は「企業のSNSをみんなチェックしている」と伺いました。採用サイトなどに載っている情報は、もう片っ端から見ているので、さらなる情報をSNSで確認しているということでした。
今後の展開
ライソンだけでなく、ライソンを生み出した会社「ピーナッツ・クラブ」の広報もさせていただいているので、今まで試行錯誤しながらの広報のやり方で、SNSのフィールドに行った時にどこまで取材を取ることができるのか、情報を待っている人を1人でも増やしていくことということに挑戦していきたいと思っています。ですので、TikTokも最近アカウント作り配信を始めています。
個人的には、ローカルの中小企業こそ広報の力を味方につけてほしいと思っているので、さまざまな形で布教活動をしていきたいと思います。
広報活動は、自分一人ではできないことがたくさんある中で色んな方と繋がりながら、皆さんの力でウェーブを作り良い広報活動ができていったら良いなと思っています。
会社としての軸(ミッション)
ピーナッツ・クラブという企業は、創業から50年の歴史がありアミューズメント業界では、国内でも老舗の会社であります。業界の中では知る人ぞ知る会社として、大きなビジネスとして発展してきている会社ではありますが、業界外に向けて情報発信をしていき地域の方にも会社活動をよく知ってもらい、ファンになってもらって新しいビジネス創出のチャンスを広げたいと思っています。
採用に関して、ピーナッツクラブでは「今をときめくキャラクターの仕事」ができるのですが、そのような仕事をしたい方は、まず東京の大手などに応募、就職します。
若い世代に、大阪にいながらもアミューズメント、エンターテイメントの仕事ができる会社ということを一人でも多くの方に知ってもらえるような環境づくりに取り組んでいきたいです。
ピーナッツ・クラブを知っている方やファンを増やし、採用の際に応募していただける方が増えることを目指しながら広報活動をしていきたいと思います。
メディア実績
https://www.lithon.co.jp/all-information/
株式会社ピーナッツクラブ SNSアカウント
https://www.tiktok.com/@peanutsclub_capsuletoy
https://www.instagram.com/peanuts_club_jp/
プロフィール
一般社団法人 大人のインフルエンサー協会
代表理事 秋山 剛
1976年大阪生まれ。18歳で父親になり、仕事をしながらプロボクサーも経験。
電気工事会社、ボクシングジム、結婚相談所の異なる事業で様々な集客・採用方法を試行錯誤し、各事業で億単位の売上をあげる。
コロナ禍で業績が最悪の状況に転ずるなか、オンライン事業、TikTokを開始。売上ゼロの状態から半年で年商1億円の事業を構築、すべてSNSで集客。企業経営者、起業家6000名以上に SNS集客、ブランディング、SNS採用を支援。SNS運用の書籍4冊出版。現在は、厚生労働省管轄 認定訓練校として中小企業のSNS採用担当者育成のための「SNS採用プランナー」認定研修を実施。若者が自分らしく活躍できる社会づくりに取り組んでいる。
【著書】
Webサイト:一般社団法人 大人のインフルエンサー協会
- 第14回 電気屋日本トップクラスの「X採用」
- 第13回 若者採用ができるSNS採用の運用手順
- 第12回 年間500名以上の圧倒的な応募数を集める採用手法!
- 第11回 電気工事士YouTuberにインタビュー
- 第10回 「自分らしく生きる人」を増やしたい!
- 第9回 「メディア取材400件」広報のプロが語るSNSの必要性!
- 第8回 士業やコンサル業も「SNS採用」支援ができるようになれば!
- 第7回 17歳高校2年で子供ができ中退。職業選択の幅がとても狭まった
- 第6回 3000人の学生が殺到した! TikTok ✕ LINE採用法とは?
- 第5回 日本の採用を変えるかもしれないSNS「LinkedIn」
- 第4回 中小企業こそSNSを活用すべき理由
- 第3回 現役プロボクサーが中小企業のSNS採用支援で大活躍
- 第2回 「離職率1%以下」になったSNS採用戦略!
- 第1回 「採用コスト0円」地方の運送会社に若者の応募が殺到!